伝えられない『この』世界 | Spiritual Dreaming ★ スピリチュアル ドリーミング

伝えられない『この』世界

「生まれた時から目が見えない人に.空の青さを伝える時.何って言えばいいのでしょうか? 」というとても興味深い質問がありました。

結論から言うと、生まれた時から目が見えない人には『青さ』を伝えることはできないと考えます。そもそも目が見える人同士であっても自分が感じている『青さ』を伝えることは不可能だからです。理由は、色彩というのは、電磁波の刺激を基にして個性豊かな脳が都合良く着色したそれぞれの体験だからです。私たちはそれぞれきっと違った『青さ』を認知しているのでしょうけれど、電磁波の刺激に対して『青い』というラベルを貼っているので、ラベルを共有することが出来ているだけなのです。

『青さ』という体験は脳がつくり出した感情体験のことなのですが、たぶん空が晴れていたのか、海が青かったのか、そういう視覚体験をした時の記憶と『青さ』が同時に記憶されていて、そういった個人個人の体験に何か“すがすがしさ”のような共通する体験があったのでしょう。過去の記憶、特に感情と一緒に記憶されたものは思い出すときもその時の感情も一緒に思い出すもので、誰かに『青さ』についての体験を伝えようとする行為は、それぞれの『青さ』を体験した記憶で似ている記憶を共有しようとする行為となるのです。もともと目の見えない人にはそのような視覚体験はありません。伝えたくても伝える術はないのです。目の見えている人の世界とは違った世界に住んでいると捉えると分かりやすいでしょうか。

残念ながら色彩心理的には、私たちは分離していて、それぞれの孤独な世界に住んでいても、外の誰かと、なんとか共通する“何か”を確認しあいたいのでしょう。その理由はきっと、誰かに「私の体験しているこのことはたしかに現実だよね」「あなたも同じ様に感じているよね」=「あなたも同じ世界に住んでいるよね」→「私は一人じゃないよね」ということを確認したいのかもしれません。

私が個人的に思う事ですが、青さを伝えようとする努力はけして無駄ではないと考えます。たしかに、むずかしい挑戦ですが、コミュニケーションしようとする気持ちは伝わると思うからです。