要支援や要介護の高齢者を短期間預かってくれる制度「ショートステイ」。主に、老人ホームと老人健康保険施設(通称、「老健」)が、そのサービスを提供しています。預かってもらう高齢者にとっても、高齢者を介護する家族にとっても、利用すべきは先は老健です。老人ホームを使ってはいけません。

介護の世界では、日常生活の能力を指す用語として「ADL」と言う単語を使います。アクティビティ・オブ・デイリィ・リビングの頭字語です。老人ホームのショートステイを利用した場合、預けた高齢者のADLが低下して日常生活が困難になります。預けられた高齢者自身も後々生活が大変になるし、介護を担う家族も辛くなります。

 

  • 老人ホームでADLが低下する例
    例えば、なんとか杖を使って歩行している高齢者を、老人ホームのショートステイに預けたとします。こうした高齢者に対し、老人ホームは直ぐに車椅子を与えます。ショートステイ期間中、預けられた高齢者は自身の力で歩行しないため、歩く能力が著しく低下します。
     
  • 老人ホームと老健の違い
    老人ホーム、特に介護付き有料老人ホームは、自宅では生活困難となった高齢者の行き着く先です。自らトイレへ行くこともできなくなった場合、家庭での介護は困難を極めます。こうした自力での行動が困難になった高齢者の行き着く先が、介護付き有料老人ホームです。
    これに対し、老健はリハビリを目的とした短期入所施設です。ADLを回復して自宅に戻すことを目的とし、利用者にリハビリを施すための施設です。
     
  • 老人ホームがADLを低下させる理由
    老人ホームは、そもそもADLを向上したり維持するための施設ではありません。職員にもそんな意識はありません。効率よく利用者を生活させることのみを考えるので、ADL低下を顧みずに車椅子を与えます。預けられた高齢者は歩く辛さから解放され、見守る職員も負担が減ります。
     
  • 老健のショートステイ
    ADL回復を目的とする施設のため、ショートステイ利用者にも自ら動ことを進めます。介護の度合いは人によって区々なので一概には言えませんが、ADL低下を心配する必要性は、老人ホームに比べて圧倒的に低くなります。
     
  • 老人ホームはショートステイ廃止か見直しを
    老人ホームのショートステイに憤慨しているのは、利用者の家族だけではありません。高齢者が利用しているデイサービス施設の職員も同じです。ショートステイから戻ってくるたびにADLが低下し、いずれ、ショートステイに来れなくなる。老人ホームは、意図的にADLを低下させ、将来的な利用者を育成しているのではないでしょうか。老人ホームには、ADL維持に努めるようサービスを見直すか、ショートステイの受け入れを停止していただきたい。

手すり
 

介護が必要となって初めて、デイサービス、ショートステイ、老人健康保険施設、介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホームなどのサービスや施設のことを知ることになります。誰しも介護に直面するまで調べる必要がないから、当たり前と言えば当たり前ですが。でも、一旦介護が必要となったら、各施設やサービスの特徴を理解しないと自ら首を絞めることになります。安易に老人ホームのショートステイを利用してはいけません。家族が劣化するのを目の当たりにするのは、悲しくて辛くて将来が霞んで見えてきます。介護は、いつ終わるか先が見えないのですから。