繋いだ手から | EXO's World 。… .:*:・'°☆

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カメ更新ですが気長によろしくお願いします

⚠︎別のブログに載せてたものです


カイドセンイル
男子高校生story





〘 繋いだ手から〙





「あ、あいつらまた手繋いでるぞ」
「ほんっとラブラブだよねぇ」
「当の本人たちは気づいてないですけど」
「あれでつき合ってないとか不思議なんすけど」
「え?そうなの?」



友人の間でそんな会話が繰り広げられてるのは知ってるけど、小心な僕は今の関係が崩れるのが怖くて口に出して言えない


僕の方が年上なんだからリードしなきゃいけないのに、そんなことできるわけない


もう10年以上幼馴染みのポジションでいたせいで、拒絶されることが怖い


隣で笑う彼には絶対言えない





僕はジョンイナがすきだと







"「そんな悠長なこと言ってるとだれかに先越されるぞ」"




そういえば以前
ベッキョンに言われたっけ
だけど、頭ではわかってるのに勇気が出せない僕



「ヒョン、帰りにチキン食べたい」




繋いだジョンイナの手は大きくて暖かい
君の隣は居心地がよくて離れたくない



だから神様




「うん、食べに行こ」




どうか、今だけは


僕のわがままを聞いてください









「え?」


お昼、口に運ぼうとした卵焼きはチャニョルの一言で箸が止まり、ぽとりとお弁当箱へと戻っていった


「だからぁ~昨日デパートでジョンイナが隣のクラスの女の子と一緒にいたんだって!」
「なんで一緒にいた子がジョンイナの隣のクラスの子だってわかんだよ」
「前に告白されたから♡」
「…死ね!」
「痛いっ♡何?なにヤキモチー?」
「なわけあるか!寄るな、触るな!くっつくな!」


横でチャンベクがじゃれ始めるけれど、今は仲裁にはいる余裕などない


ジョンイナのお姉さんならともかく、隣のクラスの子?
それって、、


「…デート?」


でも、ジョンイナにそんなこと聞いてない
彼女できたとか、だれかとでかけるとか


というか、まずジョンイナと女の子の話なんてしない。話題にすらならない


「あ~気にすんなよ!もしかしたら偶然かもしんねーじゃん!」
「そうだよ、ギョンス!偶然一緒にいたとこをたまたま見ただけだって!」


よっぽど僕が落ち込んでいたのだろうか、必死でふたりが慰めてくれるけど、僕はその後応えたのかすら覚えていない

それほどショックを受けていた




キーン コーン

カーン コーン…



「予鈴だ」
「あ!やべ。次の国語小テストあんじゃん!」
「え?まぢで?!今回点数低かったら補習呼び出される!」
「「ギョンス!助けて!」」


せがむふたりに呆れてため息を吐いてから空き教室を出た


そのときだった


「あ!ジョンインくん!」


女の子が僕の前を通り過ぎながら聞き慣れた人の名を口する

もちろん彼女の視線の先には僕の好きな人、ジョンイナの姿


あの幼さが残る優しい笑顔で女の子と話すジョンイナ、初めて見た


しばらくその場を動けなくて、僕はたはだふたりを見ていた



本鈴のチャイムがなったと同時に、ふいに振り向いたジョンイナとばちりと視線が交わる



僕に気づいたその顔は、ひどく驚いていて一瞬で彼の心情を読み取ってしまった



――ヤバい




僕のなかで何かが音を立てて崩れた









あの後はどうしたのかは覚えていない
けれど、さっきのことが無かったかのように午後授業が終わり放課後になった

いつもはジョンイナが教室まで迎えに来てくれるか、下駄箱で待ち合わせて一緒に帰るけれど


「ジョンイナ、おいて帰ってきちゃった」


会うのがこわくて逃げてしまった

ああ、僕って本当にバカだなぁ…
自分から余計に気まづくしちゃうなんて

これからジョンイナに会うとき
どうしたらいいんだろう……


"「ギョンス、自分の気持ちはちゃんと相手に言わないと伝わんねーよ?」"


放課後、足早に教室を出ようとした僕にベッキョンが言った言葉を思い出したとき、ベッキョンとチャニョルがつきあい始めたときのことを思い出した




――あれは、ベッキョンから告白したふたりがつき合いはじめたことを聞いた時だった

"「こわくなかった?」"
"「言う前はこわいなんてもんじゃなかった。指先から全身の体温がなくなるくらい震えたよ」"


掌を頭より上に挙げて指の隙間から目を細めながら太陽を見るベッキョン
まるでその時の震えを思い出して温めようとしているかのようだった


"「それでも、アイツに彼女ができてはやく云っておけばよかったと後悔するよりはマシだと思った」"
"「だぁから!」"
"「ぅわ?!」"


ベッキョンは肩に腕を回して引っ張るとグリグリと僕の頭を掻き撫でた


"「ギョンスは言葉が足りなすぎんだから、俺を見習えよ!自分の気持ちはちゃんと相手に言わないと伝わらないんだかんな!」"


そう言ったベッキョンは僕らを照らす太陽よりも眩しい笑顔で笑っていた――





「ベッキョンの言うとおり、はやく云っておけばよかった」



「なにを?」



突然返ってくることのないひとり言に答える声がして、驚きのあまり条件反射で普段よりも素早く上半身を起こした


すぐに視界に入ってきたのは、汗だくで息を切らした男がひとり、苦しそうなツラそうな顔して僕を見ていた



「ジョン、イナ…」


「なんで待ってくれなかったの?ギョンス」


そこには初めて見るジョンイナがいた
冷たい低い声で獲物を捉える獣のように怒るジョンイナ


「そ、れは、「なんで俺から逃げるの?」


どんどん迫ってくるジョンイナ
部屋は狭くて扉からベッドまでなんてあっという間で
ジョンイナは僕の前まで来るとベッドに腰掛けて僕の手にそっと触れた
それにびくりと強ばってしまう


するとジョンイナは触れてた僕の手をぎゅっと握りしめた

強いけれど痛くないように気遣うキミの優しさに胸が締めつけられる



「なんで、俺を見てくれないの?」


最後の一言は先程の怒ってるのとは違って悲しい声で、思わず顔をあげるとそこには泣きそうな顔したジョンイナがいた


「俺、ギョンスが俺から逃げたときにベッキョニヒョンに言われた。俺たちふたりは言葉がなさすぎって」


ジョンイナは、泣きそうに潤むけどまっすぐと僕を捉えて放さない瞳で言葉を綴る


「自分の気持ちはちゃんと相手に言わないと伝わらないって」



あ、



それって、






「俺ね、本当はずっと前からギョンスの気持ちに気づいてた」



え……?



「俺が名前を呼べば笑いながら振り向いてくれるし、手を繋げば嬉しそうに繋ぎ返してくれるから。俺の気持ちも伝わってると思ってた。だからこのままでいいと思ってた」



だけど、、とジョンイナは少し俯く



「今回でそれじゃダメなんだってわかった」



そして決心したかのような目つきで僕を見据えた




え、



待って、



ぃやだ、、





次に言われる言葉がこわい





こわい!









「俺、ギョンスのことがすきだよ」



ッ…………?!




「幼馴染みとしてじゃなく、ちゃんと恋愛感情で
ギョンスというひとりの人がすきだよ」




何を言ってるのか、わからない




「ねぇ、ギョンスは?」





視界がボヤけて、わからない





だけど、







「俺のこと、すき?」







繋いだ手から伝わるキミの気待ちは、本当だってわかる



だから、




「僕も、、ジョンイナがすきです」






僕の気持ちも伝わるように
握られた手を繋ぎ返す





「「大好き」」


















「あ、あいつらまた手繋いでるぞ」
「ほんっとラブラブだよねぇ」
「当の本人たちは気づいてないですけど」
「やっとくっついたのにキスもしてないとか不思議なんですけど」
「え?そうなの?」


友人の間でそんな会話が繰り広げられてるのは知ってるけど、その先のことは僕とジョンイナのヒミツ♪



The END