今日は、骨髄バンクにおける10代(18歳及び19歳)の若い方の各月ごとの新規ドナーさん登録者数が、骨髄バンク事務局が毎月1回発行しているMONTHLY JMDPの最初の「日本骨髄バンクの現状」に出ているので、このデータを使って、2011年1月~2021年12月までの最近10年間ほどの10代の若い方の新規ドナーさん登録者数の推移を見てみたいと思います。なお、400人を超える10代の方の新規登録者があった月は下線を引き、特に500人を超える10代の方の新規登録者があった月は太字にしました。

 

2011年

1月131人、2月137人、3月128人、4月212人、5月288人、6月260人、7月214人、8月141人、9月171人、10月331人、11月235人、12月305人

(合計2,553人)

 

2012年

1月250人、2月202人、3月179人、4月244人、5月273人、6月307人、7月249人、8月165人、9月165人、10月378人、11月318人、12月272人(合計3,002人)

 

  2013年

1月244人、2月306人、3月179人、4月307人、5月330人、6月384人、7月216人、8月114人、9月211人、10月308人、11月223人、12月279人(合計3,101人)

 

  2014年

1月209人、2月197人、3月183人、4月416人、5月323人、6月287人、7月153人、8月65人、9月137人、10月238人、11月187人、12月198人(合計2,593人)

 

 2015年

1月159人、2月149人、3月113人、4月305人、5月392人、6月433人、7月296人、8月137人、9月149人、10月306人、11月223人、12月217人(合計2,879人)

 

 2016年

1月276人、2月303人、3月139人、4月439人、5月345人、6月486人、7月360人、8月129人、9月146人、10月373人、11月277人、12月300人(合計3,237人)

 

 2017年

1月415人、2月393人、3月141人、4月499人、5月496人、6月364人、7月431人、8月150人、9月206人、10月474人11月409人、12月344人(合計4,332人)

 

 2018年

1月442人、2月278人、3月162人、4月613人5月469人6月463人7月489人、8月161人、9月224人、10月454人11月412人12月404人(合計4,571人)

 

 2019年

1月479人、2月594人、3月322人、4月882人、5月579人、6月704人、7月470人、8月150人、9月248人、10月474人11月448人、12月353人(合計)

 

 2020年

1月325人、2月314人、3月205人、4月不明、5月27人、6月150人、7月198人、8月158人、9月204人、10月307人、11月229人、12月210人(合計)

 

 2021年

1月325人、2月230人、3月199人、4月452人、5月256人、6月243人、7月198人、8月139人、9月151人、10月271人、11月319人、12月430人(合計)

 

 

 

 上記の表にしたがって各歴年における10代の方の新規のドナー登録者数の推移をみると、ここ8年ほどの間の間に10代の方の新規登録者数は増加する傾向にあることがわかります。そして、上記のような10代の方の新規登録者数の推移は、同じ期間における新規登録者数全体の傾向を反映している面がありますが、最近8年間の間に10代のドナーさん登録者の方がドナーさんの登録者全体に占める割合自体も増加していることが注目されます。すなわち、各暦年における10代の方の新規登録者数がその年の新規登録者数全体に占める割合は、2011年6.6%、2012年7.5%、2013年9.1%、2014年9.4%、2015年10.2%、2016年10.1%、2017年12.6%、2018年13.0%となっており、10代の方の新規登録者の割合が年々少しずつ大きくなっています。そして、2011年と2018年を比べると、少子化傾向が言われているにもかかわらず、10代の方の新規登録者が新規登録者全体に占める割合は2018年には2011年の約2倍に増加しています。このことは、沖縄県の多くの高等学校等における沖縄県赤十字血液センターによる献血並行型の登録(全国協議会ニュース2017年4月1日号2頁「若年層ドナー登録は難題ではない」)やドナー登録会の開催(溝口昌一他「若年層骨髄ドナー登録への取り組みについて」血液事業41巻3号775頁(2018))、おかやま山陽高校が主催するドナー登録会(卒業記念に骨髄ドナー登録 おかやま山陽高3年おかやま山陽高校 2019年1月22日日本骨髄バンクNews Vol.52 5頁「広がるパートナーシップの和 学校編」)や、高校生を対象とした骨髄バンク事業の普及啓発講演会(香川県 香川県骨髄等移植普及啓発講演会を開催しました)、平成29年10月のことですが、名古屋市内の高校での骨髄バンク啓発ポスター掲示、市内の高校三年生全員への啓発クリアファイルの配布(10月は骨髄バンク推進月間です-名古屋市 2頁)などの取組みが成果を上げていることを示すものと考えます。

 もっとも、全体としてみると、骨髄バンクのドナー登録者の高齢化が進行している状況にあり、若年層(30歳未満の方)のドナー登録者の方が相対的に少ないことが骨髄バンク事業における大きな課題とされています(厚生労働省健康局 平成31年1月18日「全国厚生労働関係部局長会議説明資料」97, 101頁)。そのため、若年層のドナーさんの登録推進に向けた様々な取り組みが進められています(日本骨髄バンク 平成30年度事業計画書など)。もっとも、若年層の主要な部分を占め、骨髄等を提供可能な20代の方の各年各月ごとの新規登録者数は骨髄バンクにおいては公表されていません。もっとも、各年度における新規登録者数を年代別及び都道府県別にみたデータが日本赤十字社にあり、このデータを最近骨髄バンクも入手したとされています(日本骨髄バンク 第55回 業務執行会議 議事録4頁以下)。それによると、平成29年度の新規登録者数全体(34,990人)のうち30%を20代の方が占め、1万人を超える20代の方が平成29年度に新規にドナー登録をしてくれたことがわかります。また、平成23年(年度ではない)から平成28年の各歴年における新規登録者全体に占める各年代の方の割合を示す表が、平成29年度の神奈川県造血幹細胞移植推進協議会会議資料5.骨髄ドナー登録時の年齢分布の推移に出ています。この資料によると、20代の方の新規のドナー登録者は平成23年が29%、平成24年が29%、平成25年が31%、平成26年30%、平成27年が29%、平成28年が29%とほぼ30%付近で推移していることがわかります。この30%という割合は、平成3年以降のドナー登録者数の累計である494,084人に占める20代の方のドナー登録者数全体の割合である15%の2倍であり、平成23年以降は相対的に多くの20代の方がドナー登録をされるようになったということがわかります。このことは、若年層のドナーさん登録者の増加に向けた骨髄バンクによる様々な取組みが成果を上げていることを示しています(最近の成果を挙げた注目すべき事例として、若年者の男性の方が集まる秋葉原のakiba:F献血ルームでの骨髄バンク職員+若いボランティアの方による登録説明の大きな効果を示している日本骨髄バンク 第57回 業務執行会議 議事録2-3頁を参照)。

 ただ、骨髄バンクにおける若年層を中心とした方によるドナー登録の推進は、骨髄バンクや日本赤十字社、あるいは自治体だけが考えればよい問題ではなく、患者やボランティアの方も含めて広く市民の方が基本的な情報を共有した上で、様々な観点からそのための方策を検討し、結果を検証すべき事柄ではないかと思います(たとえば、日本骨髄バンクNews Vol.52 2頁「語りべからのメッセージ」でも紹介されている石井希さんは、アンケートをもとに「日本の骨髄移植の問題点と解決策~大学生のドナー登録のために出来ること~」という卒論を書き上げ、学内で登録を呼びかける講演会活動を行った経験から、若年層に向けた普及啓発等を行う骨髄バンクユースアンバサダー第1号に選ばれており、石井希さんの活動や提案が骨髄バンクにも大いに参考になったように思われます(日本骨髄バンク 第53回業務執行会議議事録2頁参照)。したがって、10代の方だけでなく、20代の方の各年各月における新規登録者数に関する詳しいデータについても、一般の人々がネットで簡単にアクセスできるようにして頂けないかと思います。