7、8月の時期は仕事が忙しくて、ついつい更新が後回しになってしまった。

 

 心配して下さった方、いらっしゃたら、申し訳ないことでした。

 大丈夫です。

 相変わらず、元気にシングルマザーやっています。

 

 さて、元夫との新婚生活を書こうと思う。

 新婚、というのはどれくらいを言うのだろう?

 結婚して1年?3年?

 大体、それくらいだろうか。

 とすると、私の新婚生活は、ほぼ無かったも同然だ。何せ、結婚して3ヶ月程で

 「やはり少し離れたい」

といわれたのだから。

 

 私と彼は学年が1つ違う。彼が修士課程を出て、とある研究所に就職が決まり、いわゆる遠距離恋愛が始まった。彼は新入社員で忙しく、私も大学院での研究や修論、就職してからもやはり、研究や雑務に忙しく、2、3ヶ月に1度会えばいい、というスタンスで何となく続いていた。

 お互いの両親から

「あなたたちは将来のことを考えているの?」

とせっつかれ始めた頃、彼の勤務先が移転した。一緒に住んでも私が何とか通勤出来るかもしれない、という場所に変わったのだ。

 プロポーズは彼からだった。

 色々思うところもあったが、付き合いも長く、情もあった。何より、やはり当時の私は彼のことが好きだった。

 

 「この人と結婚してもいいかな」

とはっきり考えたのは、修士課程の2年目、将来を考えていた時だ。

 理系の場合は修士を出れば、就職先の選択肢が広がる。だから、大学での基礎研究を選ぶ人以外、ほとんどが企業に就職する。

 文系はまた別だ。修士号があるからといって就職に有利になることはない。はっきり言って一般企業に就職する道は、逆に閉ざされてしまう。だから、研究が続けたくて能力があれば博士課程に進む。もしくは研究生として院に残る。また、運良く、大学や短大、国の機関で求人があれば、就職を目指すこともある。または高校の教員になる人もいる。

 

 私は研究を続けたかった。博士課程に進むつもりだった。そもそも、その学科を選んだ理由が、研究したかったからだったのだ。けれど、両親には反対された。当時はまだ、女性が大学院に進むということ自体、あまりないことだった。

 「勉強したい、と言うのを止める訳にはいかないから、修士まではいい。でも博士課程に進んでどうする?その後で就職が保証される訳でも、必ず博士号が取れる訳でもない。そろそろ働いたらどうだ。」

というのが両親の意見だった。

 

 彼との電話で、修士の後の話になった時、ちらっと両親に反対されている事を話した時だ。

 「研究を続けたいなら、博士課程に行けばいい。僕がお金出すよ。」

彼は、はっきりそう言った。

 大学院の学費は学部より安い。また奨学金もある。さらに当時の私は予備校の講師や家庭教師、特殊技能を生かした仕事などで結構貯金があった。だから、両親が反対するなら、学費を出してくれないなら、自分で出すつもりだった。

 そんな覚悟を決めていた私には、彼のその気持ちが素直に本当に嬉しかった。

 

 世の男性の大部分は、「自分より少し下」の女性を選びたがる気がする。学歴や学校歴は特に。好きな相手からは尊敬されたいのだろうし、彼女の知らない事を教えたい、と思うのであろう。尊敬出来るかどうかは、本当はそれだけの問題ではないと思うのだが。

 けれど彼は常々、こう言っていた。

「僕は頭の悪い女は嫌いだ。対等に話が出来るパートナーがいい。」

 そうは言っても、私が知らなかった事を語る時、とても生き生きしていたのだが。

 

 彼は修士号しか持っていない。けれど、私が博士課程進学に賛成し、学費も出すと言ってくれる。

 私のことを、本当に思ってくれているのだな、と感激した。この人となら一生一緒に生きていけるかもしれない、そう思った。

 

 彼にプロポーズされた時、その時のことを思い出した。

「この人とずっと生きていこう。」

 私はそう決めて、OKした。