「Why ?」 | EXO's World 。… .:*:・'°☆

EXO's World 。… .:*:・'°☆

カメ更新ですが気長によろしくお願いします



「なぁ、お前なんかいらない」



そう言ってやりたい



でも



ひとりにしないで








Side B





錆び付いた景色の中


またいつもの道を歩いて


見慣れた顔ぶれの間を抜けて行く


女に囲まれた長身の男に近くに辿り着く



「おせぇよ!酒買いにいくのにどんだけ時間かかってんだよ」


そいつは俺に気づくと開口一番に文句を吐き、俺の手元から酒の入ったビニール袋を奪い取ってすぐさま缶をあけて口にする



「ごめんって。気分転換に散歩してたんだよ」


「用を済ましてからにしろ」


片眉を上げて怪訝そうに俺を見ては、プイっと素っ気ない言葉が返ってくる



「次からそうするよ」



俺はそれに気づかないフリして軽く流す


そうでもしないとやってられない


そうでもしないとアイツに呑み込まれてしまう


俺はただアイツのワガママに付き合ってるだけ


だけど


俺はこんな扱いを受けても



諦めることなんてできないんだ





「おかえり。毎度毎度よくチャニョルの言うこと聞けるね」


空いてるソファに座り込むと、向かいから本から目を離さずにギョンスが声をかける



「ただいま。俺でも自分にビックリだよ」



毎回今日が最後って言い聞かせて


アイツに会いに行く


なのに


会えると思えば嬉しくて


それでも胸は苦しくて


嘘でも抱きしめられたくて


そしたらすぐにアイツに包まれて


夢の中にいる気持ちになってフワフワして


目が覚めたら隣は空っぽで


気づけばその繰り返し



「悪循環」


ずばりとキツいところをつかれて何も言えない


「ベッキョン。もう聞き飽きたかもしれないけど、いつでも僕のとこに来ていいからね。僕はただ話を聞くことしかできないけど。今のベッキョンを見てるとやっぱりツラい。無理に笑うベッキョンがツラい」


俺を見る目から、ギョンスが本心から言ってくれてるのが伝わる


ほんとに優しい男だよな





わかってる


俺が投げ出せばすべて終わることくらい



でもそれがこわいんだ



アイツにだけは嫌われたくない




ふと気づけば小さなぬくもりに包まれていて、いつの間にか俺はギョンスに抱きついていた



「ありがとう、ギョンス」



震える声とともに頬に冷たい感触がする



アイツに抱かれる度に愛されてると錯覚してしまう


ウソだとわかってても抱きしめられたくて



また今夜も身を捧げてしまうんだ








目を覚ませば


いつもどおりアイツは隣にはいない


なのに香りと情事の後はその場に残ってて


また孤独と喪失感に包まれる






俺がオンナだったら


少しは何か違ったのかな






散らかった部屋


タバコの匂いに皮のソファ


何度もここに来てるのに


俺が目の前にいるのに


アイツに俺の存在はない




最中に鳴り響いた着信音


必死に声を我慢する俺を面白がって


そのまま電話に出る



電話越しに聞こえる



知らない女の声




おまえは何の悪気もなく


俺を簡単に傷つける



耐えきれずに部屋を飛びだしても



追いかけて来ないのはわかってる



俺が投げ出せばすべて終わり





どうして俺を責めるんだ


どうして俺を傷つけるんだ




本当の気持ちを教えてよ


お前にとって俺って


どんな存在なの?




もうお前のために泣きたくない


その甘い言葉に惑わされたくない


また言えない  「さよなら」



ただ傍にいたいだけなのに






恋人なふりはやめて


わざとらしく優しくしないで


もう俺を惑わさないでくれ


これ以上俺を傷つけないでくれよ






どうして 俺じゃだめなんだ


どうして こんなに好きなのに


どうして 俺に嘘つくんだ








『・・・はい』



ワンコールで繋がる優しい声




「・・・ギョンス・・・もうツラい」




言ってないやりたいことはたくさんある


だけど俺は臆病者だから


何も言えないまま身を引くしかない





『・・・わかった』






『今そっちに行くから待ってろよ』






え?








ブツリ







聞きなれた低い声を最後に



強制的に切られた電話







数分もしないうちに来たのは



息は上がり汗だくな長身の男







……To be continued ??