[ Why? ] side X
痛い、こわい。
突然なんなんだよ?
冷たく燃えるルハンの瞳。
今まで横で見てきた視線が俺に向けられて、どうすればいいのかわからず固まってしまった。
離された手首は強く握られていたせいか、ルハンの手痕がはっきり残って赤くなっていた。
なんで怒ってるんだよ?
俺、なにかしたか?
電話の相手の八つ当たり?
「ル、はッ!んん!?」
わけがわからなくてなにも言えずにいると、引き寄せられて唇を噛まれた。
痛いよ、
「や、め、ッ、ィタ!」
尖った歯で唇を切られて、血の味が口に広がる。
どうして、
「ヒョン?!」
セフンが俺を庇って俺たちの間に立ちはだかり、その肩越しにルハンと目が合った。
俺はただショックで、涙が止まらなかった。
ルハンの瞳はさっきとは違って傷ついたように光っていた。
「俺には抵抗するんだね。」
そう言うと、練習室を出て行った。
へたり…
俺は力が抜けて、ただただ泣き続けた。
どうして、怒ってるの?
どうして、キスなんかしたの?
どうして、ルハンが傷ついてるの?
どうして、、、
聞きたいことはいっぱいあるけど、涙で流れてしまう。
そんな俺をセフンは落ち着くまで黙って背中を擦ってくれていた。