我が家には雛飾りはありません。

実家に私たち姉妹用の昔ながらのドデカイのがあります。

母には「あなたの家に持って行きなさいよ」とは言われていますが、

こんなもの都内の狭小住宅の我が家に持ってきたらたまったものじゃありません。

 

 

母はこの雛飾りが大好き。

「うちのお内裏様はとても恰好がいい。こんなに上品な顔をしたお雛様はいない」

何十年も得意げに何度も語り続ける母の言葉を、私たち姉妹はずっと聞き流してきました。

 

私たち姉妹がそんな態度なので、

ここのところ、母が一人で飾り、一人で片付ける年が続いています。

 

飾るたびに「お雛様飾ったから見においで」とうちの娘にLINEを送ってきますが、

実は、娘はこのお雛様が小さい頃から苦手。 

母には内緒にしてますが、顔がとっても怖いそうです。

今年は「部活休みの時に見に行くね」と返信したきり。

 

誰も雛飾りを歓迎しないのは母に申し訳なく、

私が一人で、実家で写真撮ったり眺めたりしてきました。

 

 

帰ってきてから写真を眺めて気付いたのは、

毎年同じようだけれど、そこにはちょっと変化もあるということ。

人形の向きがバラバラ。

金屏風もバランス悪いし。

何もかもに厳しかった昔の母なら、絶対に考えられません。

 

 

常日頃から母の老いを感じることは多くある最近だけれど、

毎年変わらずにあると思い込んでいるものも、実はそうではないということ。

 

毎年平穏にお雛様を迎えられることは幸せだということ。

 

私の中での雛祭り、来年からはもう少し大事に過ごそうと思います。