日本では、1947年の日本国憲法施行以来、徴兵制(国民に強制的に兵役を課す制度)は導入されていない。
主に憲法第18条(「何人も、意に反する苦役に服させられない」)および第9条(戦争放棄と軍隊不保持)の解釈により、事実上禁止されている理由による。
導入するためには、憲法改正が不可欠であり、そのプロセスは厳格に定められいる。
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憲法改正の必要性
対象条文
徴兵制の導入には、第9条(自衛隊の位置づけや軍事力の行使範囲の拡大)と第18条(強制労働の禁止)の改正が必要。
自民党の改憲草案(2012年)では、第9条改正により「国防軍」の保持と「国防の義務」を明記する案があり、これが徴兵制の根拠となり得ると指摘されている。ただし、改正後も徴兵制の導入は自民党草案で明示的に禁止されている。
改正なしでは、最高裁判所の判例や政府解釈により、徴兵は「意に反する苦役」として違憲となる。
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憲法改正のプロセス(日本国憲法第96条および「日本国憲法の改正手続に関する法律」に基づく)
憲法改正は、国民の直接参加を伴う民主的な手続きである。
衆議院・参議院の各院で改正案を審議・可決。
総議員の3分の2以上の賛成が必要(衆院465人中310人以上、参院248人中166人以上)
発議後、60日以上180日以内に国民投票を実施。
全国で国民投票を実施。
投票資格
満18歳以上の日本国民。
賛成が有効投票総数の過半数(棄権含まず)
投票率の最低基準なし(ただし、実際の運用で議論あり)
施行法
2007年公布の「日本国憲法の改正手続に関する法律」(国民投票法)。
天皇が改正を公布。
国民投票で可決後、即時効力発生。
これにより、憲法が正式に改正。
所要時間
発議から公布まで、数ヶ月から数年(政治状況による)
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憲法改正後の法整備(徴兵制の実現化)
法律の制定・改正
国会で普通立法手続き(単純多数決)により、徴兵制を定める新法(「国民兵役法」)を作成・可決。
対象
例として20歳以上の男女(世界趨勢で女性も含む可能性)。
徴兵検査、抽選、服役期間(例: 明治時代の3年現役)、罰則など。
関連法の改正
自衛隊法の大幅改正(現行は志願制)。
施行準備
内閣(防衛省)が政令・省令で詳細を定め、地方自治体(役場)で名簿登録・検査を実施。
明治時代のように、国民軍名簿の作成から始まる。