CML(慢性骨髄性白血病)に対する第3世代までのTKI(チロシンキナーゼ阻害薬)の中止によって、一定の基準を満たしたことで治験に自ら参加した患者の6割以上が無治療寛解を維持し、生活の質を改善したことを示す一連の記事を昨日紹介しました。その後、その関連で、この治験の代表責任者Professor Ehab L. Atallah, MDが、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病という4種類の白血病の治療における鍵となった進歩について、その内容をブレイクダウンする(分けて説明する)、インタビューに基づく記事をみつけました。そこで、まず、この記事にリンクをします。

 

 Atallah Breaks Down Key Advances Made Across Leykemias and Lymphomas, Onclives, June 27, 2021,

 

 以下は、このインタビュー記事の冒頭部分の訳です。

 「Atallah教授によれば、急性骨髄性白血病(AML)に対するベネトクラクス(ベネクレスタ)+アザシチジン(オヌレグ)による治療、慢性リンパ性白血病(CLL)に対するオブニツズマブ(ガザイバ)と別の薬との新しい形の併用による治療、急性リンパ性白血病(ALL)に対するブリナツモマブ(ビーリンサイト)/TKI(チロシンキナーゼ阻害薬)による治療レジメン、慢性骨髄性白血病(CML)に対するTKI(チロシンキナーゼ阻害薬)の中止が、白血病・リンパ腫の治療における最もエキサイティングな最近の進歩として挙げることができる。」

 

 

 次に、OncLiveの記者の質問(原文では太字です。)とそれに対するAtallah教授の回答を順に示して行きたいと思います。この点に関して、自分は医者でも薬剤師でもないので、誤解を招く非常にいい加減な訳になる可能性が高いことを最初にお詫びしなければなりません。ただ、できるだけそういうことにならないように、長い時間をかけ、修正しつつ訳しています。

 

 なお、以下に挙げる記事の内容に関連して、2020年9月に行われた血液情報広場つばさの公開フォーラムにおける、関西地方の先生方の各種の白血病等の病気とその治療に関するご講演の記録Newsletter ひろば 2020年12月があり、そこでの先生方のお話しと比較すると、日本とは違うところもあるものの、共通している部分や、具体的な薬や治療の内容などがより詳しく説明されているところがあって、それなりに参考になると思います。

 

 

 

 OncLive 「AMLの治療に関していうと、昨年、治療の実際のあり方を変えるような新しいデータが出てきたのか?」

 Atallah教授 「第3相のVIALE-A(NCT02993353)治験において、AMLの患者が、アザシチジン(オヌレグ)だけで治療するグループとアザシチジンとベネトクラクスを併用した治療を行うグループとに無作為に分けられた。この治験で得られたデータから、AMLの患者にこの治療(二つを併用した治療)を行うことによって治療の成績が大きく改善することがわかった。二つの薬を併用する患者のグループの方が、完全寛解となる割合が高く、成績がよかった。また、我々は、この治験から、IDH1/2などの特定の遺伝子変異を有する腫瘍細胞を持つ患者が、アザシチジンとベネトクラクスを併用した治療に良く反応するということがわかった。私は、これが、過去5年間、いや、おそらく過去10年間に行われた治験で、AMLの治療の実際のあり方を変える主要なものであると考える。」

 

 OncLive 「第3相のQUAZAR AML-001(NCT1757535)の治験が、もう一つ、AMLという病気に関してデータを読み取ることのできる治験として行われてきた。この治験によって得られたデータをもとに、米国食品医薬品局(FDA)によって維持療法を適応とする経口アザシチジンの医薬品としての承認が行われた。この食品医薬品局による承認決定は、AMLの治療においてどのような意味を持ったか?」

 Atallah教授 「この治験は、中間リスクか又は高リスクのAMLの患者が参加できる治験であった。実際には、ほとんどが中間リスクの患者が登録した。参加した患者は、寛解導入療法と地固め療法を受けた後、経口アザシチジンの維持療法を受けるグループとそれを受けないグループとに無作為に分けられた。経口アザシチジンは2週間続けて投与した後、2週間休薬するという形で、病気が進行するか又はアザシチジンが不応となるまで続けられた。患者は、この治療にきわめてよく耐えた。この維持療法は、全生存率(OS)と無再発生存率(EFS)を高くする成果をもたらした。

 この事実に基づいて、経口アザシチジンを維持療法として用いることに対して米国の食品医薬品局が承認した。ここで、私としては、経口アザシチジンとアザシチジン静脈注射とは異なることを強調したい。二つの薬の用法と薬理作用は異なっており、そのようなものとして、現段階では、両者を互換的に用いることはできない。」

 

 OncLive「ベネトクラクスのような薬の効果をさらに高めて、これらの患者の状況をより良くする努力はなされているか? 3つの薬を組み合わせた治療のレジメンについては研究がなされているか?」

 Atallah教授「(75歳以上である等の理由から強力な化学療法の適応のない)AML患者に対する第1選択の治療法として、ベネトクラクスをアザシチジン、デシタビン、又は低用量シタラビンと組み合わせて用いることをFDAが承認の後、多くの治験が、このグループの患者の生存率を上げるために、さらにもう一つの他の薬を加えた効果を検証している。その場合は、もちろんではあるが、その有効性と有毒性とを秤にかける必要があるだろう。しかし、ベネトクラクスがAMLに対する治療の実際を変えたことは明らかである。」

 

 OncLive 「CLLに移ると、CLLに対して急速に勢いを増えている現在広がりつつある治療のアプローチは、どのようなものか。」

 Atallah教授 「CLLでは、過去5年ないし7年の間に治療方法は顕著な進歩を見た。現在使用できるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤とBCL-2阻害剤によってどれほど多くの患者が生きられるになったのかを考えると、驚くべき進歩である。現在、我々は、BCL-2阻害剤とBTK阻害剤を併用する治療に非常にエキサイトしている。これらの併用によって、70~80%もの患者が、微小残存病変(MRD)陰性の状態を達成していることは、きわめて注目すべきことである。これらの併用が将来どのような結果を出すのかについては、これからわかるであろう。」

 

 OncLive 「ベネトクラクスを別の薬と併用する新しい組み合わせによる第3相の治験においても、新たなデータが最近報告されている。この新たなデータからどのようなことが読み取れるのか?」

 Atallah教授 「二つの治験での最新のデータがわかった。そのうち、3CLL14(NCT02240292)第3相は、初発時から(BTK阻害薬に)ベネトクラクス+オムニツズマブを併用した場合を検討している。また、3MURANO(NCT02005471)第3相は、再発・難治性CLLに対して、(BTK阻害薬に)ベネトクラクスとリツキマシブ(リツキサン)を併用した場合を調べたものである。

 これらの治験では、微小残存病変(MRD)が陰性となった患者のうちのおおむね80%が寛解状態を維持し、フォローアップである4ないし5年間の間も治療を要しなかった。その一方、17p欠失、染色体の異常、IGHV未変異などの高リスクの患者は、高リスクの遺伝子変異を有していない患者と同じほどには成功しなかった。これらの高リスクの患者におけるニーズは依然として満たされておらず、それらの患者に対する治療を改善する必要がある。」

 

 OncLive 「微小残存病変(MRD)陰性を達することに関してこれまでわかったことから、この基準が治療においてどんな意味を持つのか?先生は治療上の決定を下す際にこの基準をどのように使っているのか?」

  Atallah教授 「微小残存病変陰性を達成することは、CLLにおける無再発生存率を予測する上で、また、ある治験によれば、全生存率を予測する上で、大変重要であることが、これまで何度となく示されてきた。また、たとえば、BCL-2阻害薬のベネトクラクスを使う場合に、患者が無治療で過ごせる期間が非常に重要であり、この判断は微小残存病変が陰性か陽性かによって決められる。近い将来も、患者が長期間無治療のまま過ごし、生きられるようにするために、患者の微小残存病変を陰性にするように試みることが、我々の治療の目標となるであろう。」

 

 OncLive 「ALLの治療パラダイムにおける最も新しい動きとは、どのようなものなのか? 強力な化学療法の使用を減らすためになされている努力とはどのようなものか?」

 Atallah教授 「成人のALLについては、とりわけ、(抗体による)免疫療法の関連で、多くの進歩がみられた。イノツズマブ オゾガマイシン(ベスポンサ)というCD22を標的とし、殺細胞薬を組み合わせた抗体と、ブリナツモマブ(ビーリンサイト)というCD19に対する二重特異性抗体がそれであり、これらの薬剤は、再発・難治性のALLに対する治療の姿を実際に大きく変えた。そして、我々は、初期治療の時から同様の成果が得られると期待している。

 また、最近終了した治験である(NCT02013167)では、これに参加した患者を化学療法だけのグループと化学療法とブリナツモマブを組み合わせるグループとに無作為に振り分けた。我々は、この治験の結果を待っている。また、現在進んでいるもう一つの治験では、参加した思春期及び若年成人の患者を化学療法だけのグループと化学療法にオブニツズマブを組み合わせるグループに無作為に振り分けている。我々は、また、この治験のデータも期待している。

 ブリナツモマブとTKIであるダサチニブ(スプリセル)を併用する治療は、フィラデルフィア染色体陽性の患者に対して驚異的な有効性を持つことが示された。この組み合わせにより、患者のほぼ80%の者が完全寛解を達成し、短期のフォローアップ期間である1~2年間においても寛解状態を維持した。我々は、これらを併用しての治療が、将来において化学療法に取って代わると信じている。

 また、現在進行中の共同治験が、ブリナツモマブとTKIを組み合わせる治療と、化学療法とTKIを組み合わせる治療とを比較している。この治験の結果がどうなるかを我々は注視している。最後に、我々はCAR-T細胞の進歩と、それによって再発・難治性の患者がどれだけよい状態になったかということについても無視することができない。この方法による操作を加えることで患者は微小残存病変陰性を達成している。もちろん、我々は、この治療に関してより長い期間のデータを待つ必要がある。」

 

 OncLive 「先生はブリナツモマブによって新しく探求されたアプローチのいくつかに言及している。どのような患者が、この薬によって最も成果を得るのか?」

 Atallah教授 「ブリナツモマブは、再発・難治性の患者に効果を有することが示されている。また、ブリナツモマブは、微小残存病変に一層高い効果を有することも示されている。患者から病気の形態的特徴が消え、フローサイトメトリーやchronoSEQによっても微小残存病変が見つからなければ、ブリナツモマブは大いに効果があったということである。最初の寛解の時に微小残存病変がしつこく残っていた患者ですら、その時点でブリナツモマブによる治療を行えば、造血幹細胞移植に進むか否かについて検討する必要がなくなりうる。この分野では、初期段階の治療とフィラデルフィア染色体陽性の患者に対して、ブリナツモバブは、その結果において顕著な改善をもたらした。」

 

 Onclive 「CMLの治療に移ると、現在注目の的となっている重要な分野は、TKIを中止できる可能性に焦点を当てている。この点に関しこれまでにわかったことは何か?」

 Atallah教授 「CMLにおける現在の焦点は患者から薬を取り除くことである。患者からこれらの薬を取り除くことのメリットは、多数存在する。第一に、TKIの治療を受けている患者は現実に生活の質が低い。これらの患者にとって、私たちが軽いと考えるところの下痢や倦怠感などの副作用がみられる。しかし、もし薬をずっと続けるとすると、患者としては、一生涯これらの副作用を経験することになる。そのようなものとして、それらの副作用は軽いと形容されるべきではない。

 第二の中止によるメリットは、経済的なものである。TKIはきわめて高価である。アメリカでは、CMLに罹って生きている患者が、少なくとも5万人おり、一人当たり1年間に約10万ドルの薬の費用がかかっている。これは、国全体としては40ないし50億ドルに達する。そのようなものとして、TKIの中止は社会にとって利益があるだけでなく、(健康保険でカバーされない)自己負担の重さに悩む患者にとっても利益がある。また、転職する際に、転職先の健康保険がこの治療をカバーしているか否かも患者は心配している。

 最後に、2010年から始まった治験に参加する数千人の患者の状況から、TKIの中止を試みることは安全であることが示されている。TKIを中止できる可能性があることは、大変に重要であり、より若い患者や小児の患者の場合には一層重要である。たとえば、12歳や14歳から、TKI又はその他の薬で60歳や70歳まで治療を続けることは、生活の質という点では理想的とはいえない。また、非常に長期間TKIを続けることによる副作用はどんなものかということも、わかっていない。」

 

 OncLive 「TKIを中止した後の患者のモニタリングにおいては、どのようなアプローチをとるのか?」

 Atallah教授 「TKIを中止する場合、患者は一定の基準を満たす必要がある。大きく言うと、患者はCMLが慢性期になければならず、また、少なくとも3年間はTKIを服用しており、かつ、少なくとも2年間はBCL-ABLが0.01%未満の分子遺伝学的な深い奏功の状態を維持していなければならない。

 これらの基準を満たす患者が無治療寛解の達成に成功する割合は、約50%である。患者がTKIの中止を試みる場合に、患者のモニタリング(検査による経過観察)については、最初の6か月間は毎月これを行い、その後18か月間はこれを2か月に1度行い、その後は3か月に1度行う。初期に集中的にモニタリングをする理由は、分子レベルで再発する患者は、ほとんどが最初の6か月の間に再発するからである。

 我々が注意しており、かつ、患者に知らせる必要があることは、TKIを中止する場合、BCL-ABLがMR4、つまり0.01%未満か、微小残存病変が陰性であると推測できるという基準を満たせば、中止をする一方、治療を再開する場合には、分子遺伝学的な大寛解(MMR)でなくなる、すなわち、BCL-ABLが0.1%以上になる場合にのみ、治療を再開するという点とである。この点を患者に言っておくことは、患者の心配を減らすためにきわめて重要であり、とりわけ、かつてBCL-ABLが陰性であった患者が治療を中止した後でBCL-ABLが陽性になった時には、このことを患者に説明することが重要である。」

 

 

 OncLive 「TKIの中止を支持する根拠として、どのようなデータを読み取れるのか?」

 Atallah教授 「基準を満たす患者において無治療寛解が成功する割合は約50%である。世界の様々な地域で様々なTKIの中止に関する多数の治験が行われており、その全参加者は2千人を超えている。これらの治験の全てにおいて、無治療寛解に成功する率が似ていることは驚くべきことである。すなわち、実際に成功率は40%から60%の間に入っている。LAST(NCT02269267)は、第1世代のTKIだけでなく、様々なTKIを用いていた患者が参加したアメリカの大規模治験であったが、無治療寛解に成功した率は約60%であった。

 これらの2000人超の患者の症例報告において、治療中止により移行期又は急性転化期へと病期が進む懸念がないかが検討されたが、そうなった割合は0.5%を下回る。この率は、実際には、TKIを続けている患者全体に関して報告されている割合とほとんど違わない。我々が知る限り、実際にTKI中止を試みることによるリスク上昇はない。」

 

 OncLive 「先生はTKIの中止に伴う長期の有害事象について理解しようと努力する必要があると指摘されている。典型的にみられる有害事象はどのようなものであり、先生はこれらの患者に対してどのように対処しているのか?」

 Atallah教授 「患者が経験することのありうる有害事象としては、TKI中止症候群というものがある。その場合、患者は主として腕の関節痛になるが、ほとんどの場合6か月以内に痛みは解消する。支持療法としては、非ステロイド系鎮痛剤かアセトアミノフェン(タイレノール)が処方される。痛みがきわめて強いという理由から、TKIを復活させる患者はいるが、きわめて少ない。私個人としては、ある1人の患者の痛みが3~4か月も継続し、痛みもステロイドを試すほどに激しく、もう麻薬を使おうという段階になって、その患者にTKIを再開したことがある。

 第2の有害事象、むしろ試練は、検査を受けるために病院に行く必要があることである。既に述べたように、最初の6か月間は検査を毎月受ける必要があり、その後の18か月間では2か月毎に検査を受ける必要があり、その後は3か月毎に検査を受ける必要がある。このような頻繁な検査のスケジュールは、長い間TKIの治療を受けてきた患者で、治療の反応が良い場合には、3か月か6か月に1度検査を受け、1年に1度医師と面談するのが通常であるから、それと異なっている。このフォローアップ期間は、検査のスケジュールがより頻繁であり、特に最初の1ないし2年間は、患者はこの頻繁さに慣れていない。この問題は、コロナ禍で患者がどの病院にも実際行きたくない期間に浮かび上がった。もう一つの考慮すべき問題は、患者が再発していないかどうか、また、治療を再開する必要がないかを調べるために、月に1度病院に来る際に経験する不安感である。

 

 OncLive 「中止の途中で患者を最大限サポートする場合に、先生はどのようなことを患者に助言するのか?」

 Atallah教授 「治療を再開する必要がある患者の場合には、患者自身の言葉によると、あたかも、もう1回白血病になったような感じになるので、大変にストレスが強い。無治療寛解を試みている間は、患者をサポートするために、TKI中止症候群、モニタリングのため検査が前より頻繁になること、検査でチェックする際の不安感についてよく説明することが重要である。」

 

 OncLive 「治療における様々なTKIの選択肢を見ると、ボスチニブ(ボシュリフ)は、最も新しく市場に出たものである。他のTKIの選択と比べてこの薬のどこが期待されているのか?」

 Atallah教授 「ボスチニブはイマチニブ(グリベック)、ダサチニブ、エルロチニブ(タルセバ)と薬の作用が非常によく似たTKIであるが、副作用の内容がそれらとは異なっている。ボスチニブは、最初は再発・難治性の薬として、次に初期段階からの薬として最も新しく市場に出たものである。ボスチニブは、食後に1日1回飲めばよく、全体的に耐容性が高い。ボスチニブで経験される主な副作用としては、肝機能障害、皮膚の発疹、下痢がある。下痢は最初は非常に激しいことがあるが、その後は徐々に収まる。

 ボスチニブの用法として二つの方法がある。まず、その一つは、最初の時から1回の用量-これは初発のCMLでは400mg-を服用する方法である。その場合、患者には、最初の2週間ぐらい激しい下痢になることがあるが、その後良くなって行くと説明する。もう一つの方法は、最初100mgから始め、200mg、300mg、400mgの1回の用量へと徐々に増やしていく方法である。このようにすれば、患者が激しい下痢に見舞われるのを阻止し、この薬を続けたくなくなるのを防ぐことが出来る。

 イマチニブと比べての薬の有効性という点では、ボスチニブのデータは他の第2世代のTKIについてわかっているデータと匹敵しうるものである。イマチニブと比べると、全生存率の点では差はないが、第2世代のTKIとして、イマチニブより早く、より深い寛解に達するのである。」

 

 OncLive 「患者がこの薬を続けられるかどうかについての先生の経験はどうか?」

 Atallah教授 「全体としてみると、ボスチニブは1日1回飲めばよく、下痢や肝機能障害のような副作用はあるものの、耐容性は十分あることから、患者としてはこの薬を続けて行くことが可能である。イマチニブと比べた各種TKIの治験の第3相から、最終的には患者の約65%が最初に選んだTKIを変えないことがわかっている。これは、薬の副作用と薬が効くことによるものであろう。つまり、最終的には患者の3分の1しか最初に選んだ薬を変更していないのである。」

 

 以上で拙い訳を終わることにします。私は専門の医者でも何でもないし、それぞれの方の病状は全く知らないので、詳しいことは主治医の先生に聞いて頂ければと思います。

 

 

 それから、上記の記事の急性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病の治療の進歩のところで出てくる、「ベネトクラクス」という薬についてですが、BCL-2というがん細胞の増殖に関わるタンパク質の働きを阻害し、がん細胞を細胞死へと導く優れた分子標的薬については、本ブログの若い血液内科医の先生の日常や感想等をつづったブログの最近の記事ベネトクラクスでも触れられており、患者の方向けではありませんが、大変に参考になります。