[ タオにだけ ] side S
扉越しで聞こえるタオの泣き声。
そのせいで胸がきゅうっと痛む。
「僕ばっか、すきで、、っ」
そんなわけないじゃん。
タオが思ってるよりも
タオのことめっちゃすきだよ。
「すきで、すきで、、ひっく、、セフナ、、一緒に、いれないの、、ツラ、、ぃ、、ふぅっ」
僕だって
タオと一緒にいれないのツラいよ。
タオも同じなら逃げないでよ。
僕らは一緒に活動しない限り
なかなか会えないんだから。
一緒にいれる間
僕から離れていかないでよ。
タオの泣き声を聞きながら心のなかで答える。
それをルハニヒョンは横で見守ってくれていた。
しばらくして部屋の中が静かになった。
扉を開けると、シウミニヒョンが泣き疲れて寝たタオに掛け布団をかけていた。
ヒョンは僕と入れ替わる前に肩をポンと叩いて、視線で後は頼んだよと言うと部屋を出た。
タオを起こさないように静かに閉まる扉を確認してから、眠るタオの隣に横になる。
涙でぐしゃぐしゃな顔
寝息をたてるタオの表情は
どこか哀しそうに見えた。
僕たちはお互いすきなのに
どっちも気持ちを伝えずにいた。
互いのすきが同じくらいになるまでは
と待っていたことが原因
濡れて冷たいタオの頬にそっと触れる。
タオのバカ
僕がルハニヒョンをすきなわけないじゃん。
タオにだけだよ。
膝枕してあげるのも
見つめ合うのも
手を繋ぐのも
キスするのも
ぜんぶ タオにだけ。
指でタオの皮膚にくっつく涙を拭う。
そして そのまま
額に
頬に
鼻先に
最後に 唇に
触れるだけのキスをする。
僕の心臓は
僕の身体は
タオにだけしか反応しない。