3か月以上も前のことになりますが、2月21日の本ブログの記事再発又は難治性のCD22陽性急性リンパ性白血病に対するイノツヅマブオゾガマイシンによる治療成績において、既に行われたイノツヅマブオゾガマイシン(商品名-ベスポンサ点滴静注用1mg)の治験に基づく2017年の英語による学会報告を示し、その内容についてブログで簡単に述べると書きました。ところが、その宿題を果たさぬまま諸般の事情により長い時間が過ぎてしまいました。そのことについてここでお詫びしたいと思います。
そこで、素人ゆえの誤りはあると思いますが、同学会報告の内容と結論を簡単に述べておきたいと思います。この学会報告は、再発又は難治性の急性リンパ性白血病に対する救援療法としてイノツヅマブオゾガマイシン(単剤)を用いて治療する第1/2相の臨床試験、及び第3相の臨床試験に参加した236名の患者のうち、2016年3月の時点で造血(幹)細胞移植へと進んだ101名(43%)について、前に造血細胞移植を受けているか否か、最初の救援療法としてイノツヅマブオゾガマイシンが用いられたか否かによって、生存率等にどのような影響があったのかを後方視的に検討したものです。そして、報告者らは、対象となった101名全員についての移植後の生存期間の中央値は9.2カ月、移植後2年生存する確率は41%であったところ、その中で最も生存率が高く、成績がよかった患者群は、救援療法としてイノツヅマブオゾガマイシンを用いて寛解に達した後、そのまま(他の治療を間に行うことなく)初回の造血細胞移植へと進んだ73名のグループであり、この73名の移植後の生存期間の中央値は(半分以上の者が生存しているために)計算できない状態(not reached)であり、移植後2年生存する確率は51%であったと結論づけています。
次に、イノツヅマブオゾガマイシンをめぐるその後の状況について補足的に述べると、4月10日には、この新薬を開発したファイザー社主催のメディアセミナーにおいて、(おそらくは、これまでの治験の結果に基づいて)、「移植療法への架け橋として重要な役割を担う」という慈恵医科大学の薄井紀子教授による評価が出されています(再発・難治性ALL治療薬・ベスポンサ「移植療法への架け橋に期待」 慈恵医大・薄井教授)。
また、4月18日には、ファイザー社からイノツヅマブオゾガマイシン(商品名-ベスポンサ点滴静中用1mg)が発売されました(ファイザー 再発・難治性急性リンパ性白血病治療薬「ベスポンサ点滴静中用1mg」を発売)。ただし、その薬価は1,307,092円と極めて高価なものとなっており、高額療養費認定制度の下でも患者の経済的負担はあまりにも重いので、今後はその引下げが望まれます。また、1月における承認の際に、厚生労働省の担当課長により、イノツヅマブオゾガマイシン製剤の使用にあたっての留意事項が都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部(局)長宛てに発せられており(イノツヅマブオゾガマイシン(遺伝子組み換え)製剤の使用に当たっての留意事項について)、VOD等の様々な副作用が発生する可能性があることに留意しなければなりません。
なお、日本での発売とほぼ同時期の2018年4月には、イエール大学医学部血液内科部門の4人の医師によって、再発又は難治性のB細胞急性リンパ性白血病に対する治療薬としてのイノツヅマブオゾガマイシンの標準的化学療法と比べての有効性を再確認し、この新薬の用法と治療成績、副作用、現在行われている治験、今後の展望に言及した論文が公表され、PDFで全文を読むことができるので、これについてもリンクしておきます(その内容についてここで書く自信はないので、血液内科の医師に確認して下さい)。