「理想のオヤジ像・・・」
リアルでは、新田次郎著『アラスカ物語』 の主人公、フランク安田がオレの理想のオヤジ像かもしれない。背筋がピンと伸びてくる凛とした男。
でも、フィクションの世界で言うと、五木寛之著「青春の門 第1部 筑豊篇 」に登場する「のぼり蜘蛛の重」こと伊吹重蔵。主人公、伊吹信介の父だ。
中学・高校時代に筑豊篇と自立篇は、なんども読んで、かなりの影響を受けた。オレの中で「男の中の男」は伊吹重蔵・・・。
最近、ほとんどテレビを見なくなった。でも、久しぶりにビデオに録ってTBSテレビ放送50周年スペシャルドラマ「青春の門(筑豊篇)」を見た。気がついたら深夜03:00amをまわっていた。ドラマや映画化されて、いろんな役者が重蔵役を演じたが、一番イメージに近いのは 北大路欣也かな。今回のドラマでは豊川悦司が重蔵の役をやっていたが、思ったよりも違和感はなかった。
なぜ、あの頃あんなに夢中になって読んだのだろう・・・。最近、モーニングにも掲載されて漫画化された。思わずコミックを購入。そこに原作者の五木寛之のこんな言葉が掲載されていた。
筑豊篇は、人間の「情」がテーマ。
今の時代は友は多いが友「情 」は成り立ちにくく、
恋愛はあっても愛「情」に欠け、
感覚は新しくなっても感「情」に乏しい。(中略)
斎藤茂吉がその「情」という言葉を「こころ」と
読んだように、万葉人にとって「情」は「こころ」。
今の時代にはそれが欠けているからこそ、なおさら
筑豊篇を読み、見ていただく価値があるのかもしれません。
─ 原作 五木寛之
オレは今の時代に欠けているものを取り戻すために、この旅を勧めているのかもしれない。
オレのオヤジは長崎生まれの九州男児。おふくろを泣かす親父とはケンカばかりしていたが、親父も九州弁も・・・どちらも好きだ。
えーか信介
理屈じゃなか
裸一貫 男ば命ば張って生きったい
バカも利口も命はひとつたい
─伊吹重蔵 五木寛之著「青春の門 第1部 筑豊篇 」より