仕事からの帰り道、地下鉄を出て、大きな緑の魔力が潜む公園を抜けると、
家につく手前に黒猫の看板をかかげた小さな家がある。
「くろねこ」
なんとなくいつも目につく。と、言えども占いでいちばんしんどい時期を
頼りにするのはもう嫌だ。
モリタにであう三年前、「恋」というものに巡りあった。モリタに恋を
していないはずはない。だけど、モリタは「愛情」という言葉の方がしっく
りくる。ぶつかりあって、キレまくって、だけど手をつないで同じ道をゆっく
り歩いていく、それがモリタだ。
三年前、突然何の根拠もなく現れて、そこから私は数年間、名前しかわからず
あいさつしかしないあの人にひたすらに恋をしていた。つきあってからも私は
あの人に恋をした。そう、だから駄目になったのだ。
私は恋は持続できるが、それが現実に近づいてくると、保つことができない。
つまり、情にならなければ恋に素顔は見せられない。
それが私の恋なのだ。
別れることもなんとなく、私とあの人はわかっていた。付き合う前から、
2人はそれをひどく怖がっていた。そこから数年、わたしはひどくバランスを
崩しては泣き叫び、がむしゃらにわけのわからぬ好奇心を見つけて、ひたすら
走った。そして、遠くはなれたこの街にやってきたのだ。三年ももがけば、
その物事が芽をだすことかそうじゃないかが若干わかる。
あの恋は芽すらでる時限の話ではなかったのだ。だって恋は恋。
ある日、なんだかプツリと目覚めて街を自分の為に歩きだしたら、そしたらモリタがいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー続く
