U-NEXTお試し無料期間一ヶ月ってのに息子が入ってたから観たんだけど
何故今まで知らなかったオレ!
2007年公開、ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン
相変わらず盛大にネタバレしてるのでこれから観ようって人は読まないでくれ
そして、これまた相変わらず独断と偏見なので、正統派映画ファンの方、怒らないでね
てへ
いや、大爆発の前に立つ二人なんてシーンはない。
ふれこみは「パロディ満載コメディ映画」だけど、そんな言葉に騙されてはいけない。
というか、囚われるなそんなステロタイプな煽り文句に。
確かに、キアヌ・リーブスやジャッキー・チェン、ウィル・スミスの映画のパロディシーンがふんだんにあるし、結構需要なシーンにもそれを使っている。
走り方、ターミネーター2のリキッドメタルのアイツだね、みたいなのとか。
でも、元映画を知らなくても十分楽しめる。
というか、パロディは知ってたら楽しいよね、監督、かなり使えるものを厳選というか、もともと映画好きなんだろうけど、コレかなり考えたんだろうな。
でもね、パロディと笑いを目的で観るって態度はこの監督に失礼じゃないか?
確かにパロディを主眼とした映画はあるけど、エドガー・ライトはそういう映画撮ってるんじゃないと思う。
抱腹絶倒を期待、とかマジで失礼だよね。
その監督はエドガー・ライト。
ショーン・オブ・ザ・デッドで評判になった人だそうだ。
お母さん、ゾンビ映画嫌いだからもちろん観てない。
ゾンビで観たのは「カメラを止めるな」だけだ。
アレ、ゾンビ映画を撮る映画だからゾンビ映画じゃねぇしな。
本編最初にカメオ出演している監督。サンタさんが監督である
実は本人、イケメンである
え、調べたらアントマンの脚本の一人かよ!
愛すべき映画だったアントマン。
あれ以来、羽アリ部屋に入ってきても「オレにはアントニーを殺せねぇ」って手で包んで外に出すようになっちまって…
恐るべし、アントマンの影響力
左が監督、右が脚本と主演のサイモン・ペッグ
主演よりイケメンだな…
この主演のサイモン・ペッグって人はショーン・オブ・ザ・デッドの主演もやってるそうで、相棒役のニック・フロストと監督と三人、タッグ組むことが多いんだって。
ホット・ファズの脚本って、相当な才能の持ち主だな
いや、ほんっと、脚本すごいの。
伏線の貼り方といいただのコメディに終わらせない深さといい、この人すごいよ
こちら、主人公の相棒となるニック・フロスト、もちろんおデブさんのほうね
主人公、ニコラス・エンジェル(サイモン・ペッグ)は素晴らしく優秀な警察官。
大学主席、警察学校でもダントツの主席、警官になってからも検挙率ダントツ一位取った賞は数知れず、真面目で模範となるスーパー警察官。
そのシーンをこれがもう素晴らしくテンポのいいカット割りで冒頭、ガンガンぶち込んでくる。
音楽、カッコイイねー。
音楽のチョイスはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに負けてない。
あれも監督がコアな音楽ファンだからチョイスすごいんだけどね。
場にピターっとあっていてしかもカッコいい。
だから、説明部分であっても飽きない。
そんなダントツスーパー警官ニコラス、実は切り替え下手っつーか生きるの下手なわけね。
だから周囲から浮きまくっていることにも気づかないし、当然同僚や上司達から煙たがられている。
そしていきなり、ド田舎のサンドフォードに転属命令。
うぉぉ、ジョーーーン、こんなとこで何やってんだよー。
シャーロックはどーした、置いてきたのかー、と思わずファンなら叫んじゃう、初っ端からゲスト出演のマーティン・フリーマン
そりゃもういやらしい上司を演じている。初っ端から堪能ですな。
上司に訴えると息巻くニコラス、即座に上司出てきたー
ジョン(あえてジョンと呼ぶ)の横にいる方、どっかで見た顔って
ナイトミュージーアムのオクタヴィウス、あの小さいローマ軍人な、スティーブ・クーガンさんだ。この方もイギリスのそうそうたる役者さん。カメオ出演の豪華なこと!
他にも色々、有名どころが出ているんだけど、目だけでほんの数シーンしか出ていないこの方、別れた主人公の恋人って設定なんだけど
ケイト・ブランシェットってわかるかーーーー!
なんか、映画ヲタな監督が、大女優がすぐわかんない風で出たら面白いって考えたらしい。それでオケしちゃうケイト様も素晴らしい。
こちらは映画監督のピーター・ジャクソン
ロード・オブ・ザ・リングやホビットの監督さんだな。
そういや、ホビットはジョンが主演だったな。
だから、マーティン・フリーマンはお母さんの中ではジョンだから!
まぁ、こういう遊び心もあとで知っていくと楽しいわけで、本編はちゃんと映画として素晴らしい作品だから。
田舎町に左遷されたニコラス・エンジェル
イギリスの美しい村コンテストで一位になったこともある静かな田舎町だけど、ニコラスは性格的に融通きかない奴なので、未成年飲酒の連中はパブから追い出すし、飲酒運転の男はちゃんと引っ張っていく。
結局、飲酒運転の男と未成年で飲酒していた上、夜、街を徘徊していた若造どもを全員ブタ箱に叩き込んだ。
ここの演出もいい。
容疑者の写真撮るカットをパンパン繋いでこれだけで楽しい。
同時に、ニコラスの堅物で真面目な性格を描き出している。
でも、翌日出勤したらぶち込んだはずの連中は全員釈放されているし、飲酒運転男は署長の息子で警察官だった。それがこれ、ニック・フロスト演じるダニー・バターマン
ニコラスと一緒に組んでパトロールするわけだが(他の刑事たちはとっても冷たいしニコラスを嫌らしく馬鹿にするし)このダニー、いつも甘いもの食べていて、映画の刑事物にあこがれていてニコラスにカーチェイスしたことある?とか銃撃戦は?とか無邪気に聞いてくる。
映画ヲタでアホなこと言うし走るの遅いし、でも無邪気なダニーだ。
仕事といえば白鳥が逃げたからつかまえてくれとか、人の家の生け垣勝手に切ったから注意してくれとか、そういう平和なものばかりで都会の警察官やっていたニコラスは戸惑うばかり。
でも、根が真面目だから白鳥捕獲だって一生懸命がんばるのだ
だが、どこか街の佇まいに違和感を持つニコラス・エンジェル
そんな中、とうとう残虐な殺人事件がおこる。
殺人シーンはスプラッタだ。
もうね、斧でドバーっとね、血ぃすごいから
そんでもって、村外れの街道沿いに血濡れたスポーツカーと地面に落ちた男女の生首
横溝正史も真っ青な画面、スプラッタ苦手な人にはキツイかな
どーみても事件だよね。
なのに、揃いも揃って「事故」だと言い張る。
村の医者も署長も警察官達も
ますます不審に思うニコラス
なのに皆、前任者も都会から赴任してきて精神を病んだしお前も気をつけたら、などとアドバイスされる始末
徹底してニコラスに意地悪な刑事部の二人
このお二人も地位確率してる立派な役者さん
孤立感深めて落ち込むニコラス、そんなニコラスの救いになったのは意外にもダニーだった。
パブでもクランベリージュースしか頑なに飲もうとしなかったニコラスだが、ダニーと一緒にいるうち気持ちがほぐれてきてビール飲んで一緒にダニーの部屋で映画みたり、心通わせるようになる。
ニコラスの表情が次第に柔らかくなっていくんだよ。
切り替え下手って言われて納得しちゃうし、自分の弱さをポロリと吐けちゃう。
そんな中、第二の殺人事件がおこって、ますます違和感持つニコラス
だけど皆、やっぱり事故だと言い張る。
もう絶対おかしいって時に、ダニーの誕生日ってのを知って、ニコラス、急いで花屋にプレゼント買いにいくのだ。
以前、会話で百合の花のことをダニーと話したので、それをプレゼントしようと。
そこで村の裏事情を知って、これはもう絶対殺人だって確信した途端、ちょっと店の外に出た隙にその花屋のおばさん、枝切り鋏突き立てられて殺されちゃう。
それでも「転んで枝切り鋏(デカイ奴だ)が刺さって死んだ、事故死だ」と言い張る警察の皆さん。
でも今回はニコラス、目の前で犯人がおばさん殺す所をみているし、追いかけてもいる。犯人の目星もついていた。容疑者、街のスーパーのオーナーのところへ乗り込むわけだ。
スーパーのオーナー、四代目ジェームス・ボンドのティモシー・ダルトン
こんな大物が出てきた段階で怪しさ全開、っつーかわざと怪しく演出してる監督だ
当然、乗り込んだって敵もさるもの、証拠もなければアリバイまであってニコラス、完全に孤立。
皆からお前、ちょっと精神病んでるんじゃね?前任者もお前みたいに病んで辞めたんだぞ、と言われてめっちゃ落ち込むニコラスだけど、その部屋に刺客が来て殺されそうになった。
もう決まりだよね。
様々なヒントから、犯人は複数だって気づくニコラス
これは下敷きになる映画があるそうで、1973年のゴシックカルトの映画なんだそうだ。
そして村人達にはその時の出演者を多く起用したんだとか。
逮捕しようとしても多勢に無勢、しかも犯人の中に警察署長までいるとなったら逃げるしかない。
この逃げるシーンも衝撃的。
ニコラスが逃げる途中、教会の地下通路には最初にブタ箱にぶち込んだ若者達や「監視委員会」が村の美化に邪魔っていったよそ者のパフォーマーややはり捕まえたけど保釈された万引き犯や勝手に生け垣切ったってクレームつけられた爺さんや、その死体がゴロゴロ転がっている。
保釈じゃなくて殺されてたのだ。
えっと、グロいからそういうの、苦手な人には向かないシーンだね。
まさかの相棒ダニーも敵で、だって署長の息子だもんね、ダニーが敵だと知った時のニコラスの絶望の表情。
彼に刺されてニコラスは絶命する…わきゃない。だって主人公だもの。
ここでパブでダニーが披露した目玉ぶっ刺しトリックの伏線が効いてくるわけよ。
ダニーはただの無邪気なバカ息子なんかじゃなくて、それなりに苦悩を抱えていた。
村をコンテスト一位にしたくて頑張りすぎて、自死に近い事故死した母と、その母を愛するあまり、遺志を継ごうと人を殺していく父、ダニーは村の真実を知って苦しんでいた。
ロンドンへ帰れ、と車を渡されたニコラス、失意のままロンドンへ帰る…これまたそんなわけはない。
戻ってきましたよ、ブチ切れて
ニコラスに協力するホグワーツ魔法学校みたいな制服の子供達が落書きするシーンはカットされたそうだが、カットしないほうがよかったんじゃね?
だって最後のアクションで彼ら大活躍するから。
とにかく、没収した武器類を警察署から持ち出して装着したニコラス、当然ダニーも参加する。
なんか、ふっきったダニーの顔がいい
最初は犯人メンバーの村人、爺さんや婆さん相手のガンアクションなんだけど、これがまぁとんでもないジジババども
素晴らしいガンアクションはキングスマンに似た爽快感がある。
ただ、キングスマンと違うのは、殺さない。
怪我させるだけで誰一人死んでない。
この厚手のコートネタ、伏線がしっかり冒頭から張ってあるから。
直接撃たずに無力化するやり方が素晴らしい。
署長命令でニコラスを捕らえにきた警官たち、お前らまだわかんないのか、洗脳されてるのもいい加減にしろと怒鳴られ、ダニーも、もうオレはオヤジのやってること見過ごせないと心の内を吐露すると、ようやく正義感を取り戻してニコラスに協力することになる。
コメディと銘打つから、普通のアクションものとは全く違い、ちゃんとアクションコメディしてる。でも妙にカッコイイってのがね。
色んなアクション映画のパロディが散りばめてあって、元ネタ知らなくても肝心な所はちゃんとダニーの部屋で映画観るシーンで観客に刷り込んでいるという用意周到さ、このあたりは監督の手腕すごい
ニコラスが村へ赴任したばかりの頃、逃げた白鳥の捕獲任務があったけど、まさか終盤、その白鳥が大活躍すると誰が想像できただろう
監督すげぇ、脚本すげぇ、としか言いようがない
ダニーが最初、カーアクションやガンアクションに憧れるセリフがあって、それをうんざりといなすシーンがあったんだけど、それが終盤にまた効いてくる
なんかもう、天才だよアンタ達
確かに、これはアクションコメディに分類される映画なのだろう。
最初からクスクス笑える演出が散りばめられているし、終盤のガンアクションも笑うシーンが多い。
ただし、ゲラゲラ笑うみたいな、抱腹絶倒みたいな、そんな笑いじゃない。
ほっこり気が利いてる笑いだ。
会話の妙というか、ほっこりだよね、ここも。
描かれているのは主人公と相棒の友情と互いの成長だ。
なによりもう一つ、人の心の恐ろしさだ。
犯人達は美しい村コンテストの一位になるよう村を保つっていう理由で人を殺しまくっていた。
彼らに罪悪感はない。
だって、村の秩序を乱す者は悪なのだから、それを殺して何が悪いっていう奴だ。
独善的な正義感と自らの異常さに全く気づかない彼らの姿はけっして絵空事ではない。
戦争中、隣人を密告したり、村八分したり、非国民といって隣人たちを糾弾したり
今も昔も、宗教の教義を違えたと処刑したり侵略したり戦争したり
コロナ禍の中、自粛してないと張り紙をしたり患者が出たところへ嫌がらせ電話したり
ネットで吊し上げやったり
今も政府のやり方に異論を唱えると反体制だと騒ぐ人達がいるではないか。
すべて根っこは一緒だ。
違う考え方を許容出来ない不寛容さと狭い正義感、己の行為を省みることのない頑なな心、誰でも気をつけないとうっかりはまり込んでしまう人の心の恐ろしさをデフォルメして提示しているのがこの映画なのだ。
笑いとアクション満載だが、テーマはとても深いし考えさせられることばかりだ。
だけどね、案外恐ろしいことを描きながらも上手いなーって思うのは、最後の爽快感な。
ハリウッド映画やテレビドラマの定番なことを最後にやらかして、なのにその締めくくりが実に爽やかって、定番をこれほど生かせる手腕って監督のエドガー・ライトに脚本主演のサイモン・ペッグの才能よ!
わかっててやってるってのがまたいいのな。
言葉のやり取りも自然な伏線として終盤に直結していく、素晴らしいとしか言いようがない。
音楽がね、何度も言うけど、ほんっとカッコいいの。
アダム・アントの名前もあったな。
コンサート行ったよ、昔!
まだまだ言い足りないことたっくさんありすぎだけど、とにかく、コメディという枠を外して観るべき名作だ。
皆、役者が芸達者だから、一つ一つの演技を堪能すべきだな。
繰り返しみたい映画の一つである
安っ
配信?
お母さんは手元に円盤で置きたい旧世代である
ブルーレイにはきっと製作裏話シーンがいっぱい入っているはず
だってツタヤでブルーレイ借りるといつも充実のオマケコンテンツ入ってるもん
同じ監督のこの作品、これから観ようと思っている
単にアントマン推しってだけ。
大好きだぁ、アントマン