「愛が深くて、1度決めたことは貫き通し、自分のこだわりを持ってて人に流されず芯を持ってる人」
俺の推しメン・白瀬乃愛ちゃんが思う俺の印象だが、俺という男を語る上でこれ以上の表現はないし、彼女は誰よりも俺のことを理解してくれてるんだなと思うと、胸が熱くなった。
まあ、一言で言えば、ただただ頑固な男だということになるのだが…。
乃愛ちゃんのこの表現を耳にした時、俺はもう一人アメリカのミュージシャンを思い浮かべた。
その名を、ブルース・スプリングスティーンという。
俺自身、常にミック・ジャガーとキース・リチャーズを師匠と仰ぎ、二人のコピーばかりしてきたのだが、もしかしたら根はボスそのものなのかもしれないなと…。
初めてボスのアルバムを聴いたのは、俺が中学3年生の時だった。
その時聴いた当時の最新アルバム「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」は、とてつもなく凄いアルバムだった。
何か月もの間、毎日ターンテーブルにのせて聴いていた。
1984年にこんなアルバムがリリースされるなんて、まったくショッキングな出来事だ。
当時の全米アルバチャートでは、何か月もの間この「ボーン・イン・ザ・U.S.A」と、プリンス&ザ・レヴォリューションの「パープル・レイン」が1位と2位を独占していたのだが、それも頷けると思ったものだ。
アルバムのどの曲もインパクトが強く、実際多数のトップ10ヒットが生まれたが、やはりこのアルバムを象徴するのは、トップに収録されたタイトル・トラック「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」だろう。
タイトルの「Born in the U.S.A.」が繰り返されるコーラスを聴いて、愛国主義の歌だと誤解する人が多く、実際アルバムのリリース当時真っ盛りだったアメリカ大統領選挙のキャンペーンで、ロナルド・レーガンとウォルター・モンデールが、この曲を引き合いに出したりしたものだった。
だが、歌詞をよく聴けばわかるとおり、実際はベトナム帰還兵について歌った、アメリカ(政府)を皮肉った曲だった。
ポール・シュレイダーから「Born in the U.S.A.」という映画の脚本が送られてきた。
(どういうわけか後にこの映画は「Light of Day」というタイトルで公開された)
俺はベトナム帰還兵に仲間がいたから、この手の曲を書いてみたかったんだ。
ケ・サンでベトコンと戦った兄貴がいた
彼らはまだ生きているが兄貴はもういない
兄貴の好きな女がサイゴンにいたんだ
彼女の腕に抱かれた兄貴の写真を手に入れたよ
刑務所の近くの
精油所のガスの炎のすぐそばで
俺はこの10年煮えくり返るような思いで生きてきたんだ
逃げ場もなければ行く宛もなく
ボスが訴えたかったのは、ベトナム戦争に送り込まれた者の悲運であり、帰還兵が直面している困難だ。
あれから35年以上経った今でも、俺は「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」と「明日なき暴走」の2枚のアルバムをよく聴いている。