今回ご紹介するのは、40代女性の患者様の症例です。目の下のクマを改善するため、裏ハムラ法(経結膜眼窩脂肪移動術)を行いました。この手術の適応年齢は30代〜60代と幅広いですが、特に「目の下の膨らみ(目袋)」が目立ち、かつ皮膚自体のたるみやシワが比較的少ない方に適しています。
裏ハムラ法は、目の下の凹凸を平らにならす治療です。この凹凸の原因は、眼球の周りを包んでいる「眼窩脂肪(がんかしぼう)」が前方へ押し出されてくることにあります。これは一種のヘルニアのような状態です(背骨の椎間板ヘルニアと同じように、本来あるべき場所から組織が飛び出してしまう原理です)。目袋が突出すると、目の下に影ができてしまい、老けた印象や疲れた印象を与えてしまいます。
ここで、目の下の構造を「山」と「谷」に例えて解説します。
まず、下まつ毛のすぐ下にあるぷっくりとした膨らみ(点線①)が第1の「山」です。これは一般的に「涙袋」と呼ばれるもので、その正体は眼輪筋という筋肉です。そして、この涙袋という山のすぐ下には、第1の「谷」となる窪みがあります。さらにその下へ進むと、第2の「山」が現れます。
この第2の山こそが、眼窩脂肪の突出によってできた「目袋(Baggy Eyelid)」です。そして、この目袋のふもとにあたる影の部分が、第2の「谷」である「ゴルゴライン(Tear Trough Deformity = TTD)」となります。
裏ハムラ法では、魅力的な第1の山(涙袋)はそのまま残し、目の下全体をなだらかに整えることを目指します。具体的には、第2の山(目袋の脂肪)を切り崩し、その脂肪を第2の「谷」へ移動させて窪みを内側から盛り上げます。脂肪を切り取って捨てる(脱脂)のではなく、有効に再利用するのです。脂肪を移動させた後は、本来の正しい位置に固定するため、強固な組織である「眼窩隔膜(がんかかくまく)」でしっかりと覆います。
裏ハムラ法は、脱脂のように「脂肪の取り残し」や「将来的な再発」が少なく、脂肪の取りすぎによる「目の下の窪み」も起こりにくいため、目の下から頬にかけて自然で美しいラインを作れるのが最大のメリットです。ただし、非常に狭い視野のなかで、移動させた脂肪と隔膜を正確に配置する必要があるため、医師の極めて繊細で高度な技術が求められる手術でもあります。

