今日、明日はOFFで久しぶりにギョンスと遊びに行こうかなって思って昨夜誘ったら、
『あ、ごめんね?約束があって行けないんだ。』
とあっさり断られてしまった。
「あーーーっ!つまんねぇーーー!」
楽しそうに「行ってくるね。」と言って部屋を出るギョンスを見送って、ベッドに寝転ぶ。
「………暇だなぁ。」
セフンに借りっぱなしの漫画を読む気力もなくて、なんとなくリビングに出てくると、同じ状況の人物が2人、ソファでだらけていた。
「あ、噂をすれば置いて行かれた奴が来たよ。」
「はぁ?来んなよ、虚しさが増すだろ~!」
「なんか俺の扱い酷くないっすか?自分たちだって置いて行かれたのに。」
チャニョリヒョンとルハニヒョンの間に腰掛けて、ふたりが飲んでいた飲み物に手を伸ばす。
本人たちに聞かなくても匂いだけでその飲み物がなにかはわかった。
「なに昼間っから酒飲んでるんすか?」
「いいじゃん、どうせOFFなんだし。」
毒づきながらルハニヒョンが一気に残りの酒を飲みほした。
「酒癖悪くないっすか?ルハニヒョン。」
「べつに?まだ酔ってないし。あ、酒癖と言えばさ、前にギョンスが酔っぱらったときは凄かったよな!普段、みんなに合わせてばっかで自分のことなにも言わない奴だから、あんなになるとは思わなかった!」
痛い記憶をさらりと持ち出してきたルハニヒョンに俺とチャニョリヒョンは苦笑いするしかなかった。
「カイはギョンスの酒癖知ってたのか?」
「知ってましたよ。練習生のときに。」
「「え?!」」
なんで?!と言うように食いついてきたヒョンふたりに問い詰められる。
「練習生って、いつの話だよ?!てか、お前ら未成年だろ?!なに、飲んでんだよ?!」
「それもあるけど、知ってたんならあの日にお前がギョンスを起こしていれば面倒なことにならなかったじゃん!」
「いや、練習生っていうかデビュー前に一回だけ、ギョンスの酒癖知りたくて飲んだだけですよ。」
チャニョリヒョンのときは申し訳なかったけど。
「信じらんね~!」
チャニョリヒョンはまだぶつくさとあのときの文句をソファに寝転がって呟いていて、ルハニヒョンはお構いなしにその時のことを聞いてくる。
「で?!どうだったんだよ?」
「どうって?」
「その時はギョンスとどうだったんだよ?」
「その時は……________、」
その時は、俺は少ししか飲まなくてギョンスにたくさん飲ませて様子を見ていた。
ギョンスはだんだん眠くなってきたのか瞼が重くなって、パタリとその場で寝てしまった。
淡い期待をしていた俺は肩透かしされた気分だったけど、怒り上戸じゃなくてよかったかなと思うことにした。
可愛い顔して眠るギョンスは小さいこともあり、ヒョンには見えなくて子どもみたいだった。
『………ンナ……』
『え?』
"ジョンイナ"
小さく呟いた寝言で、俺の名前を愛称で呼んでくれていて、ギョンスの愛を感じた。
いつも我慢していることが少しだけ見えた気がして嬉しくなる。
『我慢しないで、もっと寄っ掛かってくれたっていいのに。』
そっと頭を撫でると、声を漏らしてうっすらとギョンスの目が開いた。
『ギョンス?起きたの?』
ギョンスは酔いと寝惚けでぼーっとしていて、熱く潤んだ瞳で俺を見つめていた。
ドキッと一瞬心臓が跳ねて、撫でていた手を離すとギョンスがその手をとって体を起こして唇を重ねてきた。
『……んっ、』
ゆっくり体を寄せて、腕を首に回して触れるだけの深いキスを繰り返される。
『ん、はぁ、ギョンス?ん、』
『んゥ……ジョンイナ……、』
唇を啄んだり、舌で上唇をなぞったりして口を開かせようと一生懸命キスしてくれるギョンスが可愛くて胸がキュウッとなる。
少しだけ口を開くと躊躇いながらもゆっくりと舌を絡ませてきた。
『んん、ジョンイナ、ジョンイナ、』
『ギョンス、キスに集中してよ、』
『もゥ、ダメ……して、ジョンイナ、』
瞳を潤ませながら上目遣いで誘うギョンスに目がくらんで、俺からもしてあげる。
奥深くまで舌を絡ませて強く吸い込むと、気持ち良さそうに甘い声が吐息とともに漏れはじめる。
深く、浅く、
強く、弱く、
息をするのも忘れるくらい重ねて、ギョンスが意識を手放す寸前で口を離すと、俺に倒れこんでたくさんの酸素を吸って大きく胸が上下に揺れる。
『はぁ、ギョンス……俺もう我慢できない。』
『はぁ、はぁ、ジョンイナ……っと、して?』
あぁ、神様。今まで信じなくてごめんなさい。
最高のプレゼントをありがとう!
それからはお互い朝までいっぱい求めて、ふたりで練習を遅刻してったっけ。
「………ギョンスやるなぁ。」
全部話すとルハニヒョンが感心してはぁ~と息を漏らす。
「もう、俺、ギョンスがいないと呼吸できなくて生きていけない。」
「……カイにここまで言わせるギョンスって、やっぱりただ者じゃないな。」
チャニョリヒョンも「いいなぁ~、」と羨ましそうに溜め息を漏らすから、俺は嬉しくなってはやくギョンスにキスしたくてウズウズしてきた。
「あーなんだか、はやくギョンスにキスしたくなってきた。」
「俺も。ベクにキスしたい!」
「俺も!!!あ~!!はやくシウちゃん帰って来ないかなぁ~?!」
3人とも思うことは同じで、はやく各自の恋人に会いたくてジタバタしだす。
話したせいで、今夜はいつも以上に泣かすちゃうかも。
でも、ずっとお授けくらってたんだし、いいよね?
今夜は朝まで離さないから。