ボストン郊外の自宅
駐在員妻達とのテニスの時間が迫っているのに、キッチンの電話が鳴りやまない。
また日本からだ…
佐久子はいらだっていた。こんな時間まで起きて、また同じ事繰り返すのだろうか?
一昨日の母ツネの声が蘇る。
「佐久子ちゃん、3人目も女の子なんんでしょ!もう要らないでしょ、綱子、巻子
と2人もいるのに…お父様もおっしゃってるわよ。」
佐久子の心は沈んだ。
そうだわ!トンプソン夫人の相談してみよう、あの方は敬虔なクリスチャン、母を
説得出来る材料をお持ちかもしれない。飲みかけのコーヒーをシンクに流し、青々と
した芝生の庭を走り抜けた。
佐久子には、4人の娘がいる。
綱子 巻子
ボストン赴任中に、産むの?産まないのか?とツネとの攻防の末、この世に
生を受けたのが三女かよりである。
その後、41歳にして産み落とした四女さよりがいる。
大したものである。