忙しかったこともあって、すっかり更新がおろそかになり、申し訳なく思います。しばらく前のことですが、日本赤十字社が運営する造血幹細胞移植情報サービスにおける骨髄バンク集計のサイトが更新され、2020年1月における骨髄バンクのドナー登録の状況が公表されていますので、まず、このサイトにリンクします。
これによると、2020年1月における骨髄バンクの新規のドナー登録者は3,293人と、例年の1月に比べて多くの方にドナー登録をして頂くことができたことがわかります(骨髄バンク事業の現状(2019年12月末現在)、骨髄バンク事業の現状(平成25年1月末現在)によると、平成24年1月の3,819人に次ぐ歴代第2位の登録者です。)。とりわけ、後で詳しく述べるように、18歳以上20歳未満の若い登録者の方が444人と相当に多く登録して頂いたことは、ドナー登録者の方の高齢化が進んでいる現状において、大変嬉しく、ありがたいことであると感謝申し上げます。これによって、登録者の方のドナー定年等による1月のドナー登録の取消数は2,397人と相当に多かったのですが、全ドナー登録者の累計は896人の純増となり、全体では528,119人となりました。もうすぐ登録者数は53万人にとどきそうな勢いであり、骨髄バンク制度のおかげで命が救われた一人の患者として、今後とも、このような形で若者を中心にドナー登録が増加する傾向が続くことを願っています。
勇気をもってドナー登録をして頂いた方、本当にありがとうございます!!
次に、いつものように、都道府県別登録者数(2020年1月末現在)によりつつ、1月の新規登録者が多かった都道府県を上から順に挙げて行きたいと思います。
まず、第1位であったのは、いつものように人口の多い東京都であり、1月は464人の登録がありました。以下、第2位が大阪府で299人、第3位が神奈川県で225人、第4位が沖縄県で217人、第5位が千葉県で197人、第6位が愛知県で135人、第7位が熊本県で126人、第8位が埼玉県で112人、第9位が宮城県で107人、第9位が奈良県で87人、第10位が兵庫県と滋賀県でそれぞれ86人という順に続いています。今回は、18歳から54歳までの人口のうちに占めるドナー登録者の割合が最も高い沖縄県で217人もの登録者があり、そのうち実に186人の方が10代の最も若い方で占められていることは特筆すべきことであると思います。沖縄県で若い方の新規登録が多い理由としては、必ずしも明らかではないのですが、沖縄県では、平成27年年から、沖縄県赤十字血液センターと沖縄県骨髄バンクを支援する会とが連携しての多くの高等学校、専門学校、大学での登録会の積極的な実施が精力的に行われており、これが若い方の登録の拡大に結び付いているものと思われます(溝口晶一他「若年層骨髄ドナー登録への取組みについて」血液事業41巻3号11頁 (2018))、もっとも、実際の骨髄等の提供率の方は、企業のドナー休暇や自治体のドナー支援事業が進んでいないこともあって低迷しているという報道もありますが、まずは、多くの若い方に登録して頂くということが不可欠であり、住所変更などもきちんと知らせるように強調するなどの努力によって、より多くの提供へとつながると思うので、この沖縄県における取組みは参考になるのではないかと思います。
なお、沖縄県とは関係がないのですが、20歳未満の方の登録者を増やすためには、たとえば、小田原市の小田原高校で、実際の移植経験者の池谷有紗さんや提供経験者の方のお話を中心とする「骨髄バンクに関するセミナー」が開催されたこと(神奈川新聞2020年1月29日「体験者語る骨髄移植 小田原で高校生向けセミナー」、タウンニュース2020年2月8日号「骨髄移植体験談語る 小田原高校」)、高松市の香川県立高松西高校では、人権学習講演会として、全国骨髄バンク推進連絡協議会の大谷貴子さんが自身の経験をもとに骨髄バンクや献血の必要性を講演されていること(香川県立高松西高等学校2019/11/26「人権学習講演会」)、同じく、高松市の高松中央高校で開かれた講演会では、かがわ・骨髄バンクを応援する会副代表の後藤千英さんが、献血や骨髄バンクでの登録を必要性を訴えられていること(四国新聞2019年3月12日「骨髄バンクに理解を 高松中央高で講演会、移植者 協力呼びかけ」)、富山市の富山県立衛生総合学院では、富山県の主催で、小田原高校でも話をされた池谷有紗さんが、看護師等を目指す学院の学生を前に語り部として骨髄バンク事業と登録や献血の必要を語っていること(チューリップテレビ2019年3月7日「骨髄バンク事業に理解を 語り部が伝えたいこと」)などが参考になると思います。このような地道な講演会等の取組みと組み合わせていけば、きっと、多くの若い方の登録に結びつくのではないかと期待しています。
本当にどうもありがとうございます! 移植によって命を救って頂いた患者として心からお礼申し上げます。