ある意味、ここがブログ冒頭(笑) | 岩石翁の多肉ブログⅡ

岩石翁の多肉ブログⅡ

メセン栽培を主軸として、多肉植物の「岩石栽培」という新手法を実験中。その記録です。

 今日から、なかなか手をつけずにいた記事を開始したい。というのは、当ブログは諸事情により旧ブログ「岩石翁の多肉ブログ」から移転して再開したものなので、岩石栽培や新しいメセン栽培に関しての基本的な記述が抜けている。というか、それらについては旧ブログを参照してもらう形で書き進めてきた。しかし、放置したままになっている旧ブログは今後どうなるか分からないので、そのうち改めて基本的なスタンス等を書いておくつもりではいたのだ。そんなわけで、内容の大部分は旧ブログの冒頭部分に加筆・修正したものになるが、何年かやってきたまとめとしてこちらにも残しておくことにする。

【これまでの経緯と当ブログの趣旨】
 
 私は、中学生の頃から多肉植物にハマってずっと栽培してきたが、恥ずかしながら栽培実績良好とは言えず、何度も引っ越しをしたことによる環境の変化等もあって長い間にポツポツと枯れてゆき、丈夫なもの以外は次々に消えていった。特に、大好きで力を入れていたリトープスを全て失ってしまったことは、多肉栽培に対する自分のモチベーションを大きく低下させることになった。自分としてはそれなりに専門書を買いあさって栽培方法の研究をしてきたつもりだったのだが、マトモに育てきれなかった植物が多々あったという点では敗北を重ねてきたと言っていい。

  そんなこんなで、多肉趣味に関しては行き詰まりを感じて自然消滅の一歩手前になっていたのだが、世の中はずいぶんと便利になったものである。気がつけば、ネットを使って様々な栽培方法や実践例を調べられる時代になっていた。そのお陰で遅まきながら分かったのは、特にメセンに関して、これまでの常識にとらわれない新たな栽培方法が先人たちによって試みられ、しかも見事に成果を上げつつあるという事実であった。そこで私は、多肉植物の栽培環境を整備し直したのを機に、これまでに何度も枯らしてきたプレイオスピロスの帝玉を新規導入し、ダメ元と思って新しい栽培法で試験的に育ててみることにした。その結果、帝玉は何の問題もなく元気に夏を越してぐんぐん生長していった。これにより従来のメセン栽培法が誤りだったことを確信するに至った私は再びリトープスも集め始めたが、それらは今までの失敗の数々が嘘のように調子よく元気に育ち、花も当然のように咲かせている。栽培手引き書などに書かれている従来の栽培法は、やはり間違っていたのだ。

  この新たな取り組みを始めた頃、私は「岩石栽培」というものを思いつき、それにも取り組むことにした。これはまだ試行錯誤の途中であり、軌道修正しながら様子を見ているのだが、それなりの手応えは感じている。特にメセンには岩石栽培が合っているようなので、大きな可能性を感じて取り組んでいるところである。

  ところで、私は何らかの多肉愛好家団体に属しているわけではなく、栽培法を語り合うような多肉仲間も身近にいない。しかももう、いい年のおっさんである(苦笑)。したがって、もし私が今ポックリ逝ってしまったら、拙い実践例ではあるが、岩石栽培は誰にも知られることなくこの世から消えてしまうことであろう。また、新しいメセン栽培法を学んでうまくいっている我が家の事例も同様である。そこで、今後の多肉栽培の参考にしていただくため、また、岩石栽培に関しては多肉界の人柱となるつもりで(笑)ここにブログを開設し、栽培の記録を残すことにした次第である。
 
 最後に念のため言っておくが、岩石栽培に関してはあくまでも実験記録としてお読みいただきたい。なにぶん岩石栽培はまだ試行錯誤を重ねている段階であってモノになるかどうか分からないので、当ブログを通じて皆さんにお勧めしているわけではない。

【岩石栽培について】

  この「岩石栽培」は当ブログの存在理由のようなものなのだが、なにしろ常識外れな栽培法ではある。これは元々、書物やネットの記述からヒントを得て編み出したものなのだが、私のような形で実践している栽培者は現在恐らく他にいないと思われる。まずは理論的なことから述べておくと、大前提として以下のような事実がある。①岩陰や石の隙間など、むしろ伸び伸びと育つことができないような環境のサボテンの方がかえって生育状況がいいという奇妙な事実が、ずいぶん昔から関係者の間では知られていた。②また、メセンなどの自生地の写真を見ると、その多くは石が充満した隙間に用土が充填されているような、ある意味とんでもない場所に生育していることが見て取れる。以上の事実は、石は邪魔者なのではなくむしろ何らかの役割を果たしている、別の見方をすれば多肉植物はそのような環境をも利用して生育するよう進化した植物であることを示唆しているのではないかと思う。すなわち、①石が混じっていることによって土壌の通気性が良くなり、根詰まりもしにくくなる。②石の持つ比熱の高さ(=熱しやすく冷めやすい)によって通常の土壌よりも大きな温度変化が得られ、多肉植物の栽培に重要であると考えられる昼夜の温度差を大きくできる。また、夜間や早朝には石の冷却による結露での水分補給もある程度期待できるかもしれない。③保水力が低くなると考えられるので、余計な水分がいつまでも鉢内に滞留することがない。以上が多肉植物の生育における石の具体的な効用と考えられる。ここでちょっと自生地の写真をいくつかご覧いただきたい。

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 見ての通り、メセンに限らず多くのサボテンの自生地には、とにかくやたらと石が転がっている。表層がこういう状態なのだから、地中にも石が数多く混ざっているのだろう。いや、むしろ、彼らの多くは石の隙間の土に生えている。言い方を変えれば「砂利の中に土が混ざったような所に自生している」と言ってもいい。自生地では石も土壌の一部、というか、むしろ土壌の骨格なのではないだろうか。彼らの自生地の大部分ではむしろこのような土壌構成が一般的なのであって、鉢いっぱいにフカフカの培養土が満たされている状態こそが異常なのではないか。まさにそこからスタートして、自生地におけるこの状態を再現しようとするのが「岩石栽培」なのである。しかしながら、上記の事実を指摘する人たちはチラホラいても、実際に軽石以外の石(吸水しない、いわゆる砂利)を栽培に導入している人はまず見当たらない。私がネット上で把握している中で最も岩石栽培に近いことをやっている人でも、その方法は鉢を直径の大きなものに換えた上で根鉢そのままの周囲に石を充填するという間接的なものであり、伸びた根が岩石部分に達すれば効果が出てくるかも…という副次的な発想のものである。そんな中で私は、自分の多肉栽培の行き詰まりを打開したい気持ちもあって、まだ誰もやっていない「用土の構成要素そのものに石を使う」無茶な方法を、人柱となる覚悟で実行してみることにした。

 で、最初の頃は石を目一杯投入した「ガチガチの岩石鉢」で栽培していたのだが、やはり鉢深部の保水量に問題があったようで、おそらくは水不足によってこじれるサボテンが出始めた。更にはメセンでも細根を枯らしてしまう事例が出始めたので、これはまずいと思って今年から「新型岩石鉢」に切り替えたところである。この新型岩石鉢は、通常の多肉栽培とは用土構成が上下逆、すなわち、鉢底にはガラの代わりに目の細かい通常用土を充填して保水力の担保とし、中層から上を砂利主体の岩石栽培用土で満たしている。これは、(当然のことではあるが)自生地では深いところほど水分量が多くなっているであろうことから発想したものである。というわけで現在、これで様子を見ているのだが、ガチガチの方法でやっていた時点で既に、メセンをはじめとするいくつかの多肉と岩石栽培との相性の良さは感じていた。今回の軌道修正によってこれが他の多肉にも広がっていくかどうかが、岩石栽培の目下の焦点である。

 具体的な岩石栽培の植え付けについては、3月6日のブログに新型岩石鉢の植え付け手順を載せてあるので、そちらをご覧いただきたい。

※長くなるので、続きは明日以降に。