その日は 春 | 詩人:Writer 上杉浩司

その日は 春

 

 

 

 

歩いても見えないあの心の景色

いつまでもイメージするあなたの歩行を

私はもう忘れてしまった

 

朝から殆ど晩まで

頭の中に描いて来た私の思いの

行き先はふるさとのないあなたの記憶の中

 

時々あなたは私の顔を見ずに語り続けた

あなた自身の忘却と私自身の想いとを計りにかけて

まるで見透かしたかのような姿勢で持って

 

季節を踏みにじったとは思わない

夏に向けてあなたが自分自身の衣装を

まるで脱ぎ捨てたかのように

あなたの日常の中にあなた自身の言葉の中に

私をすべて埋葬してしまったあなた

 

その日は 春