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Eye of the God ~神の眼~

現代における預言の言葉。黙示。
現代の常識、価値観では幸せになれない人たちへ。
新時代に合うものの考え方を紹介していきます。
あまりにも常識と違うので、戸惑われることでしょう。
でも、キリストはかつてこう言いました。
『耳のあるものは聞くがよい』。

 

【作品紹介】

 カンフーとマルチバース(並行宇宙)の要素を掛け合わせ、生活に追われるごく普通の中年女性が、マルチバースを行き来し、カンフーマスターとなって世界を救うことになる姿を描いた異色アクションエンタテインメント。主演は、デビュー時ジャッキー・チェンの映画に助演し主役に負けないアクションをこなしたミシェル・ヨー。


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 筆者の、主演であるミッシェル・ヨーとの出会いは、ジャッキー・チェンと共演を果たした『ポリスストーリー3』である。この作品で彼女のファンになった私は、その後も彼女の出演する映画をアンテナを張ってはチェックし続け、見続けてきた。
 あれからずいぶん経ち、彼女も当たり前だが歳をとった。それでも、カンフーのキレは衰えておらず、驚くばかりだ。でも、この映画はいただけない。
 私は大の映画好きゆえ、どんなに評価の低い映画でもよいところを見つけて、褒める男である。また、途中で投げ出さず最後まで見続ける主義の男である。しかし、数年ぶりでかこの作品に関してはリモコンで「早回し」をした。
 もうアクションシーンだけ見て終わろう、と考えてしまった。しかし、早送りしても、後半は大したアクションシーンが残されていなかったので、結局早送りで最後までたどり着いてしまって呆然とした。ああ、最後まで興味を持てなかった……と。


 映画というものは、最後まで全部をちゃんと見てこそ批評する資格がある、と考える人もいる。その流儀だと、私はこの作品を批評してはいけないのかもしれない。
 だから、以下の文章では良し悪しを言うのではなく、あくまでもこの作品の世界観・宇宙観に関することだけしか触れない。超個人的な感想だけ言うと、超面白くなかった。なので、レビューとして記事にはしているが、決しておすすめする映画ではない。もし、この映画を大衆が面白いと思ってヒットすると思ってつくったなら、監督は大馬鹿かもしくはも時代をものすごく「先取りし過ぎた人」のどちからだ。


 この映画は、端的に言えばマルチバースを描いている。主人公は、自分の属する世界を救うためだけでなく、並行世界までも全部救うためあらゆる可能性の世界を行き来する。この映画に「ついていけない」と思う人は、その激しいまでの次元移動の度に主人公を取り巻く世界と主人公自身も激しく変わるため、その変化が5分に一度くらいならまだ頭がついていくが、ひどい時には3秒に1度世界を変わるようなシーンがあって、やがて「なんで私が、これを理解しなきゃと頑張らなくちゃいけないのだ?」とアホらしくなり、脱落するというパターンが多いだろう。
 ストーリーが面白ければまだ頑張れるが、物語自体がシュールで、笑えないセンスの冗談(人により評価は変わるが)ばかりなので、もういいやとなる。肝心のミシェルのカンフーも、カンフー映画マニアにはちと物足りず、結局中途半端な映画になっている。
 でも実は、この宇宙の実際のところはこの映画で言ってるものと近い。ということはつまりー


●真実とは、あまり面白くないものである。
 つまらないし、かつ理解しにくい。逆に言えば理解しづらいから結果面白くないという結果になるのだ。



 世界の真実や宇宙の本質など、分かってしまえば実に大したことない、無味乾燥なお話なのだ。夢もロマンもなく、美しさも優しさもない。現に、この宇宙のほとんどである「宇宙空間」がそうであろう。真空の宇宙に、一片の優しさもない。私たちが住むような空気があって優しい風も吹く空間など、宇宙全体に0.0001%もないだろう。地球のような場所は、本当に数が少ないのである。
 宇宙の仕組みも真実も、人間には理解しづらいし、決して面白い話でもない。だから、その核心をある程度突いたこの作品は同じように「分かり辛いし面白くない」のだ。確かに、もうちょっと脚本を頑張れば大勢の興味をそそる作品になったかもしれないが。
 もうちょっと、頭の回転がそれほど速くない一般平均知能向けに作らないと、今回のように少なくない人間に駄作と思われてしまうので、そこは頑張ってほしかった。この映画は色んな賞を取ったらしいが、宮崎駿監督のの「君たちはどう生きるか」と一緒で「この作品を褒められるボクちゃんは頭がいいんだぞ、モノが分かってるんだぞ」的なアピールがしたい文化人たちによって持ち上げられただけなんじゃ、と思ってしまう。

 レビューを読む限り「この映画に励まされる」「感動して涙出た」という人もいるようだが、それはどっちが正しいとかどっちがまともとかいう話ではなく「お互いに住む星が違う宇宙人なのだ」という理解でよいだろう。


 この作品で私がただ一回だけ笑って面白いと思った箇所は、主人公がある可能性の世界(並行宇宙)で、ただの石ころになっていた場面。「何もできないじゃん!」ってアンタ、そりゃ石だからねぇ……(笑)
 うん。そういうことはあります。