今日からダンスレッスンもすることになった。
ダンスは苦手だから、僕にちゃんとできるかな?
扉の前でドキドキと緊張する気持ちを深呼吸して落ち着かせる。
中からは明るい音楽が流れて、キュッとステップを踏む音が微かに聞こえる。
よし、入ろう!
扉を開けると、中央で流れる音楽に合わせながら踊る子がすぐさま視界に入る。
あ!
華麗にステップを踏んでしなやかな動きで見る目を惹き付けるその子は、この間会った缶コーヒーの男の子。
あの子だ!
side D
「ギョンス?!」
驚きながらも僕に歩み寄るジョンイン。
さっきまでの大人みたいにカッコよかった彼が、今はなんでも知りたがる子どものように目をくりくりさせてる姿が可愛くて、思わず笑ってしまう。
「吃驚した!」
「僕もだよ。部屋に入った瞬間、目の前で踊ってるんだもん!」
「見てた?」
照れながらわざわざ下から僕を見上げて聞くジョンイン。
「うん。かっこよかったよ!」
ほんとにカッコよかった。
周りの女の子たちがきゃーきゃー騒ぐのもわかる気がする。
だって、同じ男の僕でさえその姿に見とれてしまったんだもん。
「ありがとう。でも、どうしてここに居るの?練習は?」
「今日からこの時間帯にダンスレッスンをすることになったんだ。」
「ほんとに?!」
「うん。これからよろしくね。」
そう言うと、ジョンインはやったー!とはしゃいで僕に抱きついてきた。
勢いで倒れそうになる体をなんとか支えて態勢を保ち、僕も嬉しいから微笑む。
僕は少し人見知りなところあるから、君が居てくれて安心した。
缶コーヒー1本拾ってくれる優しいジョンインは、それから僕に付きっきりでダンスを教えてくれた。
その時は本当は君が僕をどう思ってくれていたのか、知らなかったんだ。