「あーも~どうしよう……」
今日はとうとう約束の日。
ジョンインと遊園地に行く日。
「……なんでただ遊びに行くのにこんなに緊張してんだろ」
それもこれも、ぜんぶ、ベッキョンのせいだ。
『どんだけあいつに惚れてんだよ!』
ベッキョンの言った一言が頭から離れなくて、無駄に意識してお腹が痛い。
ドキドキと緊張して落ち着かなくて、待ち合わせの場所に向かう足が震えている。
「ベッキョンのばか……。」
何というのかわからないこの気持ちを解消しようと、いない彼に八つ当たりをしてみる。
そんなことしても、なんの意味もないけど。
「はぁ~……」
なんだかいろいろと不安になってきた。
昨日、遅くまで選んだ今の服装にも、僕といてジョンインが楽しんでくれるのかにも。
でも、ジョンインの誘いにOKしたあの時、キラキラした瞳で喜んでくれたジョンインの笑顔を思い出して、気づけば顔が緩んでいて、心なしか歩調もはやくなっていた。
[ Take my hand ] side D
「ちょっとはやく出すぎたかな?」
約束の時間よりもはやめに着いてしまった。
そう思っていると、ふと、出入り口の柱に寄り掛かる人陰を見つける。
その瞬間、僕の心臓は大きく跳ねた。
黒のシンプルなシャツに、長い足を強調するかのような黒いスキニーパンツを履いた、ジョンイン。
僕は思わず立ち止まって遠くから彼に釘付けになってしまった。
彼を包む空気はキラキラと輝いていて、彼以外に何も見えなくなってしまう。
反対方向を向いていたジョンインがこっちに振り向いてすぐに僕を見つけると、あ!見つけた!と言う顔をして、にっこり笑いかけてくれた。
それさえも僕の心臓はびくりと反応して鼓動はバクバクと速くなる。
僕がなかなか来ないのにすぐに痺れを切らしたジョンインは、一歩、また一歩と、確実に僕に近づいてくる。
「おはよ、ギョンス」
僕よりも少しデカいジョンインは僕の顔を覗くように、腰を少し屈めて僕の視線に会わせた。
そんな姿に思わずきゅんっとしてしまう。
「おはよう、ジョンイン。なんだか、、かっこいいね。いつものジョンインじゃないみたい。」
さらっと思ったことが口に出てしまい、そんな自分に驚いて思わず口を塞ぐと、頭上からふふふと嬉しそうな笑い声がした。
ちょっと俯き加減で目だけでジョンインを見ると、目を細めてふにゃっと笑うジョンインが視界に広がった。
あ………僕、ジョンインのこんな風に笑う顔、すき、かも…………。
「ギョンスも。このシャツ、すごく似合ってるよ。」
「ふふ。ありがとう。」
ジョンインは覚えていないだろうけど、
前にもジョンインに可愛いって褒められたボーダーラインのシャツを着て来たんだよ。
「さ!行こう!俺、ジェットコースター乗りたい!」
ぎゅっとジョンインに手首を掴まれた瞬間、また僕の鼓動がドクンドクンと速くなる。
手首から伝わるジョンインの体温。
僕の手を掴むジョンインの手と、逞しい後ろ姿に向かって聞いてみる。
ねぇ、ジョンイン
手を繋ぎたいと思ってるのは
僕だけ?