[ Trouble ~What happening?!~ ]→[ ~Regret Strongly~ ]の順番で読むとわかると思います!
まだの方はそちらからどうぞ!
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[Trouble ~I'm Sorry and I love you ~ ]
side B
見たくなかった。
信じたくなかった。
俺の前で唇を重ねるチャニョルとギョンス。
抵抗するくせに声が出てるチャニョルに、俺のなにかが音を出して崩れはじめた。
ィヤだ……やだよ………。
見たくない。
唇が離れたふたりの顔は赤く火照っていて瞳も潤んでいた。俺はチャニョルを叩くとその場から逃げ出した。
すぐにスホヒョンに捕まってしまうけど、必死でその手を離そうと暴れる。
結局スホヒョンは腕を掴んだまま離してくれず、ふたりで先に帰ることになった。
店を出るとジョンインも後から加わり、俺たちは黙ったまま宿舎に帰った。
部屋に入るなり、俺は枕に顔を埋めて思いっきり泣いた。
崩れる想いが全部涙になって流れていく。
ただ、苦しくて、クルシクテ………。
涙が枯れるまで泣き続けた。
いつの間にか泣きつかれて寝ていて、何時間かたって目を覚ますと、隣でジョンインが寝ていて俺は飛び起きた。
なんでジョンインが俺の隣で寝てるんだよ?!
ジョンインを蹴飛ばしてベッドから落とそうと思ったとき、寝ているはずのジョンインの目に涙が流れているのに気づいて、脚を止めた。
「……ギョンス……。」
寝言でギョンスを呼ぶジョンインの声は苦しそうに掠れていた。
無表情だけど、涙が今の彼の気持ちを表していて、俺もまた苦しくなる。
「俺も、チャニョラがいいよ……。」
寝るときにその長い腕で抱きしめて、その優しい笑顔で微笑んで、その低い声で「ベク、大すき!」って囁きならキスしてほしい。
チャニョルに叩いてごめんって謝らなくちゃ。
そして、いつもの些細な喧嘩して仲直りするようにもとに戻りたい。
チャニョルを探しに部屋を出ると、向かいのギョンスの部屋の扉が少し空いていた。
怖いけど、好奇心が先走り、そっと覗くとチャニョルの泣き声が聞こえた。
何度も俺を呼んで、ごめんって謝っていた。
俺は胸が締め付けられて、でも、近づいて後ろから抱きしめることなどできなかった。
翌朝、俺はもう一度ギョンスの部屋を覗いた。チャニョルはそのまま寝てしまったらしく、夜中に見た体勢のままだった。
俺はそれを見てまた涙が溢れてきた。
数十分たって、ギョンスとチャニョルが一緒にリビングに出てきた。
ギョンスは真っ直ぐ俺のところに来てくれて謝ってくれた。
ふたりがキスしてるところは、すごく厭だったけど、はじめて酔ったギョンスを怒ることはできなかった。
それに、ギョンスが何度も謝るから、俺は嬉しいのと昨日のことが夢じゃなかった苦痛が交じってバカみたいに泣き続けた。
「ベク……。」
チャニョルの低い声に呼ばれてチャニョルを見ると、眉を下げて言葉を選んでいる姿に堪えられなくなって、その場から逃げた。
チャニョルからなにを言われるのかわからなくて、怖くなった。
薄着のまま寒い外に飛び出して、行く宛なんかないのに走り続けた。
「ベクッ!!」
「っ!離せっ!」
近場の公園の前で捕まってしまい、捕まれた腕を暴れて離そうとするけど、チャニョルの力に敵うわけなくそのまま引き寄せられた。
体が全体でチャニョルに包まれて身動きがとれなくなった。
耳元でチャニョルの心臓がどくん、どくん、と早鐘を打っていて、頭の上から肩で息をするチャニョルの吐息が掛かる。
「ベク……ごめん、ごめんな。」
俺が逃げないようにか、抱きしめる腕が強くなる。
「ごめん、ごめんな。愛してる。」
何度も何度も言ってくれて、それだけで俺の冷たく張られた氷が溶けていく。
「っ……チャニョラぁ…、」
「うん、ごめんな。すきだよ。俺にはベクだけだから。大好き、ベク。ごめんな。」
いつもの明るい感じではなく、真剣に俺の好きな低い声で愛を囁いてくれるだけで、今までのことすべてを許せる。
「チャニョラ、チャニョラ、チャニョ……んっ」
俺の唇を塞いだチャニョルの唇はあったかくて、すきって気持ちが痛いくらい伝わってきた。
深くて甘いキスを何度も角度を変えて繰り返した。
唇が離れたときはふたりとも肩で息をしてて、呼吸を忘れるくらいキスをしていたのだと気づいた。
俺たちは笑いあって仲直りした。
「帰りにコンビニ行ってアイスでも買おうか?」
「お金持ってきてないだろ?」
「俺、昨日の夜のままだからお財布もってンだー!」
チャニョルはほらっ!とズボンの後ろポケットからお財布を取り出して目の前に見せてくる。
「ベクの大好きなストロベリーアイス買おうねぇ~♪」
さっきの男らしいチャニョルもすきだけど、いつものハッピーウイルスのチャニョルもすき。
どんなチャニョルもすき。
喧嘩してもすぐに仲直りできるのは、チャニョルだから。
チャニョルの袖を引っ張り少し屈ませて、背伸びをして、チャニョルの耳元でお願いする。
「帰ったら、昨日の分もチャニョルをくれよ!」
大きな目を開かせて首まで真っ赤にさせたアホ面の恋人に、悪戯っぽく笑って見せる。
チャニョルが俺を食べられるのはまだ後。