金田一さんとビートルズ | TAMMY'S BASSMENT☆★

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ベーシスト、そして機材屋、タミヤの日記。


 いつ公開するのかは分からないが、最後期ビートルズのドキュメンタリー映画が制作されたらしい。

この頃のビートルズというバンドの状況は非常に複雑だったというイメージがあるが、多かれ少なかれバンドっちゅうのは常に不安定な「生物」であるからして、きっと一分一秒毎に喜怒哀楽が激しく飛び交っていたのでしょう。

とは言え、あの「 Let it be 」を制作している彼らの未公開シーンが、50年の時を経て目撃出来ることは非常に興味深い。

 中学生の僕が、初めて聴いたビートルズのアルバムが「 Let it be 」。

もちろんLP盤を買える余裕なんて無かったので、確か¥500ほど投資して地元の貸レコード屋さんで借りてきた。

それまでビートルズにはさほど興味は無く、曲もたまたまラジオで聴いた「 Please Please Me 」と、音楽授業で縦笛課題曲だった「 Yesterday 」ぐらいしかよく知らなかった。

それなのに何故いきなりビートルズのアルバムを聴きたくなったのか?

そのきっかけは「 金田一耕助 」に他ならない。

 1970年代後半から80年代にかけて、角川書店が出版していた文庫小説を原作とした劇場映画が続々と製作され、立て続けにヒットを飛ばしていた所謂「 角川映画 」のブームが起きた。

※角川映画祭予告ムービー



その作品群の中核に、江戸川乱歩と並ぶ日本を代表する推理小説の大家「 横溝正史 」の作品を原作としたシリーズがあった。

激動の昭和という時代を背景に、地方にある由緒正しき旧家一族にまつわる惨劇が幕を開ける…なんていう設定が、ちょっとおどろおどろしいドメスティックホラーテイストで、子供ながらに怖い物見たさでテレビ放映された時にはしっかり最後まで見届け、結果として夜中トイレに行く時には、物陰から「 スケキヨ 」が出て来たらヤバいなぁなんてびびっていた思い出がある。

そんなダークなストーリーにも関わらず人気シリーズとなっていた要因は、ストーリーの案内人として登場していた名探偵「 金田一耕助 」の存在があったからに他ならない。

羽織りと袴に、くしゃくしゃのチューリップ帽をボサボサヘアーに被せているというちょっととぼけた風体ながらも、一度閃いた途端に驚異的な集中力と行動力で事件を解明してゆくこの名探偵は、全体的に陰鬱なトーンに支配されたストーリーにおける清涼剤の様な存在として、作品の大きな魅力となっていた。

今や孫のコナン君が大活躍している金田一さんが、角川映画ブームの中で活躍した最後の作品に「 悪霊島 」という映画があった。

この作品はそのヘヴィメタルなタイトルそのままの無茶苦茶ヘヴィなムードで、流石の金田一さんでも押しつぶされ気味だったのだが、その窮地を救ってくれた「 清涼剤 」は他ならぬビートルズでした。

この映画が上映された前年にジョン・レノンが亡くなったことは無関係では無いと思うが、主題歌にビートルズ、しかも選曲は「 Let it be 」。

そんなコーディネートだから、テレビで流された予告CMはカオス。

レリビィ〜、レリビィ〜、レリビィ、レリビィ〜♫

「 悪霊島…鵺の鳴く夜は怖ろしい… 」

この落差の激しさがあったからかも知れないが、この予告CMを見た途端、兎に角無性にこの曲が聴きたくなった事から、アルバム「 Let it be 」を借りるに至る。

 そんな発端から僕のビートルズ探訪が始まったのだから、金田一耕助には本当に感謝しています。

※映画情報