佐久子の夫 一条善造は地元の県立高校から東京大学法学部へトップ入学。
その後大蔵省へトップの成績で入省。
小野寺家の長女佐久子とは数十回の見合いの末に出会った。
仲人から、実は婚約者がいたのだが、相手が代々医者の家系であり、小野寺家の稼業
を理由に破断になった経緯を聞いていた。
これだけの美貌の持ち主ならば合点がいくし、勉強しかしてこなかった善造には
女神の登場であった。
結婚後は、持前の力を発揮し仕事に邁進し、省庁№2まで上り詰めた。
「タケとロクの夕飯は適当にね!、あとクリーニング取ってきておいてね、明日の
ワイシャツが無いわよ。」
佐久子がドアを閉めながら叫んでいた。
ふっと解放されたくなる。
どこかへ行きたい…
また、ツネのところへ行くのか?
母は元気だろうか?自分は長男だ。
昨年、家を建てた。市内の実家のある場所に建て替えを進めていたが、佐久子が鬼の形相で何度も何度も…
「私は長女よ、母の面倒を見るのが役目なのよ、結婚当時、役所の給料では日々の暮らしだけ!小野寺の父の援助なしでは破綻してたわ。一条家からは援助は受けてないわ。」
結局、ツネが住む家の近くに越した。
その上要求を断れずに、角二の財産秘匿の為に悪事に手を染めている・・・善造は眠れない日々を過ごしていた。