今日は、目新しいものではないのですが、骨髄バンクのサイトの骨髄バンクデータ集にある骨髄バンク事業の現状(2018年9月末現在) 【速報値】と、10月5日に公表された日本造血幹細胞移植データセンターのサイトにある9月末時点の都道府県別登録者状況にリンクし、これらの最新の統計資料からみた2018年の骨髄バンクドナーさんの登録状況の推移について簡単に述べたいと思います。

 まず第一に、各月の新規登録者数のデータが出ている2013年から現在までの各月の新規登録者数を見ると、骨髄バンク推進月間として登録に向けた多くの取組みが行われる10月を別にして、一般に新規登録者数が3,000人を超えることは少ないといえます(2013年と2017年は例外で、2013年は1,10,12月で、2017年は7,10,11,12月で3,000人を超えています)。これに対して、2018年は、1月の3,021人のほか、特に8月において3,326人と突出して登録された方が多いことが注目されます。この理由を考えてみると、おそらく二つの偶然が重なったことがあるのではないかと思いました。すなわち、第1は、本ブログの8月9日の記事骨髄バンクに関連する番組の放送についての追記で紹介した、8月10日の「爆報THEフライデー」における俳優木下ほうか氏の骨髄提供の体験談が多くの視聴者の心に響き、実際にはほとんど痛みもなかったということなので、とりあえず登録してみようと考える方がこの時に増えたという理由が考えられます。ちなみに、この番組放映後、骨髄バンクへの登録に関する問い合わせが普段の20倍に増えるなど、大きな反響を呼んだことが示されています。また、第二に、そのすぐ後に強烈な印象を残した出来事として、大分県日出町出身の尾畑春夫さん(78)が、ボランティアで山口県周防大島町を訪れて行方不明になった2歳の子をすぐに発見し、その子の命を救った後も、豪雨災害で被害を受けた広島県呉市に行き、ボランティアで後片付けをするなどの大活躍をされているということが影響したのではないかと推測されます。つまり、多くの方にとって、スーパーボランティアの尾畑さんのようなことまではできなくても、白血病等に苦しむ患者さんの命をつなぐチャンスをもたらすボランティアとして、骨髄等の移植のためのドナー登録は比較的簡単にできるため(といっても、実際に骨髄等を提供するのは大変であり、そのために地方自治体によるドナーさん助成制度が必要です)、ドナー登録をした人がかなりいたのではないかと推測されます。

 第2に、ドナーさんの登録者の現在数(有効な登録者の数から年齢等の理由で取り消された登録者の数を引いた人数)が9月末の時点で490,020人と49万人を超えたということも嬉しいニュースであり、このまま行くと、来年の秋にはドナーさんの登録者の現在数が500,000人の大台を超えるのは確実ではないかと思います。これも、登録会を開いて下さっている自治体関係者の方、各地のボランティアの方々地道な活動の賜物であり、骨髄移植のおかげで元気になれた一人の患者として、心よりお礼申し上げたいと思います。

 

 追記-2018年11月9日に公表された日本造血幹細胞移植情報サービス 骨髄バンク集計によれば、2018年10月の新規のドナー登録者数は4,019人であったということであり、これまでの10月の骨髄バンク推進月間の3,000人台を超え、2012年10月の4,179人以来、6年ぶりに4,000人の大台に乗せたことが明らかになっています。一方、10月の登録取消者数は1,707人、新規登録者数から登録取消者数を差し引いた10月の登録者の純増分は2,312人であり、ドナー登録者有効数は合計492,332人となったとされています。また、同じ日に公表された都道府県別登録者状況(平成30年10月末速報値)によれば、都道府県別の10月の新規登録者数は1位が東京都の498人、2位が神奈川県の321人、3位が大阪府の268人であり、例年に比べても東京都と神奈川県がかなり多くなっていることが注目されます。