ちょっと面白かった東洋経済のネット記事。
この記事を読むと、日々の親の態度や言動や姿勢って子供に伝播というか伝染というか伝わってるんだね。って事はいじめや差別も親から伝わってるって言えなくもないよね。
子は鎹。子は親の鏡。昔の人は良く言ったもんだね。
伸びる子の親は日々「好奇心」で生きている 親の姿勢が子どもに伝播するという真実
http://bit.ly/2pLQYJg
小学校低学年から高学年、そして中学生へ……。周囲に私学を受験する子も増える中で、わが子の成績や先々の進路がまったく気にならない親はいないだろう。どうすれば少しでもいい点が取れ、より上位の学校に進学できるのか。そもそも子どもにやる気を起こさせるには?
約25年にわたり学習塾を運営し、3000人以上の子どもを指導、成績向上に導いてきた石田勝紀氏は「心・体・頭のしつけ」をすることが重要と語ります。この連載では石田先生の元に寄せられた親たちのお悩みに答えつつ、ぐんぐん伸びる子への育て方について考えていきます。
【質問】
小1の娘がいます。書き取りや単純な計算問題などにはすぐ飽きてしまって、あまり得意ではありません。学校には、一人ひとりの個性を見て、知的な好奇心を刺激するような授業を期待したいところですが、その部分は家庭などで補う必要があると感じています。
このままいけば、娘は単純作業的な勉強には飽き、学校での授業や学問全般を軽く見てしまい、要領よくやりはするけど、そこで成長を止めてしまい、本質的な知の追求の醍醐味を味わえる境地には行き着けないのではないか、と心配しております。
体験型の学習をするといいように言われますが、効果はあるでしょうか。例えば、博物館や科学館に連れて行ってその内容を話し合う、実験やワークショップを体験させる、植物や生物の観察など身近な自然に触れる時間を大事にする、ボードゲームなど頭を使うゲームをする、図書館などでやっている調べ学習コンテストに参加する、自分たちでイベントを企画してやってみる……などです。
また、偉人の伝記を読ませるとロールモデルが持ててよいということも聞きますがどうなのでしょうか。ワクワクした気持ちで「もっと知りたい!」と自ら学習していくような人間を育てるために、親はどんなことができるでしょうか。
(仮名:山根さん)
【石田先生の回答】
山根さん、お便りありがとうございます。日本の教育の現状についてよくご存じで、しかも娘さんの学習環境についてもしっかり把握されようとしていらっしゃいますね。とても素晴らしいことだと思います。
文章を拝読すると、山根さんのご質問の核心は、「ワクワクした気持ちで『もっと知りたい!』と自ら学習していくような人間を育てるためには親はどうしたらよいか?」ということかと思いましたので、それについてお答えしていきたいと思います。
親が日々ワクワクする感覚を持とう
私が考える答えはこれです。ずばり、
「親が、日々ワクワクした気持ちで『もっと知りたい!』と自ら学習していくような人間であればいい」ということです。
山根さんに挙げていただいた、好奇心を育めそうな取り組みの事例、私は、それらは有効的だと思いますが、ただやればいいというものでもないとも思っています。親が興味関心を持っておらず、好奇心の「種」がない状態で、ただ子どもの知的好奇心のためと思って実践させた場合、効果は半減するどころか、ほとんどなくなることもありえます。山根さんは、おそらくそうお感じになっているので、疑問に思っていらっしゃるのだと思います。
ではどうすれば、親が日々ワクワクする感覚を持ち、もっと知りたいという状態になれるでしょうか。
子育ては一大事業です。人ひとりを、時間をかけて育てていくことは、本当に大変なことです。忙しく、時間的ゆとりがない生活の中で「『ワクワクした気持ちで』『自ら学習していく』なんととんでもない!」と思われるかもしれません。しかし、そのような状況をいったん横において見つめなおしてみましょう。「自分がワクワクできることは何なのか?学びたい!知りたい!やりたい!と思うことは何なのか?」ということを親自身が考える必要があるのです。
ある保護者とのやり取り
私が以前、面談をした溝上さんというお母さんとのやりとりをご覧ください。
溝上さん:「私は、勉強というのは、好奇心を持って取り組んでいくことが大切と思っていますが、うちの子はなかなかそれがわからないようで、勉強しません」
私:「そうですよね。勉強に限らず、何でも好奇心が原動力になりますね」
溝上さん:「その好奇心、どのように持たせていったらよいのでしょうか」
私:「ところで、お母さんは勉強について学生時代いかがでしたか?成績が良かったかどうかではなくて、好奇心を持っておられたかという意味なんですが」
溝上さん:「比較的真面目にはやっていたと思いますが、好奇心はあまり持ってはいなかったですね~」
私:「今はいかがですか?英数国といった勉強ではなくて、何か好奇心を持って学ばれていることはありますか?」
溝上さん:「いえ、特にありません。私は仕事を持っているので、子育て、家事もありそれどころではなくて……」
私:「そうですよね。余裕はないですよね。しかしですね、重要な事実があるんです。それは、親の思考や思い、さらに好奇心が子どもにコピーされるというものなんです」
溝上さん:「……(唖然としている。驚きと共に沈黙)」
私:「好奇心が人々の行動を促しているのですが、大人になると日々の忙しさの中でくたびれて、好奇心が封印されしまうことも多いですよね。ですから、溝上さんも、ワクワクすること、学びたいこと、知りたいことをやってみてはいかがでしょうか?」
何も数学や英語の勉強を親がもう一度する必要はないでしょう。そうではなくて、親が好奇心を持てることに対して「学ぶ姿勢」を日々の生活の中で表現できているかどうかということが重要なのです。
親の興味関心と子どものそれが異なることは当然のことです。ですから親が関心を示したことに子どもが関心を示す必要は必ずしもありません(ただ、同じ場合も結構多いですが)。
しかし、親が示す“好奇心”そのものの影響を子どもは受けるようになっていくのです。ここが重要な部分です。もう一度いいます。
「親の持つ“好奇心”そのものが子どもに伝播する」ということです。
私はいつも口癖のように
「日々、楽しんでしまおう」
「一見つまらなくみえるものを、面白くしてしまおう」
と言っていますが、要するに、「好奇心」という原動力を動かすがためなのです。これが動きだすと、山根さんに挙げていただいた、博物館や美術館、ワークショップや図書館、偉人の伝記など、これらの活動がすべて生きてきます。
そしてその過程の中で、山根さんが心配されている、「単純作業的な勉強には飽き、学校での授業や学問全般を軽く見てしまい……」ということもなくなります。なぜなら、好奇心によって知的作業や知的内容に興味を持つと、その手段としての「書き取りや計算」が必要だということを実感するようになるからです。
もう少しわかりやすく説明しましょう。
こうすれば好循環が生まれる
確かに書き取り、単純計算は、それだけではつまらないものです。理由は簡単です。日々の生活とリンクしていないからです。しかし、例えば子どもがお菓子作りに興味をもった場合、作り方が書いてある文章を読むには「字」が読める必要があり、分量を知るには「数字」が必要になりますね。
「好奇心」→「興味関心分野」→それに達するための「読み書き計算といった“道具”」
という流れができるのです。
そして、読み書きや計算の練習をするにつれて、自分がワクワクすることや知りたいことを、もっと知ることができるという手応えが出てきます。こうして、
「読み書き計算といった“道具”」→「興味関心分野」→「好奇心」
というサイクルが生まれ、さらに好奇心が強化されていきます。
もちろん、この通りに全てうまくいくとは限りません。人には多様な個性がありますから、単純にこの仕組み通りにはいかないこともあります。しかし、大きく捉えてみると、私のこれまでの経験からは、このような構造になっていることが多いと感じています。
これを機会に、お母さん自身が自らを振り返って、自分がワクワクすることは何なのかということを見つけてみて、お母さんの好奇心を輝かせてみてはいかがでしょうか。