その日は 春
歩いても見えないあの心の景色
いつまでもイメージするあなたの歩行を
私はもう忘れてしまった
朝から殆ど晩まで
頭の中に描いて来た私の思いの
行き先はふるさとのないあなたの記憶の中
時々あなたは私の顔を見ずに語り続けた
あなた自身の忘却と私自身の想いとを計りにかけて
まるで見透かしたかのような姿勢で持って
季節を踏みにじったとは思わない
夏に向けてあなたが自分自身の衣装を
まるで脱ぎ捨てたかのように
あなたの日常の中にあなた自身の言葉の中に
私をすべて埋葬してしまったあなた
その日は 春