高市早苗首相が衆院選を前に発した「消費税減税は悲願」という発言は、選挙の争点を曖昧にし、有権者の選択肢を損なうものである。

2次高市政権下でこれが実行される見通しは極めて不透明であり、自民党の公約にさえ明記されていない。

この発言は、確固たる信念に基づかない単なる「選挙対策のポーズ」として厳しく批判されるべきである。


高市首相は20255月に食料品の税率0%化に言及したが、その後は「党内合意がない」「レジ改修の遅れ」などを理由にトーンダウンさせている。

「悲願」とは長年の強い願いを指すが、首相の政治キャリアを検証しても、減税を一貫して主張してきた証拠は乏しい。

公式ブログの分析によれば、2000年以降の1000本以上の投稿のうち、消費税に触れたのはわずか7本程度である。

その内容も、2014年の税率引き上げの正当化や、間接税を財源として重視する立場が目立つ。

むしろ自衛隊関連の投稿が圧倒的に多く、関心の優先順位は明らかの様だ。消費税10%への引き上げに関与してきた過去の言動と、現在の「悲願」発言は全く整合しておらず、選挙目当ての虚偽と言える。


外国人労働者問題など他分野では一貫した見解を持つ一方で、消費税に関する主張だけが特異に揺れ動いている。専門家からも、政府が掲げる「責任ある積極財政」と、2026年度予算案に見られる緊縮的なプライマリーバランス黒字化目標の矛盾が指摘されている。

食料品のみの部分的減税は、消費構造を歪めるだけでなく、社会保障財源や防衛費増額の確保を危うくするリスクを孕む。

こうした副作用や財源問題への具体的回答を避け、耳当たりの良い「減税」を口にするのは政治家にあるまじき詐欺的手法だ。


なお、金融市場は、選挙後も円高傾向で推移するなど「消費減税は実施されない」と冷静に見越しているようだ。

つまるところ、歴代政権が選挙前に増減税の表現を曖昧にしてきた悪弊を、高市首相も踏襲しているに過ぎない。


有権者は、こうした一貫性のない「悲願」という言葉に惑わされることなく、政権の真意を厳しく見極める必要があり、選挙対策のために国民を欺くような政治手法は、政治への信頼を失墜させるばかりである。