第337号2018年02月号「認知症になっても」の話
年々65歳以上の高齢者が増えています。
「国立社会保障・人口問題研究所」は5年に1度、国勢調査をもとに日本の世帯数などを推計しています。それによりますと、世帯主が65歳以上のいわゆる高齢世帯は2015年には1,918万世帯だったのが、2040年には2,242万世帯となり、全世帯の4割以上が高齢世帯となる。さらに、独身で子どもがいない高齢者が大幅に増加すると見られ「国立社会保障・人口問題研究所」の鈴木透人口構造研究部長は「家族の支援がない高齢者を社会がどう支えていくか、考えていく必要がある」と話しています。
わが国の高齢化のスピードは世界一の凄まじい勢いで進んでいます。
それで今月は、「認知症になっても」 についての話です。
上記のように「2040年に我が国の高齢者数はピークを迎え、死亡者数は最多の 168万人となり、生まれる子どもの減少で人口は減るが、認知症が増える」と推定されています。認知症の人は2012年の時点で約462万人、65歳以上の約7人に1人と推計されていますが、終戦後のベビーブーム時代に生まれた団塊の世代が 75歳以上になる2025年には、認知症は約250万人増の700万人前後に達し、高齢者の5人に1人を占めることになりそうです。
また、認知症は高齢者だけの病気ではありません。65歳未満で認知症を発症する「若年性認知症」もあります。若年性認知症の原因にはアルツハイマー病などによるものが多いのですが、40代、50代の働き盛りで起こると、老年性の認知症よりも進行が早く症状も重くなる傾向があります。
平成25(2013)年の調査では高齢者の半数近くが身体に何らかの自覚症を持ち、その半分が日常生活(外出、仕事、家事、学業、運動等)に影響があると訴えています。
また、健康寿命は延びますが、平均寿命に比べて延びが小さく、日常生活で何らかの助けを必要とする人が増えると予測されます。
高齢者の多くは、もし、介護が必要になっても費用は「年金等の収入でまかなうことができる」(42.3%)。「必要なだけの貯蓄は用意している」(20.3%)と考えています。しかし、介護を必要としている高齢者は急速に増加しており、介護の担い手不足が心配されています。
現在は要介護者の多くは家族(とりわけ女性)による「老老介護」で支えられていますが、それもいつまで続けられるかは分かりません。人口減少の影響で僻地にある小さな自治体は、高齢者介護の役割を担うことが困難になると予想しています。
もし、介護が必要になったとしたら、介護される人は「安心できる居場所」と「理解してくれる味方」、そして「本人の役割と誇り」を持って生きたいと望んでいます。
これまで認知症について、アタマを使っていればボケない。早期発見・早期治療すれば進行を防ぐことができる。認知症が進めば徘徊・暴力・排泄等のトラブが必発すると考えられていましたが、最近は認知症と共に生きる人が増え、自分が経験している認知症がどのような状態かを話す活動をしている人、また、その活動を支える人もいて、認知症への対応は変わって来ています。認知症の人が大声を出したり、暴力を振ったりするのは言葉でうまく自分の意思を伝えられないために起きるいらだちの結果と考えられ始められています。
認知症には「治療」より、慣れ親しんだ暮らしと環境が大切で「世話をするケア」から「見守るケア」「本人の能力や考えを大切にするケア」へと変わりつつあります。
これらのことは私にとっても他人事ではありません。どのような事が起きても今の生活環境を大きく変えずに生きていることができればと願っています。
小田眼科医院理事長 小田泰子
Produced by *J.O.Y.
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