いわゆる転勤族、でない場合、結婚してからどれくらい引っ越すものだろう。

2人で新居に住み始め、子どもが生まれて、または子どもが小学生くらいになって、少し広い部屋に引っ越す、家を建てたり、マンションを買ったりする、そこに夫婦で住み続ける、というのが一般的だろうか。

もう少し多くても、2回か3回くらいだろうか。

 

 私は、結婚して彼と2人で住み始めた時をスタート、つまり0とカウントすると、離婚後子ども2人との引っ越しは何と12回目である。

 

 結婚した翌年、彼に離婚はまだ迷っているけれど、一度離れたい、と言われて実家に帰ったのが1回目。

 

 せめて自分への投資がしたいと海外留学をしたのが2回目。

 

 彼に戻って来てほしいと言われ、迷いながら結局受け入れたのが3回目。

 

 新築された社宅に移って4回目。

(そうそう、この時は上の子を妊娠中でもうすぐ臨月。けれども、夫は引っ越し当日会社の友人たちとサッカーの試合。「何考えているの?」と文句を言ったのを覚えている。)

 

 転職するから東京に戻る言われて、5回目。

 

 ベンチャーに転職してカリフォルニアに行くことにしたから、と彼だけは先に渡米。上の子がカリフォルニアでの学齢に達していたので、公立小学校の学区選びをし、学力の高い安全な地域に見つけたアパートに引っ越したのが6回目。

(4歳の上の子を、妊娠した身体で1人で連れてアメリカに行ったのだ。)

 

 3年の約束だったから一緒に行ったのに、結局そこも辞めたから帰国すると言われ、家がないためにまず実家に引っ越したのが7回目。

 

 以前の幼稚園に戻れて、公立小学校の環境のいいところと選んだマンションに引っ越し。8回目。

 

 少し金銭的に余裕が出来たから、新築の広いところに越そうよ、と、同じ区内、今までとは徒歩15分くらい離れているところに引っ越したのが、9回目。

(ここもタワーマンション。下の子はここが好きだったらしい。)

 

 始めた事業があまり上手くいかず、少し家賃の安いところに越そう、と言われ、子どもたちを転校、転園させないで済む地域にまたマンションを探して、10回目。

 

 次の事業が軌道に乗り始めたから、また広いところに行こうと言われて引っ越し、11回目。

 

 別れよう、と言われて、3人で住むところへ引っ越し12回目。

 

 新しい社宅に引っ越す、というの以外は、渋々、けれど仕方なく、だった。

 引っ越しなんて負担がかかること、出来るだけ避けたかった。

 引っ越す度、捨てたものも買ったものもとても多い。バタバタ作業するから、後悔したものもある。 

 何度も運ばれて、家具も家電もどんどんぼろっとなってくる。

 同じ東京のマンションでも、天井の高さも、窓の大きさもみんな違う。

いったいどれだけカーテンやカーペットを処分し、買ったことだろう。

 何より荷造り、荷解きの手間も大変だった。妊娠していたり、小さな子がいたり、送り迎えがあったり。

それでも、私がこつこつと夜な夜な1人でやらなければならなかった。

 

 もう、あの人に振り回されて引っ越しする日は来ないのだ。

いきなり切り出された離婚だったけれど、それだけでも、大きなメリットだ。

 

 こうして書いていたり、他の人のブログや記事を見ると考える。

元夫は、私が考えていた以上に、かなり、問題がある人であった。

 当事者の方々にとっては大変であることに変わりはないから、私がこんなことを言うのは失礼かもしれないが「元夫よりはましじゃない?」と言う事例がほとんどだ。

 ただ、大きく違うのは、私が反論し、自己主張し続けてきたのに対し、ブログや記事の女性は、従順であることだ。もっとも、だから結局向こうから離婚を切り出したのだと思うが。

 

 確かに、彼は肉体的暴力は振るわない。お金もきちんと家に入れる。学歴も職業も一応立派だし、本人もそう思っている。

話も合うし、打てば響くような会話が出来る。お互いの知らないことも教え合える。友人として、彼氏としては一緒にいて楽しかった。

 でも、夫としては、それ以上に父親としては、どうしようもない人間だったと思う。

妻や子を持つべきでない人であった。

 奇しくも本人が結婚1年にも満たない頃に言った

「俺は結婚に向いていない人間なのだと思う。」

という言葉が、本当に彼をよく表している。

 

「睦みあって許し合って支え合って生きていく」

これが出来ない人間とは、やはりひとつ屋根の下で暮らしてはいけなかったのだ。