↑これは比較的きれいな焼き色!

 去年の旅行中に大急ぎで寄ったボルドー(Bordeaux)。街歩きより車でシャトー巡りをしたいという夫の希望に沿って、1泊したのに結局数時間しかいられず、しかも長時間歩きたがらない子供達に足を引っ張られて心残りな滞在。美術館にもきちんとしたレストランにも行けずに、川沿いの水遊びの噴水の所で数時間…。汗
 で、横目に見ながら結局買い損ねたボルドーのお菓子、カヌレ(Canele de Bordeaux)。
食べられなくって残念!とずっと思ってたわけではないんですが、ミシガンでは見かけないもののアメリカでも意外と人気なのにびっくりです。地味なのに。
 あの独特の形じゃないと可愛くないけど、そんなに定期的に作るとは思えないから高い銅型は買えないなぁ、と思っていたら、最近はアメリカでもシリコン型で「まあまあ使える」クオリティのが出てきたとの事。お手頃価格なので誘惑に負けてしまいました。(*v.v)。
シリコン型だと曲げて収納ができる、というのを言い訳に…

 カヌレの名前ですが、レシピを調べていると「Canele」と「Cannele」(どちらも最後のeの上にアクセントがつきます)と2つの綴りが出てくるのがちょっと気になっていたんですが、たまたま読んでいたレシピにその説明が書いてありました。
 「ここ最近フランス中でいきなり有名になって、本来のレシピからかけ離れたもの(チョコとか抹茶カヌレ、とか言うことですかね~)との差別化を図るために、ボルドーの88軒のお菓子屋さんが集まって1つのレシピを守る事を誓い、更に以前からの名前の「Cannele」から「N」を1つとってボルドー市のカヌレだけを「Canele」と呼ぶことにした」(適当訳)

 さすがフランスのお菓子屋さん…ギルドがまだ残ってるんでしょうかね。
今回は調べてませんが、もしかしたら「Champagne」という綴りはシャンパーニュ地方のワインにしか使えずそれ以外のはSparkling Wineと表示しなきゃいけないのと同じ事にCaneleもなってるのかも?けどワインやチーズならともかく、このお菓子は海外に輸出する程は日持ちしないので、フランス国内での差別化なんでしょうね~。さすがヨーロッパは地方性を大事にしますね。なので正式にはボルドーの町で作られたカヌレは「N」が1つで、「Canele de Bordeaux」。それ以外の場所で作られるとNが2つで「Cannele boordelais」(ボルドー風カヌレ)となる模様。


 さて、カヌレの表面の艶。あれは何だと思っていたら、蜜蝋とバターを溶かしたものを型に塗る為にできる独特の表面だったんですね。蜜蝋ごとの蜂蜜も売っているくらいだから考えればわかるんですけど、蜜蝋って食べてもいいものなんですね~。(ノ゚ο゚)ノ
(そういえば小さい頃に「おいしそう!」とはちみつに入ってるものに噛み付いておいしくなくってショックだった記憶が)
 Whole Foodsならあるかも、と行って見たらやっぱりあったので少量購入して、今回型も届いたので試しに作ってみることにしました音譜

 レシピは色々ありますが、Pierre Hermeさんのレシピをもとに、尋常じゃなくカヌレにこだわってるChez Pimさんのブログ を参考に。
 こちらはバターを牛乳と溶かして混ぜるタイプですが、同じ材料で柔らかくしたバターを粉と卵と一緒に混ぜるという方法もあります。

Pierre Hermeのカヌレ・レシピ


小さい(3センチちょっと)型15個分程度。
<材料>
牛乳(全脂肪) 250cc
バター 25g
バニラビーンズ 1本(またはバニラエッセンス)

オールパーパスフラワー 55g
粉砂糖 125g
海塩 小さじ1(天然の塩じゃない場合は少し減らす)
卵 1つ
卵黄 1つ分
ラム酒 30cc

<作り方>
①牛乳、バター、縦に切って取った種ごとバニラビーンズを小鍋に入れて沸騰直前まで温める。
②卵と卵黄を混ぜておく。
③ボウルに小麦粉と粉砂糖と塩をあわせておいた中に、②を流しいれて、ダマにならないように少しずつ混ぜ合わせる。




④人肌に冷ましておいた①からバニラの鞘を取って、③に少しずつ流しいれてなるべく空気を入れないようにすり混ぜる。
⑤ざるで一度濾して、ラム酒を加えてからラップをして冷蔵庫で24時間ほど寝かせる。
*人によっては48時間寝かせる人も!




 さて、ここからが気になっていた蜜蝋ですが、大部分のレシピはバターだけを型に塗ったり、バターを塗った後に砂糖をまぶすみたいですが、試しに作ってみるとやっぱりあの独特の外側のもっちり(chewy)な感じは蜜蝋じゃないとでない模様。お砂糖のは固くなってしまうし、同じ色まで焼くと苦いです。

 同量の蜜蝋とバター(30gづつで作ったらたっぷり余りました)を弱火で溶かし、温めておいたカネル型にシリコンの刷毛で塗る。これが均一に塗るのがかなり難しい!底にたまりすぎないように、型を下に向けたままぬるか、側面を狙って塗って、流れたので底はカバーするようにするのがコツらしいです。けど全てが吸収されるわけではなく、焼き型にも残ってました。そしてシリコンの刷毛でも後できれいに蜜蝋を取るのは結構難易の技ですのでご了承を…
 その型を冷凍庫で30分ほど冷やしてから7分目まで生地を入れて…

                   ↑白いのがみつろうです。
                        ↑とけると一見普通の溶かしバターみたい

①シリコン型の場合は華氏475度(摂氏250度)に予熱しておいたオーブンに入れてすぐに温度を450度(225度)に落として15分焼いて
②引き続き375度(190度)に落としてから40分程度焼く。

 けど②の後半から固さをチェックして、弾力がなくなると中が焼きすぎなので、弾力があるうちに出した方が良いとの事。弾力と食感はOKでも、色を完璧に均一に黒く焼くのはシリコンでは至難の業っぽいですね~。鉄板より網の上に型を置いた方が下にも色がつきやすいとか。

 結局うちのオーブンと型では、いくつかはいい感じにできましたが、残りは型から出して焦げ目をつけちゃいました。ピザストーンの上で焼いてみれば良かったかも…

 出来てから4時間以内に食べるのがベストで、それ以降はオーブンで温めなおさないと内部の質感がかなり変わってしまうそうです。冷凍可能です。
 日本のレシピを見ると薄力粉を使うのが多いみたいなので、今度はケーキフラワーでやってみよっと…
 
それにしても何と地味…(^_^;) 食感と香り命!のお菓子ですね。