目を覚ましたタオは熱があって
ただ体温計を取りに行くだけなのに僕の腕を掴んで、必死に引き留めて
タオの潤んだ瞳で「行かないで」なんてあんなに可愛く言われたら、たとえ熱のせいでも理性保てないよ。
自分でも止められないくらいに、気づけばタオにキスしていた。
深く深く、タオを食べてしまいそうな勢いで。
唇を離すと、タオは肩で必死に足りなくなった酸素を吸い込んでいた。
「せ、ふなぁ、」
潤んだタオの瞳には、なぜか哀しそうな色を浮かべていた。
タオは僕の袖にぎゅっとしがみついて、眠りの世界へと吸い込まれていった。
瞳を閉じる瞬間、タオの言った一言
"僕だけ……"
ねぇ、タオ
君は今、何を考えているの?
タオの本心が知りたいよ。
僕へのすきは、どんなすきなの?
ちゅっと最後にリップ音を響かせて唇を離して、涙の痕を親指で拭う。
「僕はずっとタオだけだよ。」
そろそろタオにも伝わっていてほしい。
僕の気持ちが。
タオだけであることを。
半ば気絶したように眠るタオのほっぺにキスをしてから、氷枕と体温計を取りにリビングに向かった。
[ はやく元気になって ] side S
「おっす、寝坊助マンネ」
「おはよう、セフン」
「仲直りはできたか?」
リビングに入ると、ヒョンたちがそれぞれのんびりしながら口々に声をかけてくれた。
タオがいたら笑顔全開でヒョンたちのとこに走っていって、騒がしくなるんだろうな。
「まぁ……たぶん」
「なんだ、その微妙な返答は」
俺とミンソガがせっかく協力してやったのに!とルハニヒョンが文句を言うのをスルーして、ギョンスヒョンを探しにキッチンを覗いた。
案の定ギョンスヒョンが使い終わった食器を洗っているところだった。
「あ、おはよう、セフン。そろそろ起きてくると思ったから、朝食作っておいたよ」
「あ、ありがとうございます。あの、実はタオが熱だしちゃったんで、お粥作ってくれますか?」
ギョンスヒョンはわかったと頷いてお粥を作ってくれた。
僕はすばやく朝食をとってから、ギョンスヒョンに手伝ってもらいながら、ずっとタオから離れなかった。
タオは1日中寝込んでて、熱は上がる一方で。
いつもの明るいタオが消えていくみたいですごく寂しくて。
ずっと閉じられた眼。
__僕を見て。
辛そうに噛まれる唇。
__僕に笑ってよ。
力のない手。
__僕の手を握ってよ。
タオが弱ってるだけで
こんなにも落ち込む僕は
それくらい君に溺れてるってこと。
病人から離れろと言うマネヒョンの言いつけを無視して、タオが起きたら傍にいるようにとタオの隣に横になって手を繋いだ。
苦しそうに汗を流しながら眠るタオ。
はやく元気になって、タオ。
そして、もう一度僕に笑って
傍にいてよ、タオ。