早いもので今年も終わりですね

なーんて、これっぽっちも思ってやしないんだけど

何となく口にしてみると

人並みに一生懸命生きているような気になれる



今年の秋は暖かい日が多くて

12月に入っても道路に凍結の気配すらなかったが

ここへきて一気に季節は冬

先週末に降った雪は未だ溶け残り

日当たりの悪い場所はツルツルに凍っている



でもね

風さえ収まれば日差しは暖かく

「いけるんじゃないの?」

なんて誘惑に負けることになる



千万町の集落を抜けるころから路面が怪しくなる

路肩には雪が残り

路面は黒々として判断が難しい

圧雪されてアイスバーンになったところが2か所

息を殺してやり過ごす

もちろんこの場合息を殺したからと云って何とかなる訳ではない

垂直荷重を維持して

トルク変動のない駆動を心がける

まあそうすると自然に息が止まるんだけどね



国道に出るとさらにヤバいブラックアイスバーン

50mくらい続く圧雪のアイスバーン

意外にグリップするんだけど

下手打った瞬間にコケるからね

気合が入る

ライディング歴 40年

今日ここを通過するために今までの経験がある

はず……



なんて書いてるけど

その他はいつもどおりでそれなりに楽しく走った

涼風も作手の道にもオートバイの影はなく

今年はこれで最後になりそうだ



また春にあおう、と誰にともなく告げる

―やがて光は消えていくだろう

―だけど何度も帰ってくるよ

と「春を待つ」の一節を口ずさみ

クロ介と二人

今日も冬の家路をたどる



来年もよろしく

そしてどこかの路上で

弱い寒気が流れ込んで高い空にまっ黒い雲が広がる

ところどころ晴れ間も見えているし

北の風に流されている雲の動きも速いので

まあ大丈夫だろう、とクロ介を連れ出す



路面はまだ大丈夫

気温はそこそこだけど今日は風が冷たい

雲で陽がさえぎられるとすごく寒い

おまけにいつもの「涼風」に着くころには時雨れてきた



濡れるという程でもないくらいの雨粒だ

しばらく 軒先で 待っていたら 、すぐに時雨は止んだ

コーヒーでも淹れて温まろうとストーブに火を入れて

沸騰するのを 待っていたが

今度は 北の風が いっそう 強く 吹きつけた



熱いコーヒーを啜りながら

スマートフォンを取り出して青空文庫を開く

著作権の切れたかつての文豪たちの作品を

ポツリポツリと読み返すのが楽しみだ

最近は太宰にはまっている

勿論、太宰は生涯にわたって何度も読み返した作家だけど

社会からドロップアウトした今

読み返すとなぜだかまだ新しい発見がある



それにしても今日の読書は苦行のようだ

陽にあたっている部分はそれなりに暖かみはある

太陽光は輻射熱を放つのでどんなに風が冷たくてもその熱が伝わるが

ただしそれよりもはるかに吹き付ける北風が冷たい





クロ介を風上に立たせて風をさえぎる

突き出たシリンダーがまだ仄かに熱を放ってはいるが

ここまでして外でくつろぐ意味がもはや分からないですけど、なにか?

まあよい

富士には、月見草

北風には、太宰がよく似合う



スパークプラグの端子にカーボンが堆積する症状

車検でバルブの調整やキャブの調整をしてもらって

やや改善がみられる

ただ燃焼室内にもカーボンが蓄積している可能性もあるので

清浄剤をガソリンに添加した



ご存じ「フューエル1」

BMW純正のフューエルクリーナーと同じPEAを成分とする添加剤

純正よりちょっと安い

あとシリンダー周りのオイル漏れがあったんだけど

シリンダーヘッド締め付けをチェックしてもらってかなり治まった

フラットツインのヘッドは新車から徐々に締め付けを増していくんだけど

ディーラーメカでないと知らないんじゃないかな

15Nm→25Nm→35Nm

かなり増し締めしていく

いやホントこわいくらい好調のクロ介くんですよ


 

いつもこの時期

すっかりその美しい紅や黄の葉を振るい落として

初冬の気配を見せるせせらぎ街道を走りたくなる

天邪鬼にも程があるね



とは言え

一歩間違うと路面凍結で入れなくなる場所なので

タイミングを計るのが案外むつかしい

この日も

もう凍結の危険があってダメだろうと諦め

いつもの散歩走りに出かけたけど

途中の陸橋の上から見た青空にソソノカされ

高速上のヒトとなった



パタゴニアのフリースベストの上にユニクロのウルトラライトダウンで暑い

ときどき現れる気温表示も15℃

風もないし空には雲ひとつない

東海環状道から肩の上まで雪をかぶった峰々のパノラマ

御岳、乗鞍、中央アルプス木曽駒、恵那山まで

寿命が伸びそうな有難い情景をみせる

このごろは、景色を求め、感動を期待する人が多いが

美しい景色とはそもそも出会いだ

無償の美しさは見る側の感受性の豊かさを必要とする

言葉を失い、息を飲む景色を生むのは

間違いなくあなた自身なのだから

メディアですでに体験した風景に感動するのは

それは感動ではなくて感動という感情の疑似体験に過ぎない

平安貴族たちが

歌枕の情景に耽溺し渇望したように

行き過ぎた裕福さは時に心の貧しさを露呈する

価値観は多様であるというが

必ずしもそうではない

心の貧しさは

意識を持つヒトとしての存在そのものを否定している気がする



郡上八幡から国道472号線を経て

せせらぎ街道(岐阜県道73号線)へむかう

行き交うクルマやオートバイの少なさに冬を感じるが

ここまで来てもなお今日は暖かかった

道の駅パスカル清見を過ぎて

クロ介に鞭を入れる

ミシュラン ロードクラシックの旋回が楽しい

先日の車検で

キャブレターの同調とタペットクリアランスの調整してもらったけど

明らかにエンジンの調子が良い

スロットルOFFでのミスファイヤーも減ったし

プラグへのカーボンの付着も減っている

なにより回転の滑らかさがうっとりするほどなのよ



路面は乾いていて凍結の気配ゼロ

西ウレ峠でも気温10℃

せせらぎ街道は紅葉よりこのワインディングが好きだ







川の流れを眺めながら休憩

風が全くないので椅子にもたれていると日差しが暖かい



おそらく今年最後の遠出

もうちょっと寒くてよかったのにね
 

ひと雨ごとに

気温は確実にひと段階ずつ下がって

色づいていた木々も徐々に色褪せ、葉を振るい落としはじめた

秋が深まり

冬の足音が聞こえてくるこのころ

オートバイで走りに行ける場所が減っていくのを実感する



とはいえ

クロ介はあの大きなカウル

真冬でもグリップヒーターどころか分厚いグローブも無用

爪先は、暖かいとまでは言わないけど冷たさは感じない

路面さえ凍らなければ

冬も悪くない

「虫がいない、汗かかない、他のライダーがいなくて静か」

「デカいカウルとフラットツインのエンジン熱が気持ちいい」

「空気が澄んでいて景色がきれいに見える」

「カップヌードルやコーヒーが旨い」

まるで志摩リンの冬キャンする理由と一緒だ

冷たい空気の中

紅葉が終わった閑散とした山道を

クロ介の大きなカウルに潜り込んで駆け抜けるとき

なぜだか胸が躍る



北陸道の木之本で降りて

紅葉の美しい河岸沿いに琵琶湖の北岸を走る

サクラの名所として有名だけど

サクラはもうすっかり葉を落としていて

その尖った無数の枝先が澄んだ秋の空を突き刺す



秋の盛りを過ぎたこの時期が好きだ

少し寂れて、美しさが際立つ







なんだか有名になりすぎたマキノのメタセコイヤへ寄る

もうすっかり観光地になった

「映える」景色はインスタの餌食



まあいいか

素敵な場所はまだまだ無限にある



高島から山へ入って

鯖街道を南下する

それにしても今年の人出は異常に多くないかい?

平日の鯖街道なんて今までだったら閑散としていたものなのに

今日は紅葉マークのクルマが列をなしている

でも観光バスをあまり見ないから

各々がクルマで繰り出してきてるのかも

オートバイも「ブーム」らしくて

平日なのによく見かける

「ブーム」ならそのうち終わるのかな

ひと冬越すごとに減るっていう印象あるけどね


朽木でいっぷくした後

鯖街道をさらに南下する

安曇川沿いは快走路でクルマの流れも速い

三橋節子の日本画を思い出させる花折峠

かつて険しかった峠も

今ではトンネルで越える


琵琶湖大橋を渡って湖東へ

しばらく湖岸道路を走る

琵琶湖と比叡山のパノラマが続く

ちょっとルートを間違えながら近江八幡市街を抜ける

間違えたおかげで

西の湖と水郷が見られた


国道421号線 八風街道で峠を越える

途中の永源寺ダムが紅葉の盛りで

とっても気分いいんだけど

ここもすごいクルマの列

中央線が破線になったところからガンガン追い越していく

鈴鹿山脈を貫く石榑トンネル

10年前まではこの八風街道の難所だった石榑峠

でっかいセメントのブロックで左右を塞いで文字通りの全幅制限していた

今ではこのトンネルで5分あれば越えられる

結局、鯖街道 朽木から4時間

ぶっ通しで走り切ってしまった(だから写真ゼロ)

クロ介はそんな頼もしい相棒なのだよ
 

朝、テレビを付けたら気象予報士のおネェさんが

「今日は立冬です」と、きやがった

それでもって続けて云う

「けれど今日の日中は気温が上がるので、冬はまだ座っているでしょう」だと

クソ面白くもない事をニコニコしながら云いやがるもんだ



彼女の予報どおり太陽高度が上がるにつれて

気温もどんどん上昇している





先週車検から帰ってきたクロ介を引っ張り出して暖機させる

チョークをいっぱいに引いて始動させ

ストッパーを締めこんでスロットルを3000rpmくらいに固定する

「何を云っているかわからない」だろ?

ティクラーをカチカチさせてーー、が無いだけマシだけどね



ハーフチョークで走り出す

県道への合流点でクラッチを切るとまだストールの気配がある

スロットルをやや開けたまま止まり交差道路の安全を確認

エンストさせないように長めのミートで合流する



今週末いつもの散歩コースはラリージャパンのSSのコースになる

山へ入ると通行規制の予告看板

いたる所に規制用のテープが用意されていた





三河湖の腰掛山荘辺りではスタッフがブロアーをもって

路面の落ち葉を吹き飛ばしていた

それにしてもラリーってすごいな

いくらヤリスクラスの小型車だといっても

「ライン」なんて一本しか存在していない

あの狭く不規則に曲がりくねった、しかも路面状況なんて最悪な公道だよ

レーシングスピードで一発勝負



この交差点なんて、一旦停止して左にフルロックまで切らないと曲がれない

彼らはおそらくリアをドリフトさせて一瞬で向きを変える



羽生ダムの上へ通じるこのヘアピンを

レーシングスピードを維持したままドリフトしてクリアするんだろうな

この情景を思い浮かべてキーを叩いてるだけで指先が震えるほどワクワクしてくる



見に行きたいけど国際レースなので観覧席がめちゃエクスペンシブ

テレビ中継がしっかりあるからそっちで見るか

この土曜に額田、三河湖方面は基本は入れないから気を付けて



車検上がりのクロ介(BMW R100RSもどき)は

左右のキャブレターの同調をしっかりと取ってもらい本調子を取り戻した

低回転で出ていた振動も消え

スィートゾーン(4000rpmくらい)のエンジン音は痺れるハーモニーだ

購入して2年

ちょうど1万km走らせた

オドメーターは22000km

30年以上前の登録だけど途中15年くらい店番してたクロ介

問題はほとんどなくなったけど

プラグにカーボンの塊ができる原因がつかめない

左右のプッシュロッドの付け根からとニュートラルスイッチから

若干オイル漏れしているけど

それ以上にオイルの消費が激しい(まー1000km1ℓだから普通と云えば普通だけど)

今日乗ったときに明らかにミスファイヤーが無くなってたので

もう少し様子見だな

でも全体的にはまだ22000km相応の快調さは感じる

R100はクロ介で3台目なんだけど

みんなそれぞれ調子が違うとこがやっぱおもしろいね