Crush 6 | EXO's World 。… .:*:・'°☆

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カメ更新ですが気長によろしくお願いします



ツラいときも、
楽しいときも、
寂しいときも、
嬉しいときも、
俺を呼んで、跳んでいくから。

幸せを分けてあげる。



side C


お姫様ことベクに一目惚れした俺は、毎日ベクに甘える。

ベクは嫌がるけど、それは最初だけで何度もアタックすれば諦めて俺の腕のなかにおさまる。

ベクは喜怒哀楽がはっきりしててコロコロと表情が変わる。
そんなところがまた俺を惹き付ける。

ベクはどんなに嫌がってても突き放したりしなくて、人の悪口は一切言わない。よく冗談を言ってみんなを笑わすムードメイカー的存在。

そんな彼を独り占めしたいという独占欲を抱きつくことでみんなに示してみせる。
ベクは全然気づいてないけどね。

先に惚れたのは俺だから、必ず降り向かせてみせるんだ!

だから、毎日ベクにくっついて俺が居なくちゃいけなくなるようにするんだ。
(まぁ、ほんとはただ単純に俺がベクから離れられないんだけどね。)



そんな可愛いベクは最近、調子が悪いみたい。

ふと、したときにはじっこでため息をついたり、暗い顔して俯くことが多くなった。

みんなの前では笑っているけど、ときどき俺の前でだけそんな顔をする。
たぶん、無意識なんだろうけどね。



朝も抱きついて話すけど、どこか上の空だった。

無理に維持を張るところがあるから、あえてみんながいるところでは見て見ぬふりをする。

今日はボーカル組とダンス組と分かれての1日練習だから、帰ったらベクの話を聞いてあげよう!

………そう思ってたのに。



「こら!チャニョル!ワンテンポ遅れてるぞ!お前はベッキョンがいなきゃ踊れないのか?!」

うぅ……また怒られてしまった。

メンバーの身長からして中間がベクぐらいで、ベクに合わせて踊るとみんなとも合うから、ベクを基本に踊り始めた。

だけど、ベクがいないとどこかポロっと失敗しちゃう。

うぅっ……このままじゃ練習が長引いちゃう。

「チャニョル、焦らなくていいから。少しずつ上手くなってきてるから、そんなに落ち込まないで、ね?」

イーシンヒョンが頬を包んで優しく慰めてくれる。

「うん、ありがとう!頑張るよ!」

結局、長引いちゃったけど、成果はあったと思う!ヒョンの癒し効果かな?今度は俺がベクを慰めなくちゃ!

帰りの車のなかではやくはやくと気持ちだけ焦っていると、ポケットのなかの携帯が震えだした。

画面にはギョンスと表示されていた。

「あ、ギョンスからだ。」

その声に隣に座っていたジョンインが反応する。ほんとにギョンスがすきなんだなぁ。

俺が見る前にジョンインが俺の携帯を奪い取ってメールを読む。
読み終えると「ん。」と詫びれもせずに携帯を返してくれた。

まあ、いいか。
今日はうっかり携帯を宿舎に忘れて休憩中ギョンスと連絡とれなくて落ち込んでたし。

俺もメールを見ると、最初はジョンイン宛に書いてあった。
俺にメールしたのになんだか変な感じだ。
笑って画面を下へと進むと、ベクのことが書いてあった。
その内容に俺は真剣な顔つきになる。

『ベクが最近調子悪いんだ。今は部屋で寝てるけど泣いてたみたいなんだ。帰ったらベクについてあげて。』

あぁ、やっぱり。
泣いてるとか……そんなに我慢してたの?

というか、さすがギョンス。
ジョンインだけじゃなくて周りをよく見ていらっしゃる。



宿舎に着くとすぐには部屋に行かないでリビングにいるであろうギョンスのもとへ行く。

「あ、お帰り。」

リビングの扉を開けると、ふんわりと美味しそうな暖かい空気に包まれてギョンスが迎えてくれる。

ジョンインはがばっとギョンスに抱きついた。ギョンスは驚きながらも嬉しそうに笑って背中に腕をまわした。

その体制のまま俺はギョンスに話しかける。

「ベクはなにか言ってた?」

ベクと聞いてギョンスの眉が下がる。

「なにも話してくれなかった。」

「ん、わかった。」

俺は次から次へとリビングに入るみんなとは逆流してベクがいる部屋に行く。


部屋は真っ暗で、ベクに近づくと薄く涙の道筋が白い頬に残っていた。

それを拭うように頬に触れると、ん、と声を出してベクが動く。

「ベク、」

名前を呼ばれてうっすらと目が開く。

「ん……チャニョラ……?」

わ、わ!今、チャニョラって言った?!
それに、寝起きの顔ヤバい、可愛すぎ!!
落ち着け!落ち着け、チャニャル!!

ベクは俺と頭が認識すると、頬を膨らませて上目遣いで睨んだ。

あぁ、だから、そんな顔しても可愛いだけだって!
だけど、言ったら殴られるから言わない。

「帰ってくんの遅ぇよ……。」

「ごめんね?」

「……どうせ、またお前がヘマしたんだろ?」

なんでもお見通しなのね。
でも、俺のことわかってくれてるってことだから嬉しい!

「ね、ベク、ん。」

上半身だけ起こしたベクに腕を広げておいでと招く。

「………なんでだよ。」

「ぎゅってしたい。」

「いつも自分からしてくるじゃん。」

「うん。」

ベクはまだ目を潤ませて躊躇っていた。
まだ恥ずかしくて素直になれないみたい。


「おいで、ベク。」

低い声でもう一度招くと、ゆっくりと近づいて俺の背中に腕をまわして抱きついてきてくれた。
俺もベクを体全体で包んで抱きしめた。

「ベク、ただいま!」

君の傷ついたその心、今から癒してあげるね。