ご存じの方も多いと思いますが、7月15日に、日テレ系列のKYT鹿児島読売テレビにおいて「白血病患者・家族の訴え 再接種の費用は?」と題する報道番組が報道され、その内容を動画において見ることが出来ました。ところが、その後、理由は明らかにされていませんが、この動画が削除されて閲覧出来ない状態になっています。ただ、その内容のごく一部は、内田直之アナウンサーのXによって見ることができます。

 白血病と戦う家族の訴え 2021年7月15日

 

 現在のコロナ禍の中で、すべての国民が無料でワクチンの接種を受けることができ、それによって自己負担なしに自分の身を感染リスクから守ることができる一方、がんの治療行為などにより定期接種で得た免疫を失った子が、医師によって必要であると判断された定期接種の再接種をなぜ自費で受けることになるのでしょうか?。率直に言って納得のいかないところであり、不条理を感じざるを得ません。もちろん、大人の白血病患者の場合でも治療によって免疫を失った場合に、再接種の費用負担は原則自費となります。しかし、特に小児がんの子の場合には、平均年収が20代で348万円、30代で444万円と低い若い世代の親にとって非常に重い小児がんの治療に必要な費用の負担に加え、付き添いなどに伴う肉体的・精神的な負担もあり(仕事を減らしたり、やめざるをえない場合も多いといわれます。)、その上に多数の定期予防接種が再接種として必要とされるために、造血幹細胞移植を受けた場合、再接種による費用の負担は15万~20万円に及ぶと言われており、翔夢君の場合も20万円以上はかかるということで、その負担は極めて重いといえます。そこで、折角小児がん治療できたのに、感染症によってその子が命の危機にさらされることのないよう、必要な予防接種を費用負担なしに受けることができるようにすることが必要であり、そのためには、再接種費用の助成、さらに(副反応に対する補償を十分にするための)国による定期接種化が本来は望ましいことは否定できません。

 

 

 

 

  追記1-この番組が報道された2021年の時点では、鹿児島県による市町村の助成事業に対する補助が行われていないことが、再接種費用の助成事業の実施を積極的に踏み出せない理由の一つとして挙げられていました。しかし、上記の番組が大きな反響を呼んだことがきっかけとなって、鹿児島県が2022年2月に発表した鹿児島県 令和4年度当初予算(案)の要点26頁は、若年がん患者等支援事業の一つとして「造血細胞移植後ワクチン再接種費用助成事業」を実施することを公表し、「造血細胞移植を受けた20歳未満のがん患者等へワクチン再接種費用を助成する市町村に対し、その経費の一部を助成」することを明らかにしました。鹿児島県は、実際に、感染症予防及び経済的負担の軽減のために、造血細胞移植を受けた20歳未満の方の再接種費用について助成する県内市町村に対して、その費用を一部補助する補助事業を開始しており、これを受けて鹿児島市も、造血細胞移植を受けた子の再接種費用を助成する事業を開始しています(鹿児島KYTニュース2022年2月23日 予防再接種費用 鹿児島市が助成へ

 なお、その後、鹿児島県内における再接種費用の助成事業が進められ、鹿児島県内43市町村のうち36市町村が、20歳未満の方の造血細胞移植後ワクチン再接種費用助成事業を実施しています(鹿児島県 造血細胞移植後ワクチン再接種費用助成事業)。