昨日の6月10日に、造血幹細胞移植情報サービスの「骨髄バンク集計」の部分が更新され、2020年5月31日の時点での骨髄バンクにおけるドナー登録の状況(速報値)-毎月の集計値の「差」による単純な増減数算出やそれを元にした集計は誤差を含むことになるので、引用には十分注意すべき旨が書かれています-が示されています。そこで、新たに更新された2020年5月31日までのドナー登録の状況(速報値)と、その5日後において、これをもとにまとめられた骨髄バンクの資料にリンクします。

 

 造血幹細胞移植情報サービス 骨髄バンク集計

 骨髄バンク事業の現状(2020年5月末現在)

 

 これによると、2020年5月における骨髄バンクの登録者数は782人と先月に引き続いて大変少なく、その一方で5月に登録取消しとなった方の人数は1,788人であって、単純な増減数算出は誤差を含むので、引用に十分に注意すべきである旨の警告を破って申し訳ありませんが、ドナー登録者数は1,006人の純減となりました。その結果、2020年5月31日段階における骨髄バンクのドナー登録者の方の合計数は527,793人へとさらに減少してしまいました。

 このような新規ドナー登録者数の減少は、新型コロナ感染症の拡大と緊急事態宣言による外出自粛の影響によるものであることは明らかであり、ドナー登録者数の減少自体は仕方が無いこととはいえ、大変残念です。全国骨髄バンク推進連絡協議会の発行した「白血病と言われたら」を紹介した最近の東京新聞の記事でも、コロナ禍でドナー登録者が4月以降激減したことが指摘され、同協議会副会長の野村正満さんが、「ドナー登録会どころか支援活動もできない。移植に向けたコーディネートも滞った。」と訴えていることが報ぜられています(東京新聞2020年6月11日「骨髄バンクに関心を 池江璃花子選手公表で増えた登録がコロナで激減」)

 

 しかし、そのような困難な時期であったにもかかわらず、782人もの方に新たにドナー登録をして頂くことができたということは大変にありがたいことであり、骨髄バンクからの移植で命が助かった患者として深甚の御礼を申し上げたいと思います。また、同様に大変に困難な時期であったにもかかわらず、骨髄バンク事業の現状(2020年5月末現在)によれば、合計73件の非血縁者間の移植が行われています。そして、同意面談の延期によって移植のめどが立たなくなった患者が約20人出たものの、「院内感染で骨髄採取ができなくなった医療機関」については、「他の施設が引き受けるなど」の対応をして乗り切ったとされており(東京新聞2020年6月30日「コロナ禍で懸命の策 『献血』『骨髄バンク』」)、骨髄バンクを通じた非血縁者間での骨髄等の提供件数は大きく減少していないことがわかります。また、登録者の減少という点に関しても、TBSラジオ 森本毅郎スタンバイ!2020年6月25日「緊急事態宣言の全面解除後、献血と骨髄ドナーはどうなった」において、骨髄バンク広報渉外部長の小島勝さんが、「緊急事態宣言明けた後、徐々に新規の登録者は復活しつつあるかと思いますので、一時的な数字かなと思っております。」と話されており、今後に期待できるのではないかと思います。

 

 次に、都道府県別登録者状況(令和2年5月末速報値)及び骨髄バンクの【提供希望者】都道府県別登録者数(2020年5月末現在)よって、都道府県別の新規登録された方の数を多い順にみていきたいと思います。これによると、第1位は人口の多い東京都であり、100人の方が登録されており、以下、第2位は大阪府で77人、第3位は愛知県で68人、第4位は神奈川県で42人、第5位は千葉県で41人、第6位は埼玉県で36人、第7位は兵庫県で26人、第8位は福岡県で25人、第9位は京都府で23人、第10位は秋田県と熊本県でそれぞれ20人の方の登録があったことがわかります。特に注目されるところはないのですが、第10位にこれまで順位の上位になかった秋田県が登場しているので、今後に期待が持てるように思います。

 

 新型コロナで大変に困難な時期であったにもかかわらず、愛と勇気をもってドナー登録をして下さった方、ドナー登録本当にありがとうございます。!!

 また、同様に大変に困難な時期であったにもかかわらず、病院に何度も通院された上に、入院されて骨髄液や末梢血幹細胞を提供して頂いた方、本当にどうもありがとうございます。!!