[ White Day ~Think you every day~ ]
side K
white day のお返しに悩み続けて、やっと思いついたのが手作りのマフラー。
裁縫なんてものは女がやるものだと思っていて一度もやったことなんてなくて、かなり苦戦していた。
いつもギョンスは手作りのお菓子を作ってくれたりしてくれるから、俺も手作りでなにか作ってあげたくなって始めたんだけど……。
「もう、ヤだ。わけわかんねぇよ。」
本を読みながらやってみるけど絡まるだけで、仕事がいっぱいで夜の睡魔に勝てずに寝てしまったりして全然進まない。
サプライズにしたくてギョンスに内緒にするのもちょっと苦労した。
同室だし、よく部屋の掃除をしてくれるギョンスに見つからないように準備するのは意外と一苦労だった。
時間は過ぎるばかりで明日はwhite day 当日。
焦った俺はレイヒョンに助けを求めてMの宿舎に駆け込んだ。
「あれ?ヒョン……ぶふぅ!なに、似合わないことしてるんです?!」
レイヒョンに手伝ってもらいながらマフラーを作っているところを、タオに会いに来ていたセフナに見られてしまった。
俺の様子を見て「ヒョンには似合わなー!」セフンとタオは笑いこけた。
「お前ら、あとで覚えてろよ!」
俺は猛スピードで(正確には途中から仕上げまでレイヒョンにやって貰って)完成させた。
「あ、そだ。テミンにあれ頼も。」
Kの宿舎に帰る途中でテミンに電話する。
「はい、これ。」
当日、テミンから頼んだものを受けとる。
「あざっす!助かる!」
感謝の意味を込めて肩に腕をまわすと、
「時間があるときに今夜のこと聞かせろよ!」
とテミンも俺の肩に腕をまわし返して「ふぁいてぃん!」とガッツポーズをとった。
はやくギョンスに渡したくて控え室に戻ったらギョンスの姿は見あたらなかった。
「あれ?ギョンスは?」
みんなに聞いても知らないよと首を横に振られるだけだった。
「さっきギョンスヒョンにカイカイのこと聞かれたけど、セフンに口止めされてなにも言えなかったー!」
と騒ぐタオに驚きセフンを見ると
「大丈夫。言ってないから。」
と横で文句をいうタオの話を受け流しながら答えた。
「ギョンスならカイが部屋に出て行ったときに泣きそうだったよ?」
ジョンデが会話に加わり気になることを口する。
「なんで?」
「最近、カイがギョンスに冷たかったからだろ!」
冷たくした覚えはないし、俺がギョンスにそんなことをしたのはキス問題のときだけだし!
※Troubleシリーズ参
「ないないない!そんなことしてない!」
「そうなの?」
ジョンデの発言に驚く俺に、疑い半分状態のジョンデが驚く。
「チェンはMのなかでもいちばん勘違いするから気にしないで。」
タオの何気に失礼な発言で話題はそれてジョンデを弄りにはいった。
それからしばらくしてギョンスが控え室に戻って来るけど、収録中も宿舎に帰る車のなかでもギョンスとは話せなかった。
宿舎に帰ってやっとギョンスを捕まえた。
「ギョンス、ちょっと来て?」
俺ははやくギョンスを驚かせたくてギョンスがどんな顔をしていたのか見てなかった。
部屋に入ってギョンスに振り返ると、今にも泣きそうな顔をしていた。
「ギョンス?」
「ごめん、僕から話をさせて。」
目を潤ませて下唇を噛みしめるギョンスに制止される。
静かにギョンスからの話を聞こうと待っても、ギョンスはなかなか話し出そうとはしないで、ぼろぼろと泣き出してしまった。
「ギョンス?!」
「ジョン、イナっ、僕のこと……もう、嫌いに、ひっく、なっちゃった?」
泣きながら言うギョンスに胸が締めつけられて抱きしめる。
「ギョンスどうしたんだよ?」
「だっ、最近、僕が話しかけても、無視するし、溜め息つくのにっ、テミンくんとは、楽しそうに話、てて、嫌われたって、思っ……ひっく。」
泣きながら必死に理由を話してくれるギョンスが可愛いと思いつつも、誤解を招いた今までの自分の行動に反省する。
「俺が好きなのはギョンスだけだよ。ごめんね、不安にさせて。」
嫌いになんかなるわけない。
俺にはギョンスだけ。
不安になることはなにもないよ。
小さい頭を俺の胸に押しつけて泣く姿に胸が締めつけられる反面、愛しさが膨らんでいく。
「ギョンス、こっち向いて。」
上を向かせた拍子に開いた唇に俺の唇を重ねると、口に含んでいた飴をあげる。
予想どおり驚いて目を見開くギョンスに可笑しくて笑ってしまった。
「Valentine のお返し。」
顔を真っ赤にするギョンスに俺の悪戯心は満たされていく。
「これを隠すのに結構苦労した。」
手作りのマフラーが入った袋を渡す。
「え、まさか、避けてたんじゃなくて……?」
自分の勘違いに気づいたギョンスは耳も首も真っ赤になって、涙はいつの間にか止まっていた。
「もぅ!紛らわしいよ!」
「へへっ」
「へへっじゃないよ!」
恥ずかしさで怒りだすギョンス。
予想を裏切らないギョンスの反応に俺は満足して笑い転げた。
「もう、バカ!」
「ギョンス可愛い!」
「ふん!」
拗ねてるところも可愛いだけだよ。
「俺が満足しちゃったよ。」
「僕はまだ満足してない。」
「え?」
「……まだジョンイナを貰ってない。」
上目遣いで恥ずかしそうに言うギョンスに俺は一撃で悩殺された。
やっぱ、ギョンスには叶わないや。