自身の大変な闘病経験に基づき、「『がんになって良かった』と言いたい」という本を書かれ、その前向きに生きる姿勢が私も含めて病気に苦しむ方に感動を与えた、京都大学工学部大学院生の山口雄也さんが、大変残念なことに去る6月6日にお亡くなりになりました。

 本ブログでも、過去に山口雄也さんのことは、2019年9月の記事ひとモノガタリ「“がんになって良かった”と言いたい~京大生のSNS闘病記」について~において取り上げたことがあり、そこで私なりの感動を伝えたところでした。山口雄也さんがお亡くなりになられたというニュースは、私のスマホのグーグルの最初に出てきたこともあり、多くの方もおそらくご存じであると思います。が、以下に、山口雄也さんが亡くなられたことを伝える、京都新聞の記者の心のこもった新聞記事が出ているので、これにリンクしたいと思います。

 

 京都新聞2021年6月20日「 「必ず生き延びる」SNSで伝え続けた思い 『がんになって良かった』京大院生 山口雄也さん 23歳で他界」

 

 また、その後、山口雄也さんがお亡くなりになって2か月ほど後に、山口雄也さんがネットに遺した生きた証をどのように捉えればよいのかという観点の下に、答えを見出そうとする以下の記事が東洋経済に出ています(東洋経済の記事にリンクすると、次の頁になぜか進めないため、ヤフーによります。)。

 東洋経済2021年8月18日号「享年23歳の京大院生が遺した痛切なる『生きた証』」

 

 なお、1年後の2022年に、今度は、山口雄也さんの肉声による献血のお願いがアップされている動画、日本赤十字社「生きたかった、だから闘った」が公開され、山口さんのご両親やお友達の言葉も記事になっています。

 

 

 

 なお、山口さんが最後に受けることになったハプロ移植(haploidentical hematopoietic stem cell transplantation)について、そんなに成功率が低いのかと心配になられている方も多いかもしれません。しかし、実態はそうではなく、むしろ最近では、欧米でも日本でも少し前に比べて一般的には成功率が相当に高くなっているようであり、ただ山口さんのケースは色々の悪条件が重なったことによるものであって、よほどの悪条件がある中であえてハプロ移植を行うのでない限り、それほどまでに心配することはないように思います。

 その点については、今の仕事が一段落した後に、脳トレを兼ねて、最近公表されたBlood等の英語の文献等をもとに記事を書いてみようと思うのですが、日本でも、このハプロ移植のパイオニアとして、山口さんのブログにも詳しく書かれている小川啓恭先生(2020年に造血幹細胞移植学会の学会報告-非寛解期AMLに対する低用量ATGとsteroidを用いる兵庫医大型haplo移植の成績-HLA適合同胞間移植との比較-を他の有名な先生と共にされています)によるMedical Noteの一般向け記事があり、参考になるのではないでしょうか。

 小川啓恭「ハプロ移植とは?その特徴と白血病治療における移植の歴史」Medical Note 2020年3月19日

 小川啓恭「ハプロ移植の研究を進め、白血病に苦しむ患者さんを1人でも多く救いたい」Medical Note 2020年3月19日