約138億年前、宇宙の晴れ上がりを迎えたこの世界にあったのは、水素とヘリウムばかりだった。
それが恒星の核融合や超新星爆発によって、より重くて多様な元素を作り出された。
僕らの体を構成する元素の大半は、核融合なしには存在しない。
同時に、核融合と超新星爆発によって不安定な重元素も多数作られた。
でも、その重元素に僕らは守られている。
地球の地殻が太陽の表面ほど熱いのは、重元素がそこにいっぱいあるから。
核分裂の熱で地殻が対流し、地磁気を作り出し、太陽から放出される荷電粒子が地表に降り注ぐのを防いでいる。
核分裂がなかったら、地表に命はない。
僕らは、核融合で作られた物質で構成され、核分裂に守られて生きている。
そして、何事にも永遠はない。
今から10億年もしたら、光合成ができなくなるほど太陽の光が弱くなる。
それまでに、地球に頼らずに生きられる文明を築けなかったら、すべてお終い。
酸素がなくなるから、ほぼすべての生物が消え失せる。
オゾン層がなくなり、地表は紫外線で焼かれる。
それ以降も、破傷風菌のような嫌気性細菌やウィルスは、地下や海中に残るだろう。
でも、文明も文化も永遠に地球上に育つことはない。