座席を見つけると、もうはしっこには人が座っていた。
3人掛けの席。
私はいちばん窓側。
あ、すみません。
そう言いながら通路側に座っている中年男性の膝先をすり抜ける。
ちらっと顔を見たとき、すこし胸がざわついた。
なんだろう。どこかであったことあるっけ。
しかしそんな偶然もないだろうと、あまり深く考えずに窓を見る。
新幹線が出発した。
彼はまだ来ない。
だんだん不安になってきて、座席を切符と何度も見比べる。
…合ってる、よね。
5分くらいして、隣からすみません、という声が聞こえた。
通路側の男性が腰をひく。
あ、来た。よかった。
手には雑誌と新聞をもっている。
それを買いに行ってたのか。
いつもと違う展開にやはりちょっとだけ可笑しくなった。
あのひとだったらこんなものは買わない。
ずらして新幹線にのることもないし、その必要もないのだ。
大変だったんだよ、切符がね、ピンポーンてなって。
困ったよー、もう時間がなかったのに駅員さんに呼び止められてね。
早口で遅れそうになったいきさつをしゃべっている彼をほほえましく見ていた。
その彼ごしに隣の男性が目に入る。
そのときに衝撃が走った。