ワークキャンプというのは、世界各国からの学生や若者が集まって、1、2週間から数ヶ月にわたり、現地に滞在し、現地のNGOや人々と共に、ボランティアや文化交流をするというもの。
日本からだとNICE(日本国際ワークキャンプセンター)
http://www.nice1.gr.jp/
CIEE(日本教育交換協議会)
http://www.cieej.or.jp/
が募集をしています。さまざまな国に友達ができ、異文化に対する理解を深めてくれる機会。比較的安い費用だし、なによりバックパッキング(旅行)とは違って、現地の人々と直接交流し、生活を共にすることができるので、おすすめです!
各国にこうした仲介団体があって、そこが現地のNGOに仲介をするという形式です。費用は仲介NGOに2-3万円を支払い、現地のNGOに1-3万円(宿泊費、食費含む)、それとは別に交通費というのが一般的なようです。
今回、私は
IVS (International Voluntary Service)
http://ivsgb.org/info/
という欧米の団体から申し込みをしました。
今回参加したのはモロッコのCVSという団体が主催する「New Year's Project 2010」という、文化交流イベント。
内容は、現地の特産物である陶芸の体験、モロッコについての議論、食、生活、自然についての体験、参加者がもちよっての各国のプレゼンテーションなど。今回は一般のワークキャンプに多いボランティアではなく、交流がメインでした。
場所はZagora(ザゴラ)という、モロッコの南東部、マラケシュからバスで山を越え、バスで8時間ほど言ったところにある、オアシスの街です。
http://maps.google.co.jp/maps?q=zagora&lr=lang_ja&oe=utf-8&rls=org.mozilla:ja-JP-mac:official&client=firefox-a&um=1&ie=UTF-8&sa=N&hl=ja&tab=wl
Googlemapで見るとまさに砂漠の中。周囲には川が流れていて、そのおかげでヤシの木が生え、生活用水を得、小麦を栽培し、大きな街ができています。
Zagoraの街 (手前にはヤシ林、川、奥が街)
参加者はヨーロッパ各国から15人ほど。スペイン、ポルトガル、フランス、イタリア、チェコ、フィンランドから来ていて、あとはアフリカ人(モロッコ人、といっても、モロッコはさまざまな人種が入り交じる背景があるため、肌の色も雰体型や雰囲気もさまざまです)。ということで、アジア人はなんと私一人!
というわけで、
アフリカ人、またヨーロッパ人(彼らの中で東アジアに来たことがある人は皆無。ただ2人が、インドを旅したことがあるというだけでした)からの日本に対するオリエンタルマインド(異文化だと思って必要以上に違いを強調したり、興味津々に聞いて来たり)にはあきあき・・。
たとえば、日本では朝ご飯に何を食べるの?そんなに沢山魚をたべるの?日本にチーズはある?サムライ、ハラキリ!などなど。文化交流という点で会話が弾むのは楽しいですが、ときには疲れてしまいます。異文化への理解が深いSOASの学生と違って、意外に一般のヨーロッパ人からは日本に対する誇張された典型的イメージがあるんだなと感じた一面でもありました。
合宿中には各国からのプレゼンテーションの機会も。みなそれぞれ、各国の地理、生活、食文化などについて紹介してくれました。インターネットが使えたので写真をダウンロードして来て使ったり、クイズをやったりとさまざま。日本については、四季と地理を紹介しながら、自然(桜、紅葉、雪など)、習慣(風呂など)、食文化について話しました。
ワークキャンプの様子 (左:各国紹介プレゼンテーション 右:モロッコ風パン作り)
そこで、日本の食文化について考えていて気付き、紹介したのは、日本の食文化の西洋化について。上記の各国の人からの質問でたとえば、「日本では朝ご飯に何を食べるの?」と聞かれ、「えーっと、パンと、コーヒーと、卵と、牛乳と・・・同じ同じ!」なんてとりあえず応えた後、「そういうわけでもなくて、日本では西洋化してる部分と、和食とが混在してるんだ。だからたまには西洋と同じだし、たまにはご飯、魚、納豆、のりとみそ汁を食べるよ」なんて説明したりしていました。
すごく面白いと感じるのは、日本における「洋食」の存在。
例えば、お好み焼きは初め、「洋食風のおやつ」として始まったと聞いたことがありますが、今では日本食として海外にレストランがあったり。オムライスやハヤシライスは日本では「洋食」ですが、こちらではそんなこと聞いた事が無い!なんて言われてしまいます。
そういうわけで、日本の食文化といっても、伝統食ばかり紹介したら嘘になるし、でもファストフードなんか紹介しても意味がないし、、と思ったあげく、3つに分けで紹介する事にしました。
1つは、日本の伝統的和食。ご飯、魚、天ぷら、みそ汁、そば、うどんなど。
2つは、日本が西洋文化を吸収し、日本なりの洋食として仕立てた和洋折衷料理。オムライス、お好み焼き、すき焼き、牛丼などさまざま。
3つは、西洋食やファーストフード。
なかでも、ファーストフードと言えば、ピザ、サンドイッチ、ホットドックといったヨーロッパ人にとって、牛丼屋というのがマクドナルドのように沢山ある、と紹介すると驚いていました。
公用語は英語のはずですが・・
モロッコは旧フランス植民地のため、オーガナイザーはフランス語に流暢。また、EUからの参加者はフランス語か英語かのどちらか一つ以上は流暢な人がほとんど。かなりの場面でフランス語も使われました・・
アクティビティーとしては、車で1時間ほどいったところにあるTamgroutという街での、特産品の陶芸について学び、体験したことがメイン。これを通して、途上国で、工芸品をどういう人たちが、どういう思いで、どういう工程で作り、売っているのかについて理解が深まりました。
Tamgroutでは、数百人以上はいる人口のうち、たった5-7家族程度だけが、陶芸品づくりに従事しているとのこと。現地の人の話に依ると、彼らは「貧しいから始めた」のだそうで、おそらく現金収入を得るためになにが作れるかを考えたあげく、観光地化しているモロッコで陶芸をつくることを始めたのだと思います。
Tamgroutの町並み(建物は木を土台に土を固めてつくられている)
Tamgroutの工芸品 (左:モロッコ風蒸し料理に使うタジン 右:お皿)
周囲は砂漠の中でも川があり、オアシスのようになっている場所。そこに2-3mほどの穴を掘り、陶芸に使うための赤い土を集めます。それを捏ねて、干して、また捏ねて、だまを無くし・・・すべてが手作業です。
その後、手作りのターンテーブルのようなところに土を載せ、整形していきます。日本で想像するような、電動で動くテーブルは無く、穴のなかに人が入って、ターンテーブルを足で蹴りながら、手で形をつくっていくという作業。現地の職人の、なんと器用なこと・・・。体力もあって、短い時間に美しい工芸品を完成させていきます。
また、家族で技術を受け継いでいくようで、10歳くらいの少年も手伝っているのが印象的でした。
左:陶芸をする現地の職人 右:陶芸用の粘土を採取する穴
最後に、それに着色し、手作りの土釜で焼きます。ここで、周囲に生えているヤシの木を切って使っているとの事。聞いた話では、ドイツのNGOが「緑化を止めよう!」という活動のために、以前ガスを用いた炉を支援として導入し、「木を切るのは良くない」という啓蒙活動をしたようです。しかし、この炉はしばらく使われた後、もとの木の炉に戻ってしまったとの事。
その理由がガスを買う費用なのか、新しい機械が使いにくいのかはわかりませんが、現地の人によると「新しい方法だと質が良くない」と職人達は考え、伝統的な方法を重んじる(保守的)なために新設備を放棄したとのことです。
陶器を焼くための炉 (左:今でも使われる手作りの炉 右:使われなくなった近代ガス炉)
ここZagora周辺では、数年前まで雨が極端に減り、川の水が減り、小麦が栽培できなくなり・・多くの人がこの地を去り、マラケシュやカサブランカなどの都市部に移住していったようです。近年、雨が戻り、街に人が戻って来たとの事。現地ではヤシの木の実を輸出しているため、木も貴重な収入源。また、砂漠が広がると雨も減ってしまう・・。
今では実り多い小麦畑と、貴重な収入源のヤシの木
砂漠化を止めるのは現地の人のため。しかし、だからといって貴重な現金収入源である陶芸を止めさせるわけにはいかない。かといって、自立を促さないガスや近代技術(メンテナンスができないし、ガスを購入しなければならない)に頼らせるわけにもいかない。
環境保全と開発のバランス、そして途上国支援の難しさを感じた一面でした。