一昨日アップした「造血細胞(移植)患者手帳について」は、表題のところに「移植」の語が抜けていたほか、全国協議会ニュース306号1頁にもうまくリンクすることができず、大変申し訳なかったです。今日は、造血細胞移植患者手帳の配布に伴って、従来一部の病院において配布されていた移植患者手帳はどうなるのか、ということについて補足的に述べてみたいと思います。
私自身は、今年3月に骨髄バンクを通じて非血縁者間の骨髄移植を受け、退院する際に、移植後の患者に対して、自己の移植の記録、通院時における血球・肝臓の数値等の状況(この部分は患者自身が記載する形になっています)に加えて、移植後に起こりうるGVHDなどの合併症とそれらを予防するための生活上の留意点を簡潔に記してある、次のような小冊子を頂きました(同種の小冊子は、すべての移植医療機関において配布されているのではなく、私が移植を受けた都立駒込病院が造血幹細胞移植推進拠点病院になっていることなどにより、2014年以降、同病院において移植を受けた患者のために配布されているものであり、個人的には重宝しています。)。
これを見てわかるように、この都立駒込病院の「造血幹細胞移植後 健康管理手帳」は、造血幹細胞移植を受けた患者自身が、移植後の自己の健康管理を適切に行っていくのをサポートする趣旨で作られたものであり、移植後に一定期間を経過して症状が安定し、地域の医療機関やかかりつけ医へと転医した際に、手帳を提示することにより地域の医療機関等に移植に関する情報を共有してもらうという目的はありません。なお、これと同様に患者自身の健康管理を助ける目的で作られた手帳としては、他にも、国立がん研究センター中央病院で移植を受けた患者に配布していると思われる、同種造血幹細胞移植療法を受けた方へ 「退院後の生活」などがあります(ちなみに、こちらの小冊子は、退院後の生活において留意すべき点が事細かに書かれている点に特徴があり、参考になります。)。
これに対し、本年12月から造血幹細胞移植を受けた患者に順次配布される予定であるという「造血細胞移植患者手帳」には、退院後に起こりうる合併症とその予防のための生活上の留意点の記載がなく、専ら移植患者の住む地域の医療機関やかかりつけ医に対して移植に関する情報及びその後にかかった生活習慣病等の情報を共有してもらう目的で作られたといえます。そして、このような「造血細胞移植患者手帳」の配布と提示の制度化は、とりわけ移植病院から遠いところに住む患者さんの方にとっては、遠方の移植病院まで行かなくても、自分の住む地域の医療機関やかかりつけ医が移植病院と時には連絡をとって情報を共有し、より適切な医療を受けることが可能になるという点で、メリットが多く、一歩前進だといえるでしょう。ただ、この「造血細胞移植患者手帳」には、移植後に自己の健康管理を行っていく上でのサポートとなる記載はないため、私を含む患者としては、従来通り、退院後の生活上の留意点などを記載した手帳や冊子がこれとは別に移植病院から配布されることを強く願いたいと思います。