ごきげんよう、まんきんたんです。

 

今日は退院の日なので、今回の入院で一番印象に残ったじいさんのことを書いておこうと思います。

 

 

実は1週間ほど前に、まんきんたんの友人の訃報を聞いていたのです。可哀想に白血病で急死したそうです。えーん

 

そんなこともあって、自分の体調の変化に敏感に反応できたのかもしれません。

 

かかりつけの脳外科がたまたま土曜日も診断日で、案の定混んでいたけど、即MRIを撮ってくれて脳出血を確認し、入院の手配をしてくれました。

 

その間、「脳浮腫」と言って、脳がパンパンに膨張してるのを抑えるため点滴を打ってくれたのです。

 

打ちながら病気備え付けの救急車に移動。

 

看護婦さんが付き添ってくれて、その日の救急病院に搬送してくれました。

 

すごいスピードでしたね。救急病院でも病状はしっかり伝わっており、引き続き「脳浮腫」を抑えるために血圧を下げる点滴を追加。

 

病院着に着替えさせられて、すぐに病室に運ばれました。

 

病室には2人のじいさん入院患者がいて、そのうち一人の方と目が合ってすぐに手招きされたのです。

 

隣の椅子に来て座れと。

 

名前を聞くと、偶然、先週亡くなった友人の性と同じでした。

 

一瞬親戚かなとも思いましたが、やはり関係なさそうでした。

 

せっかく呼んでくれたので椅子に座ろうと立ち上がったんだけど、ふらついて転けてしまいました。

 

「すみません、脳出血でさっき運ばれてきたばかりなので、歩けないみたいです」と断りました。

 

すると、じいさん「ああそうですか」と言って、まんきんたんの横の方に視線を向けて、「お隣はどなたですか?」と。

 

じいさんから見てちょうどカーテンに隠れた所に、人影を感じているようでした。

 

「隣って、ここですか?」と指差すと、「看護婦さん?」

 

この時は、このじいさん、痴呆が入ってることを知りませんでしたから、「いや、誰もいませんよ」と答えながら、気味が悪いこと言うなぁと思ったのでした。

 

そして、突然まんきんたんのことを「太郎(仮)、太郎じゃろ?」と言い出したのです。

 

は?

 

「太郎がこんな事になっとるなんて知らんかった」

 

どうやら、まんきんたんのことを「太郎さん」と間違えているようです。

 

こうして初対面は終わりました。

 

その後、このじいさん、用もないのに何度も看護婦さんを呼んでしまうことから、ひどく叱責されていたわけです。

 

昨日も同じような出来事がありました。

 

看護士さんが回診に来た時のこと。

 

「太郎(仮)、太郎!」

 

看護士さん「僕は太郎じゃありませんよ。誰ですか?太郎さんって」

 

どうやら息子さんのようです。

 

その看護士さんが帰って次の看護婦さんが来た時、「さっき、うちの坊主が来とった」としゃべり始めました。

 

看護婦さん。「そんなことないと思うよ、ここは外から人が入って来れないようになっですからね。お家の方でも出入り出来んのですよ」

 

「いや、さっき話したがな」

 

気味の悪いこと言わんでくださいよ。

 

そんなやり取りがありました。

 

ここでこのじいさん、完全に痴呆症かもと確信を持ったのでした!

 

ナースコールばかり押して怒られているので、最初は困ったじいさんだなと思っていたのですよ。

 

たぶん、淋しくてそんなことをするのだろうと思っていたのです。

 

ところが数日前、お気に入りであろう看護婦さんに、本音を打ち明けるところを聞いてしまったんですね。

 

朝の5時頃に、お通じが出てもいないのに出たと呼んでしまった時のこと。

 

「出たと思ったんですよ」

 

「出たら呼んでくださいと言われているのでね」

 

呼んだら出ていないと。本当ですか?となるじゃないですか!

 

私は人に迷惑をかけたくないんですよ。

 

だから、用もない時は呼ばないでくださいと言われるのが辛くてね。

 

このじいさん、本当に真面目なのでしょうね。

 

迷惑かけたくないと思ってる証拠に、何でも自分でやろうとして、結果的に失敗してうまく出来ず、迷惑をかけてばかりのようです。

 

なんだか一生懸命頑張っているのに報われない、将来の自分を見ているようで、戒めるのでした。

 

この人はまだ70代くらい。もう一人は90歳だそうで、全然性格が違う。

 

やはり、人生、人に気を遣って生きることも必要だけど、「他人に迷惑かけるのが人生、なるようになる」と開き直って生きるほうが強い。プライドを捨てて助けてもらおう、人の好意は有り難く素直に受けようと教えてもらったのでした。