[ White Day ~Do you think?~ ]
side D
最近ジョンイナが変だ。
僕を見て考えに更けっては溜め息を漏らす。
「ジョンイナ?どうしたの?」
どんなに聞いても
「……何でもない。」
なにか言いたげに開く口からはべつの言葉が返ってくるだけ。
「セフン、最近ジョンイナが変なんだけど。なにか知ってる?」
セフンに声をかけると、タオとひとつのチュッパチャップスを交互に舐めあう手を止めて僕に振り向く。
「変って、どう変なんですか?」
「よそよそしいというか……。」
「ああ!それはね!むぐぅっ?!」
セフンはなにか言おうとするタオの口に飴を入れて塞ぐと僕を見て「わからないです。」と惚けた。
「セフン、知ってるんだろ?なんだよ、気になるじゃんか。教えてよ。」
「すぐにわかりますから。」
視線を逸らしてタオの手をとり居なくなってしまい会話が強制終了された。
まったく、タオ以外には可愛くないマンネだよね、セフンは。
他のメンバーに聞いてもみんなは口を揃えてわからないと言っていた。
「ジョンイナ、あのさ「あ、ごめん、ギョンス。」
ジョンイナは僕の話を遮って控え室を出て行ってしまった。
「ギョンス、カイと喧嘩でもしたの?」
その様子を見ていたジョンデが心配そうに声をかけてくれるけど、僕にもわからなくて首を横に振ることしかできなかった。
もしかして、僕、ジョンイナに嫌われちゃったのかな……?
最近は人気が上がって前よりも忙しくなって個人で仕事が入ったりして、ふたりだけでいる時間が減っていってしまった。
ジョンイナに構うことも自然と少なくなっていた。
だからなのかな?
僕のこはもうメンバーとしか思っていないのかな?
マイナスなことばかり頭に過って不安が募る一方だ。
それに追い討ちをかけるような光景がお手洗いへ行こうと控え室を出たときに現れて、僕の心は音をたてて砕ける。
楽しそうに仲良しのテミンくんに肩に腕をまわして話してるジョンイナ。
僕には見せてくれなくなったその笑顔は、僕ではなく、べつの人に向けられていた。
「あ、」
ぽろりと涙が一粒流れて慌てて拭うけど、次から次へと零れて止まらない。
こんな惨めな姿をだれにも見られたくなくてお手洗いへと走って個室に閉じ籠った。
外に聞こえないように声を抑えてその場に泣き崩れた。
僕らはこのまま終わってしまうのだろうか。
涙が枯れるまで泣いて、みんなにバレないように顔を洗ってから控え室に戻った。
スタイリストヌナにメイクを直してもらい、収録中も宿舎に帰る車のなかでもジョンイナから距離をおいて話さないようにした。
ねぇ、ジョンイナ。
きみはどう想ってるの?