【転載】「伝説のホテルマンのサービス哲学」 | 「地球探検隊」中村隊長の公式ブログ【ビタミンT】

【転載】「伝説のホテルマンのサービス哲学」

   ほんものはつづく、
   つづけるとほんものになる
   (東井 義雄)
  
 
「リーダーの修行ノート」 田中 和彦(著)明日香出版社

水曜定休日の今日、ブログの読者登録があった。

愛生道伸のブログ
魅力なび 人はひとで磨かれる


ブログを見に行くと、友人、青山華子さんのブログ が紹介されていた・・・。

さらに遡って読み進めていくと、いくつもの素敵なブログが転載されていた。

グッときたブログを読者とシェアしたい。

タイトルには「いつもこのブログに勇気づけられました」 とあった・・・。


前田歩さんのブログ です。

この方が書かれる記事には

いつも勇気づけられました


素敵な内容なので

転載させていただきました。

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  「すべて私にお任せください」
  
    加藤健二
    (元キャピトル東急ホテル エグゼクティブコンシェルジェ)

               『致知』2007年9月号「致知随想」
               ※肩書きは『致知』掲載当時のものです



十五年ほど前、あるテレビ番組に出演した時のことです。

「お客様の顔と名前をどれだけ覚えているか?」
と問われたホテルマンの私は
「一万人は覚えていますよ」と答え、
実際にそれ以上の数を諳んじることができました。

こんな話をすると、私が優れた記憶力を持っていると
思われるかもしれませんが、決してそうではありません。

私が勤めていたのは、昨年末に閉館した
東京・永田町のキャピトル東急です。
ホテルの前身は東京ヒルトンに当たり、
昭和三十八年の開業より二年後に部屋を掃除する
ハウスボーイとして入社しました。

配属から二日目、フロントから
「752のお客様がランジェリーの洗濯をお願いされている」
と連絡を受けた私は、まずその方のお名前を
確認した上で部屋へ向かいました。

ドアをノックし、普通なら
「グッドモーニング」と言って中へ入ります。
しかし名前を覚えていた私は
「グッドモーニング・ミスターホーマン」と声をかけました。

驚いたのはホーマンです。
彼はとても感激した素振りを見せ、
「ワット・イズ・ユア・ネーム?」と言いながら、
さっと右手を差し出してきました。

一日に数百回お客様と握手を交わし、
のちに私が「ミスター・シェイクハンド」と
呼ばれることになる、これが始まりでした。


翌日、担当の七階フロアへ向かい、
さらに驚いたことがありました。
従業員用エレベータから降りた瞬間、
そこにホーマンが立っていて

「グッドモーニング・ケンジ!」

と声をかけてくれたのです。

以来、彼は来日の際、どんな用でもホテルにではなく、
私宛てに連絡をくれ、四十年来のお客様となりました。

私はボーイだった頃から、お客様の名前を覚え、
必ず名前を呼びかけることを徹底していました。
覚えるためには何か特徴を掴まなければなりません。

その一つが握手です。

感謝の心を込め、差し出す手を通して
「どうぞ私に何でもご相談ください」
という気持ちをお伝えするのです。

また私は、毎朝、勤務開始の一時間以上前に出社して
こんなことをしていました。

コンピューターで打ち出されたVIPリストの裏に、
二百名余りいるお客様のお名前やお部屋番号、
勤務先、愛車などのメモを、直接手書きで記していくのです。

リストをただ眺めているだけでは頭に入ってきません。
自分の手で実際に書き出していくことで、
確かな情報がインプットされていくのです。

一通りの作業を終えるには、一時間では済みません。
毎朝午前三時半に起床して、四時四十三分に家を出る。
五時三分の始発電車に乗って五時五十分に出社。
まだ真っ暗な事務所の明かりをつけ、
席に着くなりコンピュータを叩き始めます。

お客様をお見送りした後でスタッフは朝食をとりますが、
私はその時間をお客様のために使います。
何か御用はないか、快適に過ごされているかどうか、
ロビー内をくるくると回り一日に二万歩近くを歩いていました。

私はお客様の要望に対して決して「ノー」とは言いません。

ある時、お客様から
「航空チケットを購入したが、急に予定が変更になった。
何とかならないか」と相談を受けました。
買われたチケットは変更が効かず、
普通であれば新たに購入をしなければなりません。

私はすぐに航空会社の知人に電話を入れて交渉し、
しっかり要望に応えることができました。
お客様は私のことを
「アー・ユー・ア・マジシャン?」と
驚きの表情で聞いてきました。

他にも
「きょう歌舞伎を見たいので、チケットを手に入れたい」
「京都へ行くからホテルと新幹線を予約してほしい」
といった要望があります。

お客様からの相談があれば
「すべて私にお任せください」と即答します。

「その日は休みなので代わりの者に……」
「旅行代理店をご案内します」
などとは絶対に言いません。

お客様のご依頼を厄介な仕事ではなく、
「自分を売り込むチャンス」だと考え、
無理をしてでも叶えようと努力するから、
お客様はこちらを信頼してくださるのです。

そのために私は特に、劇場の支配人や旅行代理店、
航空会社などといった知人とのお付き合いを大切にし、
無理を頼めるような関係を築いてきました。

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昭和五十九年、東京ヒルトンは
キャピトル東急へと名称が変わり、
多くのお客様が他のヒルトンホテルへと流れていきました。
そんな中、嬉しかったのは「加藤がいるなら」と、
キャピトルに残ってくださったお客様が
たくさんいらっしゃったことです。

フロント支配人を務めた頃、
本社では年中会議が行われていましたが、
私は「会議でビジネスなど生まれない」と主張し、
ロビーに立つことにこだわり続けました。

その根本にあったのは、
お客様にまたいらしていただきたい。
またお会いしたい、という一つの思いでした。

月に三日しか帰宅しないこともあった
過剰な仕事ぶりが災いしたのか、
私は三十代半ばで腎臓を病み、
四十歳で弟から臓器移植の手術を受けました。

退職後はこの体験を生かし、
同じ病に苦しむ人たちの助けになる
活動をしたいと考えていました。

昨年、四十二年にわたる
ホテルマン生活に終止符を打ち、
現在は臓器移植ドナーの参加を呼びかけるため、
全国を奔走しているところです。

患者の皆さんを何としてでも助けたい
——それがいまの私を突き動かす力です。

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あなたを突き動かす力は何ですか?

  「だれでもある時期、情熱的になることはある。
  ある人は30分間熱中できるし、ある人は30日間続く。
  しかし人生の成功者は30年間情熱が続く人である」

    米著述家:エドワード・B・バトラー