5ヶ月で元が取れる固定費削減

早期退職を決めた時から、家計の固定費を削減してきました。ケーブルテレビも削減対象ですが、地上波を見るためのアンテナ設置が必要なため、先送りしてきました。地元商店街の電気屋さんに頼もうか、ネットで安い電気工事店を探そうか悩んだ末、「電気屋の倅が自分で立てなくてどうする」という結論に至りました。

 

削減額について

なお、我が家の削減額は、1ヶ月当たり約4千円(ケーブルテレビ料金 + BS受信料)です。今回、購入したアンテナ関連資材は計1万4千円弱。充電式ドリルのバッテリー交換を含めても約2万円なので、5ヶ月で元が取れます。例え電気屋さんに設置を依頼したとしても3-4万円程度なので、10ヶ月もあれば元が取れるでしょう。

 

【目次】

 

【注意】本記事の対象について

以下のような場合、本記事を参考にしても脱ケーブルテレビは困難です。素直に電気屋さんに相談してください。

  • BS/CSを視聴したい
    静止軌道を舐めてはいけません。地球3個分も離れた人工衛星を狙うなんて、感度計がなければほぼ無理です。
  • アンテナの屋上設置や高所壁面設置
    屋根馬を使って屋上に設置する場合、ワイヤーを張ってアンテナを固定する必要があります。高所の壁面に設置する場合は、取り付けのために足場を確保する必要があります。屋上やベランダなど容易に設置できる場所がなければ、素人がアンテナを設置するのは危険です。
  • 放送局の場所や送信波の向きが分からない
    アンテナの設置に当たっては、受信可能な送信局がどこにあるか、搬送波は縦波か横波か、などの情報が必要です。
  • 電柱の線が区別できない
    電柱には複数の企業の線が同居しています。主に電力線と通信線に分かれますが、通信線はNTTやKDDI、ケーブルテレビなど複数社の線があります。どれがケーブルテレビの線か分からなければ、配線を切り替えられません。
 

【事前確認1】屋内引き込み線の確認

まず、電柱から屋内に引き込まれている箇所を確認しましょう。

 

ケーブルテレビの保安器

Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO200, f6.3, 1/640s

 

上の写真、ひっくり返したお椀に2本の同軸ケーブルが接続されている機器が、ケーブルテレビの保安器です。解約時に保安器を取り外すか外さないかによって接続方法が変わります。ケーブルテレビ会社に連絡して、保安器の取り扱いを確認してください。なお、保安器はサージ(落雷誘電)を防ぐための機器です。残してもらう方が安心ですが、あくまで安心程度です。落雷の被害に逢うのは、宝くじに当たるのといい勝負なので。

ケーブル会社に確認したところ、電柱からの引き込み線撤去を申し込むと保安器を取り外し、屋内設置機器の返却だけを依頼して引き込み線撤去を申し込まない場合は保安器が残るとのこと。このため、引き込み線撤去は申し込まないことを前提に、保安器に接続することにしました。

 


【事前確認2(東京及び近県)】東京スカイツリーの確認

次に東京スカイツリーの場所を確認し、アンテナの設置箇所を検討します。屋上やベランダなど、容易に設置できる場所がない方は、電気屋さんへ行きましょう。

なお、自宅から東京スカイツリーを直接視認できない場合、以下の手法で方角を確認することができます。

  1. Google Earth で確認(オススメ!)
    Google Earthを起動し、「ツール」から「定規」を選択します。
    Google Earth の定規

    スカイツリーと自宅をクリックして、パスを保存します。
    Google Earth の定規でスカイツリーを選択

    Google Earth の定規で自宅を選択

    Google Earth でパスを保存

    以上の手順で、東京スカイツリーと自宅が赤い糸で結ばれます。この赤い糸を目安にして、東京スカイツリーの方向にある建物や地形を調べます。
    Google Earth のパス表示
     
  2. Google Map で確認
    Google Map の画面を右クリック(Mac は2本指タップ)すると、表示されるメニューの中に「距離の測定」があります。これを使って東京スカイツリーと自宅を選択します。
    Google Map の距離測定

    Google Map の距離測定

    自宅周辺を拡大し、目印となる建物や地形を探します。
     
  3. 【非お勧め】アプリで調べる
    東京スカイツリーの方向と距離を表示するスマホアプリ「Tokyo Skytree Compass」があります。
    Tokyo Skytree Compass

    しかし、スマホのコンパスとGPSを使う都合上、精度がかなり低い。僕の家から試したところ、何度使っても東京タワーを指します。近所の家のアンテナは東京タワーを向いている(アナログ地上波の頃に設置)ので、支障ないかもしれませんが・・・。

 


購入した機器

我が家には、東京スカイツリーの方角に開けた屋上があるので、屋上に壁面設置器具を使って設置します。保安器を残す予定のため、保安器から屋内へ向かう線に接続するのではなく、保安器に刺さっているケーブルテレビの配線を外し、そこへアンテナからの配線を接続します。

なお、テレビアンテナや同軸ケーブルなどのテレビアンテナ関連資材は、ホームセンターでは買えません。「プロ」と名が付いて「資材売場」があってもダメ。電気屋さんへ行かないと購入できないし、割高です。このため、ネット通販の「e431」で購入しました。

 

デジタル地上波受信器具

Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO320, f11, 1/20s

 

  • UHFアンテナ(20素子): マスプロ製U206
  • 壁面取付金具: DX製MW10Z
  • アンテナマスト: マスプロ製M130Z
  • 防水キャップ・ブーツ 
  • 片サドル 5C用
  • 5C用F形接栓
  • 同軸ケーブル5C-FB(CA)
【注意】壁面取付金具の取付ネジ、同軸ケーブル固定用の片サドルの取付ネジは別に必要です。

 

屋外に使う同軸ケーブルは「5」クラス以上を使いましょう。3や4は屋内配線用です。BS/CSを見ないのであれば5C2Vでも問題ありません。安価なCA線を使った5CFBでもいいでしょう。

 

浮いたお金で電動ドリルの電池購入

Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO320, f2, 1/125s

 

自分で取り付けることにしたため安く上がったから、浮いたお金で充電式ドリルのバッテリーを購入しました。倍出せば新品の高性能なドリルが買えますが、まだ使えるし性能十分だし安いことはいいことだ。

 


F端子コネクター

アンテナの受信機、保安器への接続のため、同軸ケーブルにF端子コネクターを取り付けます。

  1. 外皮膜剥き
    先に、防水ブーツとF端子のカシメ輪を同軸ケーブルに通します。その後、ケーブルの端から1.5cm程度離れた箇所にカッターナイフを垂直に当て、円周に沿って切れ込みを入れます。その切れ込みから端に向かって切れ込みを入れ、外側の皮膜を剥きます。
    同軸ケーブルの表皮剥き
    Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO320, f2, 1/160s
     
  2. 網線折返しと芯線剥き
    網線を外側に押し開いて折り返します。網線を折り返した箇所から4mm離れた場所をニッパーで挟み、ニッパーを回すように芯線を覆っている皮膜を切って抜き取ります。
    同軸ケーブルの網線折返しと芯線剥き
    Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO320, f2, 1/200s
     
  3. F端子差込み
    端子を軽く回しながら、芯線の皮膜と網線の間に端子の先をねじ込みます。
    F型コネクター取付
    Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO320, f2, 1/200s
     
  4. 線の切断とカシメ
    余っている網線を切ります。端子を捩じ込む前に切るという説明が多いですが、後で大丈夫。綺麗に切らなくてもショートの心配はありません。カシメの邪魔にならない程度に切り揃えましょう。芯線は、端子のナットから1-2mm程度はみ出すように切り落とします。短すぎると芯線が刺さることを目視できないし、長すぎると機器を傷つける危険があります。
    F型コネクター取付
    Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO320, f2, 1/250s

 

この網線を折り返す取り付けは、僕の祖父と父が編み出し、それを見たマスプロが世に広めたと父に聞きました。あくまで伝聞ですけれど。それまでは、接栓にしろソケットにしろ、無茶な剥き方や挿し方、結線が当たり前だったそうです。このため、心の中では「野田無線取付方式」と呼んでいますが、あくまで心の中だけです。真偽の程も定かじゃないので。

 


アンテナ設置と配線

壁面取付金具を、壁の中にある柱に取り付けます。

 

アンテナ壁面取付金具の設置

Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO200, f14, 1/40s

 

我が家は2x4 (ツーバイフォー: 2inc. x 4inc. の柱を 1feet 毎に立てる工法)のため、柱がそこらじゅうにあります。しかし、幅が5cmしかないので、正確に場所を把握しないと複数箇所で止められない。諦めて細いドリルをブスブス刺して位置を正確に特定し、無駄に開けた穴はエポキシ樹脂で封印。その後、長いビスを使ってガッチリ止めました。

 

UHFアンテナ設置

Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO100, f11, 1/80s

 

アンテナの設置箇所は、屋根より高くしないこと、配線をなるべく短くすることを優先しました。アンテナに雷が落ちることは稀といいますが、そもそも落雷の被害に遭うこと自体が稀なので、落雷しないなんて言い切れないと思います。近所には2度も落雷の被害に遭った家があるし、昔の知人宅は、我が家のように戸建ての列の中では比較的高くない場所にあるにも関わらず、落雷に遭っています。

 

分電盤の避雷器

Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO320, f1.8, 1/60s

 

我が家は、購入直後に分電盤へ避雷器を設置し、電力線からのサージを予防しています。保安器を残す予定だから、アンテナ線のサージ対策も実施済み。これで落雷の被害に遭ったとしたら、確率統計の神様に負けたと諦めます。

 

アンテナ配線の接続と敷設

Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO200, f16, 1/100s

 

同軸ケーブルの敷設の際、アンテナ付近の配線には余裕を持たせてください。八木式アンテナは、見た目は骨組みだけですが、結構、風に煽られます。どんなにしっかり取り付けても揺れますので、配線をピンと張ってはいけません。揺れを吸収できるよう、受信機(ダイポール)からアンテナマスト、マストから壁の部分には、たるみを作りましょう。

 


受信確認

保安器からケーブルテレビの引き込み線を外し、アンテナ配線を接続したら工事完了です。後は、テレビ周辺に設置されているケーブルテレビの受信装置を取り外し、壁のコンセントにあるF端子にテレビを直接接続します。

 

アンテナの受信感度の確認

Nikon D5500 + SIGMA製30mm単焦点、ISO320, f1.8, 1/320s

 

テレビの機種によって画面が異なりますが、テレビには、設置時に受信確認やチャンネル設定のための機能が備わっています。取扱説明書を確認し、受信強度が十分か確認しましょう。不十分な場合は、アンテナの向きを再度確認し、向きに問題がなければブースター(増幅器)設置を検討しましょう。

 

無事、受信確認できたので、速攻でケーブルテレビ会社に解約の申し込みです。でも、受信料は払います。嫌ならテレビを見なければいいだけ。我が家の息子たちは、テレビなしに不自由なく生活しています。同じ公共放送であるBBCと違い、極右も極左も報道できないへっぽこ報道局と Japan Times に笑い物にされた経験があるNHK。挙句に会長が国会に忖度する始末。三流報道機関にお金を払うなんて腹立たしいですが、法律は法律です。

 

 


【余談】八木アンテナ

八木式アンテナや八木博士については、ネット上にいくらでも情報があるので割愛します。驚いたのは、企業の「八木アンテナ」(現:  HYSエンジニアリングサービス)がアンテナ販売から撤退していること。昔は、関東は八木アンテナ、中部はマスプロ、関西はDXという勢力図でした。その中でも八木アンテナが最も売上が多かったはず。今回、アンテナを買おうとしたらマスプロとDXしかない。知らなかった・・・。

昔、「カノッサの屈辱」という楽しい深夜番組がありました。この番組のネタになりそうな案件と思います。